【エッセイ】 日本の全国民が「コスパ!」と連呼することについて
私は大阪の「日本橋」(ここでは「にっぽんばし」と読みます)に住んでいる。
ピンと来ないかもしれないが、吉本興業や松竹歌舞伎の拠点があるミナミ(難波)という盛り場から東に5分ぐらい歩いたところ(というかここもミナミなのかなあ)で中国人観光客が訪れた黒門市場や、国立文楽劇場、あとメイドカフェ、電気街、あと大きい声では言えないがデリヘルが立ち並ぶ大阪有数の歓楽街だ。
唯一の欠点は美味しくて安い本格的な中華料理店が少ないことぐらいだろうか。
さて、この日本橋の電気街を南方向に10分ほど歩くと「新世界」。そう、通天閣を中心とした大衆演劇場や、同性愛者向けの映画館、中年男性のパラダイスだ。
ふと東側の上り坂に目をやると中国式漢字(簡体字)で、中国でしか使わない活字で店名が書かれていた料理店があった。「おっ 珍しいやん」。大阪に数少ない中国大陸系の店があったので嬉しくて入ってみた。
ギーッ。
店に入ると数少ないが中国人観光客が賑やかに美味しそうな料理を積み上げている。目を引いたのが「雲白肉」(豚しゃぶの温野菜サラダ)。肉の上にゴマだれだけでなく、素揚げのピーナッツやおいしそうなトッピングが大量に載っている。「あれ、美味しそうやな」
メニューを見ると定食では麻婆豆腐や青椒肉絲と並んで「雲白肉定食」が700円と輝いていた。注文を取りに来た日本語の不自由なお兄ちゃんに、「雲白肉定食!。あそこにあるのって美味しそうやなあ。さすが!」というとにいちゃんは一言。
「あれは、中国人向きだから」
「へっ?」
そのにいちゃんは中国語で言い放った。
「だーかーらあ、日本人向けと中国人向けは違うの。あれは一皿1500円、日本人向けのメニューはご飯大盛り、おかわり自由で700円。日本人って安ければいいんだよね。ご飯大盛りでないと大騒ぎするよね。ボクら、もうイヤなんだよね」
ぐうの音も出なかった。中国人観光客も勝ち誇ったようにこちらをチラチラ見ている。
私はかなり金払いのいい方だし寄付もたくさんしてきたつもりですが、
もう限界です。
「コスパ!「コスパ!」とネットで暴れてきたみなさん。
さあ、あなたの出番です。誰か私のかわりに反論してもらえますか。
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