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蝋燭の火に照らされる
妹が丁度「ロウソクが買いたい」と言っていたので、叙情詩に向かう。
このお店、夕方から深夜にだけ開店している……カフェ?……蝋燭屋さん?
お店のジャンルが未だに分からない。
コーヒーと音楽と灯りを哲学する店
というのが公式の紹介文。
“夜の隣人“というコンセプトの不思議なお店。
そういえば、この間読んだ“流浪の月“に出てくる佐伯文が経営していたカフェも、夜にだけ開いてコーヒーを出してくれるお店だった。
全然関係ないけど、なんとなく物語の世界に足を踏み入れた気分になった。
お店の中に入る。
自然光と蝋燭の明かりだけが頼りの静かな空間。
そんな薄暗い店内の中に、店主の手作りしたカラフルな蝋燭が並ぶ。
真っ白なキャンバスに、色とりどりの絵の具を思い切りぶち撒けたような衝動的な蝋燭。
モノトーンな空間のなかで、それだけが異様に明るくて、異質で、綺麗だった。
こんなに綺麗な蝋燭も、火を灯せばいつのまにか消えて無くなってしまう。
この儚さも、また芸術か。
「これにするー」
呑気にそう言って、妹は柿の葉が練り込んでる蝋燭を買っていた。
さて、少し小腹が空いたのでお茶でもしよう。
私はカフェモカを。
妹はアフォガードを頼んだ。
お店には時計もない。
太陽が私たちに手を振り、店内がさらに暗くなっていく。
1秒が無限に延長した空間で、蝋燭の火はゆらゆらと揺れる。
Instagram▶︎@cafejojoushi
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