詩を書く2

もうひとりのオレ


まだ夜の明けぬ
57番街
白いかたびらに包まれた
ローレンス・ファーリンゲッティの亡霊を見た
もうひとりのオレ
きみの温もりの中に
生きている

ダウンタウン
ワシントン・スクエアの
猥雑な空気を吸い
バーンズ&ノーブルで
彼女と待ち合わせ
もうひとりのオレ
きみの温もりの中に
生きている

雨上がりのミッドタウン
7thアヴェニューで
ベーグルのモーニングプレートを
イーグルの残照とともに
でもオレたちは異邦人
互いに分かつことのない
日常を見つめる
もうひとりのオレ
きみの温もりの中に
生きている

この世界がやさしく崩れかけるとき
手をさしのべ 肩を抱き
地下鉄の世界から
黄泉の国まで

オレは路傍で君を愛する
おろかなツバメ
雨の日は低く飛び
晴れの日は風になる
もうひとりのオレ
きみの温もりの中に
いまもまだ生きている

2011.10

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