魔物使いの昔話。

コンコン、と誰かがドアをノックする。
「はい」
「ランドレンだよー」
「お前かよ。こんなオメデタイ日にお前が来たって嬉しくもなんともないわ」
椅子から立ち上がり、ドアを開ける。
「おぉ。アレン家暖炉あったんだ」
「なんでないのが前提なんだよ。ふざけんな」
外はすっかり真っ白になっていて、ランドレンの足跡がくっきりと残っているのが見えた。
「え、貧乏じゃないの?」
「魔物狩りしてると結構稼げ……あ」
ランドレンがニィ、と悪そうに笑う。
「あー、なんでもない。というかなんでお前がこの街にいるんだよ」
は?と言わんばかりにランドレンは笑ったまま固まる。
「は……?ここの街を根城にしてるんですが…何か問題でも?」
「根城って言うなよ。せめて本拠地と言え」
「はーい」
ランドレンはソファに腰掛け、フゥ、と溜息をつく。
「アレンの昔話聞こうかなぁと思って」
「はぁ?俺の昔話?何も面白いものはねーよ」
「私が普通笑わないところで笑うやつだって忘れた?」
「あー、そういやそうだったな。悪りぃ悪りぃ、忘れてた」
「いや、絶対わかってただろ」
暖炉に薪を四、五本突っ込む。
火がバチバチと火花を散らせる。
「じゃあ話してやろうか」
それはまだ俺が五、六歳の頃の話。

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