羊水の静寂

耳は世界を拾う
オンガクだけ　聞こえていればいいのに

言葉が多すぎる
と言って　あの人は死んだ

海に浮かぶのが好きだった
空だけを見ていられる
雲がきれい
鼓膜は塞がれ
命の音が聞こえてくる
波が揺れる
身体中の水分が揺れる
このまま
溶け合えば　
海になれば
思い出せるかな
わたしのオンガク

それなのに

海は閉じ込められたまま

また言葉に愛想を振り撒き

世界に溺れて
あの人は死んだ