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サバティカルについてのフィールドノート

サバティカルについてです、サバティカルについての情報整理をします。
サバティカルをどうしようかなどと思ってもなかなか情報が流通していないため、先輩なみなみなさまにお話を伺いまくってきました。その結果を概説的にまとめたのがこの記事です。


サバティカルの基本

サバティカルとは、教育や校務から一定期間離れて研究に専念するための制度であり、特別研究や在外研究などと呼ばれることもあります。要するに、研究がんばってねという期間のことです。

サバティカルは、その期間と国内外でまず区分可能です。期間は、長期か短期か。通常長期は1年であり短期は半年。まれに長期として2年であったり、短期として夏休み期間等の2か月の場合もあるようです。
サバティカルのよくある組み合わせは、長期の国外滞在と短期の国内滞在でしょう。

サバティカルの区分

長期の国外滞在としてのサバティカルは、手続きが複雑であったり高コストであったりしますが、みんな困っているということもあり情報の流通は意外と多いです。大学の記事や学会誌、個人ブログ等で多数の発信が行われています。どんどんググりましょう。
その一方で、実は国内サバティカルについては情報がほとんど流通していないのです。

国内サバティカルの区分

国内サバティカルは、拠点と移住という観点からさらに区分することができます。本務校を拠点とする場合とそうではない場合です。本務校を拠点とする場合は、当然移住をともなうこともありません。なお、本務校を拠点とする場合には、本務校の近隣の大学に受け入れてもらう場合も含みます。たとえば、東京の大学に所属していながら、ほかの東京の大学に受け入れてもらう場合です。いずれにせよこの場合、研究環境に大きな変化はありません。そのため、特段に情報を欲することもなければ、発信する必要も生じません。そしてそして、国内サバティカルの多くが、本務校を拠点にしているように思えます。

国内サバティカルの区分

ということで、本稿で取り上げたいのは、国内サバティカルにおいて本務校を拠点としない場合です。たとえば、東京の大学に所属していながら、九州の大学に受け入れてもらうなど。このとき、移住をともない研究環境に大きな変化が発生します。したがって、本務校を拠点とする場合と比較すると、本務校を拠点としない場合の方が、受け入れ先大学での研究環境に対する要求水準が高くなります。なお、第3象限の近隣サバティカルは学内サバティカルとほぼ同じとみなします。

国内サバティカルの入口

国内サバティカルの入口は窓口となる受け入れ先拠点の教員です。その教員の所属の学部・研究科・研究所の案件になります。

まずは身分です。身分社会です。身分。基本的には2つあり、客員研究員か研修員かです。
客員研究員にはフェロー的なものも含みます。客員研究員にて受け入れてもらえると良い感じになると思います。なお、客員教授や客員准教授などは、教育負担が必要な場合がほとんどです。そうすると、サバティカルの趣旨から外れてしまうためサバティカル制度利用上の困難が生じる可能性があります。
研修員の場合。これは、特に国立の場合に用意されている制度のようです。研修ですから、研修費が必要です。研修費はそれぞれの大学によってまちまちです。実験系などの一定の研究設備が必要な場合の研修費は高めに設定されていることがあります。

これを決めるにあたって交渉にあたってくださるのも、受け入れ先教員です。頭が上がりません。サバティカルを受け入れたからといって利益などほぼないからです。そんななかで、非常に面倒な手続きを進めてくださるわけです。

そんな受け入れ先教員に少しでもインセンティブ的なものをつけるためには何がありえるかというと、共同研究です。共同研究をするためにサバティカルを受け入れてもらうという立て付けにする。魅力ある研究テーマ、もしくはデータ、研究能力があれば、共同研究が現実的に進むかもしれません。そのような共同研究が受け入れ先教員にとって魅力的であれば、多少のインセンティブとなり、依頼をするじぶんの罪悪感も薄くなるかもしれません。基本は感謝ベースですね。まじでありがたい。

国内移住サバティカルの研究室環境

サバティカルの研究室環境です。この情報流通はかなり限定的でした。特に国内移住サバティカルでは、研究室環境が重要です。

なんとなく、個室の研究室が利用できると思い込んでいました。日常に慣れ過ぎていますね。そう日常になれていて、普通にオンラインミーティングがある日常を過ごしています。そうすると、個室の静謐な環境に対するニーズがいつのまにか高まっているのです。

しかしながら、多くの場合において、個室の研究室が利用できることはないようです。基本は共同研究室。何名かでの研究室生活です。しかしそこは大人ですし、それぞれなんとかなるのではないでしょうか、なんとかなるといいなとおもいます。なんとか。
この共同研究室を何名で過ごすかは、ほぼタイミング次第です。そして共同研究室の利用者には、本務校拠点の方もいます。つまり、たとえば4名での共同研究室でも実質的な利用者はじぶんだけということもありえます。

国内移住サバティカルでは、研究室環境と、移住先の生活環境との勘案が重要です。研究室がにぎやかな共同研究室の場合は移住先でのオンラインミーティングなどの環境が必要かもしれない。逆に移住先でのインターネット環境が貧弱な場合は研究室での環境が重要になる。などなど。

国内移住サバティカルでの生活

国内移住サバティカルです。もしくはサバイバルかもしれません。

国内移住サバティカルのもうひとつの分岐は、移住先についてです。移住先に実家等の低コストで生活環境を整備できる場合と、そうではない場合です。そうではない場合、つまりじぶんでしっかりと生活環境を整えないといけない場合に何が起こるのか。おかねがかかるのです!二重拠点高コスト生活!

基本的に短期間が想定されるため、普通に賃貸マンション生活となるとき、敷金と礼金がわりと重めになります。およそ6か月で敷金と礼金を配賦するために、実質的に家賃は1割増しです。
マンスリーマンション生活もあります。マンスリーマンションの場合は、家賃に加えて共益費的な諸費用が割と高いです。それと退去費用にも気を付けましょう。
低コストで生活しようと思うと、シェアハウスです!シェアハウスは、年齢制限やジェンダー制限、滞在期間制限など、わりと制約が多めです。それと、いつから入居というのがやりにくい場合もあります。
生活はなんとかしましょう

サバティカルの目的と心持ち

当然、サバティカルを考え始めたときに何をしようかと夢想しています。その当初計画を現実と向かい合ったのちに再考することになります。再考しましょう。
想定される環境でやれること、最大限やりたいことにもとづいてです。

もうひとつ、心持ちというかじぶんのなかでの位置づけです。
当然、大学の業務の一環です。そのうえでのサバティカルです。ここに、自己研鑽的な自己投資的な側面をどれほど乗っけるのか乗っけられるのかです。つまり、追加的なコストをどれほど許容するのかということです。これは多分にキャリア観とかかわります。今後のキャリア形成をどうしていくのかを考えながらです。それも含めてのサバティカルの目的です。結局はサバイバルですから。サバイバルを乗り切るためにサバイバルをどのように活用するのかなのでしょう。

さいごに

結論などはないのです。いろいろと整理したかっただけですから。これがみなさまになんらかの意味があればさいわいです。最後に最大限に強調しておきたいのは、貴重な時間を割いてサバティカルについてご教示くださった先生・先輩のみなみなさまへの感謝です。ほんとうにありがとうございました。


いただいたサポートは研究室の学生向けに活用します。学生の研究用書籍や研究旅費の足しにすることになると思います。