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花束みたいな恋をした

先週、鑑賞。

坂元裕二ファンとして、菅田くんと架純ちゃんの2人はしっくりこないなぁ、若者向けに作られた恋愛ストーリーかな、と思い映画館では見ないつもりだったが、ユリイカ坂元裕二を読み、やはり書評だけじゃわからない、2時間見ないといけないと思い立ち映画館へ。

感想、文句なしでした。

主役2人にも感服だし、サブカル好き設定なら尚、菅田くんだった。
坂元裕二の偏屈さが好き勝手散りばめられてる、やりたい放題やったな、という感想。
興行収入2億超え、集客数鬼滅超えなど話題になっていたが、やっぱり皆、恋愛映画見たいよなと思ったりした。
漫画原作のものだったり、テレビの連ドラでは数多く恋愛ものはやっているけれど、オリジナル脚本でのザ恋愛映画って、なんだか久しぶり?なのかわからないけれど、ザ恋愛映画、最高でした。

そして、若者向けと思いきや、これは20代を経験した30代以降の大人にめちゃくちゃ懐かしさを思い出させる映画だと思った。
辛い恋愛とか思い出とか、とうに過去になった大人が見たら、もはや20代ってこうだったーという回顧しながら観るんじゃないかと。

何もない日常、何も見えない未来、誘われた飲み会、誰がいるか知らない飲み会、そこで出会った人との飲み会、何かを探してて、何かに出会えるかもしれないと思いながら行った飲み会。
あーそうだ、そんな何もない、何かが欲しい20代だったなぁと思い出していた。

結婚式が立て続けにあって、突然身近な人が亡くなったり、何か覚えていることや忘れてしまってる山ほどの記憶が、漠然とあった、ということだけは思い出された。

20代って沢山の出会いがあって別れがあって、社会に揉まれ価値観が作られ、付き合う人間が変わっていく、そういう大きな変革期なんだと。
だから、麦と絹はお互いに惹かれ、惹かれたから別れてしまうのだ。
20代の好きは、根本的に好きでい続けられる、純粋の好きのままでいられるものもあるけれど、一旦忙しさや大人になるにつれ、過去のものになる時でもある。

恋愛も然り、これを逃してはいけないと思えることあれば、ここにいたら、このままではいけないという真逆の大きな選択肢に出くわす時期でもある。

2人が別れる時、別れ話をする菅田くんを見ていられなかったなぁ。
この人は、2人の未来を夢見ているなぁ。
2人の未来を1人で見ているなぁ、という顔を見ていられなかった。
女はもうあの頃には戻れない未来を見ていた。
完全に2人の未来は別のものだった。

切ない話だったけど、恋愛ってそうなんだよと静かに懐かしみながら、気持ち良く見られた、さすが坂元裕二作品、見に行って良かったです。
今作も最高でした。

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