二次試験に必要な力

 二次試験の合格答案をつくるのに必要なのは、基礎問題を取りこぼさない力だ。実は、東大・京大を始め、難関の国立大学でも、二次試験では基礎を中心に出題することが多い。基礎とは、たいていの単語帳に載っている表現だったり、総合英語で大きく扱われている事柄のことだ。
 
 具体的に2つ見てみよう。まず東京大の文法問題。一語を加えて選択肢を並び替えるものだ。
Let’s not use any of these pictures for the poster.  They (  a  ) (  b  ) (  c  ) a lot (  d  ) (  e  ) he really is.
      ア him  イ look  ウ older  エ than

 解くのに必要な知識は、①make O (V)という使役動詞の語法、②look Cという語法、③比較級の強調表現。このうち2つは中学で習うものだ。

 難しいイメージのある京都大の英訳問題。
 わたしたちの健康にとって歯は大切な役割を果たしています。歯の健康は治療だけでは守れません。その場限りの治療から、さらに前進して、病気を予防し、健康を管理していくように心がけましょう。そのためには毎食後の歯磨きの励行にとどまらず、野菜を含めバランスのとれた食事をとることや、さらには、過度のストレスに陥って病気に負けることのないよう精神的な安定を保つことも大切です。

 play a ~ role、prevent diseases、stay healthy、brush one’s teeth、in addition、in order (not) to (V)、including ~など、基本的な表現が並ぶ。well-balanced diet、be under (too much) pressure、have a diseaseが少し難しいが、受験勉強の中で出会う可能性が高い。It is ~ to (V)、not only ~ but also …など、これらの表現を統べる構文も基本的なものだ。

 全ての問題のうち、こういった基礎を問うものが8割を占めると見てよい。また、合格する最低の得点率は、大まかに6割5分。従って、基礎問題を全て取ることができれば合格点に達する可能性が十分あると言える。

 ところが、基礎的な問題を落とさないことがどれ程難しいかを正確に理解している受験生が少ない。これを過小評価することで、基礎問を間違えた後に原因を考えず、「次は気を付けよう」という曖昧な対策でお茶を濁してはいないだろうか。

 受験勉強は、難問を攻略する練習ではなく、基礎を落とさない練習のことだ。この地味な練習こそが二次試験で勝てる力を養う。難問に振り回されず、勉強のピントを基礎・典型問題に合わせること。これが、国立二次に必要な力を付けるための基本的な姿勢である。

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