すでにコンテンツを紹介してあった『三国志拾遺 続――東アジア・石刻ほか』を正式にPDFで刊行します.一昨年刊行した『三国志拾遺 正』や昨年刊行した『三国志拾遺 続』と体裁は同じですが,総頁が200頁に満たなかったため800円とさせていただきました.
コンテンツがほぼ確定しましたので,紹介しておきます.頁数はまだ最終確定しておらず,暫定です.確定ししだい,価格についても公表の予定です.
昨日公開した本文篇に続き,図表篇です.
長沙走馬楼呉簡に関する表題の論稿をPDFでアップしました.
『長沙走馬楼三国呉簡・竹簡』陸には,坨Ⅱb㉗に含まれる竹簡を中心として,「貧民」に対して食糧用穀物を官が貸与し,それに利息をつけて一年以内に「貧民」が官に還納したことを証明するものが多数収録されています.それを分析するために表題の小文を執筆中ですが,予想以上に時間がかかっており,本サイトにアップするのは大分先になりそうです.そのため,その附表として作成した表を先行してアップすることにしました.きわめてマイナーな研究分野ですので,ほとんどスルーされてしまうかもしれませんが, 関
『長沙走馬楼三国呉簡・嘉禾吏民田家莂』には年次未詳の田家莂が90点ほど収録されていますが,嘉禾四年莂や嘉禾五年田家莂にいずれかと考えられます.これについては,早くに「長沙出土年次未詳吏民田家莂に関する一試論」という小文を発表しましたが(『中国世界における地域社会と地域文化に関する研究』第1輯,2002年),その後,陳栄傑氏が陳校注『《嘉禾吏民田家莂》校注』(西南師範大学出版社,2018年)で同じような作業に挑まれています.拙稿よりも新しい成果ですが,なお充分とは言いがたく,私
『三国志拾遺 続』に収録済みと『塼画墓・壁画墓と河西社会』に収録予定の論稿以外の論稿を確認するために,大げさながら「論著目録」を作成.あまりお役にたつものではないのですが,参考までにPDFをアップすることにしました.事情については,ブログに書いておきました.
今後の刊行予定です.2019年に東方書店から刊行した『三国志の考古学』の姉妹篇『周縁の三国志』が書き上がりました.今後の作業が順調に進めば,今年度末には東方書店から刊行できると思います.またその執筆の過程で新たな気づきがいくつかあったので,これらについて,既発表の動向,書評,紹介などとともに一書にして,『三国志拾遺 補――東アジア・石刻ほか』というタイトル(仮題)で『周縁の三国志』の刊行と同時にこのサイトでPDFを刊行します.100頁強の予定です.さらに2020年,コロナの感
『三国志拾遺 続―文献と文物の間―』第三章「三国時代の墓券とその位置――金石」では,江南地域では墓が「山沢」と言われる無主の土地に営まれたことを述べましたが,そこで「山沢」に関する先行研究を列挙しました(83~84頁).しかし一篇,見落としがありました.以下のものです.追加させてください. 三好厳一郎「晋・南朝における山沢封固」,『大阪電気通信大学研究論集』人文・社会科学篇第8号,1972年.
補論二「曹真の官歴について」の表Ⅲ「230(太和4)年2月 三公等就官者」に示したように,この時,曹真が大司馬に,司馬懿が大将軍に昇任したが, それと同時に,公孫淵が車騎将軍に任じられた.淵は遼東にあったので,洛陽の朝廷で職務を果たしたわけではないが,この将軍就任について,西嶋定生「親魏倭王冊封に到る東アジアの情勢」(同『中国古代国家と東アジア世界』,東京大学出版会,1983年)は,「・・・同年七月には,大司馬曹真と大将軍司馬懿とに伐蜀の詔勅が出されているのであるから,あるい
第二章「山越とその居住域」で,宗帥以下,「宗」字を冠したタームを,山越とは異なる実態を有していた,さらに言えば漢族の血縁集団と考える中国の研究成果を紹介したが,国内でも堀敏一「異民族支配からみた三国時代の位置」(同『東アジア世界の形成――中国と周辺国家』,汲古書院・汲古叢書,2006年,第三章)が,「漢人の土着豪族たちは多く宗族を結んで団結していたから,かれらは宗部・宗伍などとよばれた.呉が戦ったのはこれら山越と宗部であって,宗部は山越と共同し,山越のなかに逃げ込んだ宗部もあ
河内春人「3世紀の東アジア・概論」(『歴史評論』第769号,2014年)に,以下のような記述がある.この一文を見落としていたのは私の過失であるが,やはり先行研究の理解に問題を残している. この帯方郡の役割は西域の戊己校尉に比するものであり,ここに魏の東西 の外交窓口が定まったのである.親魏大月氏王に対比される親魏倭王の称号もその延長線上で考えるべきであろう.これまで大月氏と蜀の連携を想定し,それを阻害するために親魏大月氏王が授与され,倭への親魏倭王も同様に倭による呉への牽
『三国志拾遺 続――文献と文物の間』第二章「西北地方における柩銘とその展開――帛書」では,河西,トゥルファン両地域で出土した柩銘を紹介しましたが,その後,河西ではもう一点柩銘が出土していることがわかりました.以下に紹介しておきます. 甘粛省文物考古研究所/劉兵兵執筆「酒泉市三壩湾魏晋墓2013年発掘報告」(甘粛省文物考古研究所編/陳国科主編『甘粛省基本建設考古報告集』(一),文物出版社,2020年). 酒泉市三壩湾墓群,2013年発掘一号墓より出土,「絲質銘旌」(M1