中谷干/nakayakan

SF(すこしフューチャー)な短編を淡々と書き続けたい https://twitter.…

中谷干/nakayakan

SF(すこしフューチャー)な短編を淡々と書き続けたい https://twitter.com/akayaka

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  • トライアルズアンドエラーズ

    作成中

  • すこしフューチャー

    少し未来を舞台にした短編小説集 カクヨムに置いていたもの https://kakuyomu.jp/works/1177354054883419994 を少しずつ改稿しつつ投稿

  • この物語はフィクションです

    登場する人物・団体・名称等は架空であり、実在のものとは関係ありません。

最近の記事

シン・エヴァンゲリオン劇場版 後半の解釈の解説のようなメモのような何か

シン・エヴァンゲリオン劇場版でエヴァが完結を迎え、物語をどう決着させるかというのに興味があったので2回ほど見てきました。 趣味でたまにものを書いたりもする人間として、物語の構造というか「どういう意図でこのシーンを置いたか」「どう物語を着地させたか」みたいな事を把握したい気持ちがあり、主にマイナス宇宙突入後、物語後半の各シーンを自分がどう理解/解釈したか、みたいなことをまとめた、これは解説のようなメモのような何かです。 あくまで自分がどう解釈したか、なので「これが正しい」と

    • 老舗の味

      彼女と二人で近所を散歩していると、何やら古めかしい建物が目に入った。 「こんな店あったのか」 「創業120年だって。すごいね」 店頭に掲げられた、時代がかった木製の看板に筆文字で書かれているのは、いかにも昔からやってます、という雰囲気の店名。 老舗の煎餅屋さんらしい。 辺りに煎餅の焼ける香ばしい匂いが漂っている。 「ちょっと見ていこうよ」 彼女に引っ張られて店内に入ると、建物の外観と打って変わって、中はわりとモダンな内装だ。 「へぇ……」 「いい雰囲気だね」 老舗らしい伝統の

      • 健康管理システム

        (頭痛ぇ……) 会社までの道のりをだらだらと歩きながら、胸の内でそんな事を呟く。 昨晩、仕事帰りに同期の連中と飲みに行ったのだけど、隣のテーブルの連中と意気投合して夜中まで大騒ぎ。 その結果がこの二日酔いだ。 歩くその一歩一歩にあわせてガンガン響くような頭痛。他の人から見たらだいぶ冴えない表情をしているに違いない。 激しい頭痛との格闘の末、ようやく会社の前に到着。 入り口に近づくと、瞬時に網膜がスキャンされ自動扉が開く。 ドアを通り抜けると、視界の片隅にこんな文字列が表示さ

        • 母さん助けて

          「俺だけど」 「はいはい……おやまあ」 テレビ電話の着信に、老婦人は目を細めた。 画面に映るのは、夫にどこかよく似た目つきをした、自分によくにた輪郭の壮年の男性。 珍しいこともあるものだ。 あの無精者の息子が、あちらから連絡してくるなんて。 「久しぶり」 「久しぶりだねぇ。あんたから連絡してくるなんて珍しい」 「いやぁ、最近活動のほうも一段落ついて、久々にお袋の顔が見たくなってさ。元気?」 「おじいさん共々元気ですよ。昨日も一緒に榛名山に登ってねぇ」 「へぇ、それはいいね。こ

        シン・エヴァンゲリオン劇場版 後半の解釈の解説のようなメモのような何か

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        記事

          バイトテロリスト

          「おい、見てみろよこれ」 そう言って友達が見せてきたスマート端末には、コンビニの若い店員が、店のおでんで悪ふざけしている映像が表示されていた。 どこからどう見ても衛生上問題ありそうな事をやっていて、この悪ふざけに使われたおでんがもしそのまま売られていたら……と考えるとぞっとする。 「うわぁ……」 「こんなのネットに上げたら炎上するに決まってるのにな。世の中アホな奴がいるもんだ」 「ほんとになぁ……」 流行りの写真投稿サイトで、身内向けのつもりで公開したものが流出したらしい。

          バイトテロリスト

          選択肢

          ピローン♪ 携帯端末の通知音が響く。 ……ったく、映画見てる時に……。 少し面倒に思いつつ、VR映画の映像空間にARオーバレイ表示された携帯端末に手を伸ばす。 僕の携帯端末はVRゴーグルとペアリングしてあるので、VR空間上でも必要な時は端末の置いてある場所がわかる。端末の画面もVR上で確認できるので、VRゴーグルをわざわざ外す手間がない。 ささっと画面を一瞥。メッセンジャーの通知だ。 この気の抜けたアイコンは……タカシからか。 通知をタップしてメッセンジャーアプリを立ち上

          12月1日

          「あれ……?」 とある冬の朝、オフィスに出社したばかりの若手社員が怪訝そうに声を上げた。 「今日って12月2日でしたっけ?」 「ん? 今日は1日だろ」 ちょうど後ろを通りかかった上司が応じる。 「でも、ほら」 若手社員は端末の右上の日付を指差すと、そこには「12月2日」と書かれている。 「あれ?」 昨日は月末の締めの作業に追われていたし、いくつか月末の支払い処理もしたし、どう考えても11月30日。 11月30日の次の日は、12月1日であって、12月2日ではない。 「故障か……

          欲しいもの

          「わかったか?」 「だめ……」 夜遅く、食卓を囲んで渋面になっている夫婦。 「欲しいものくらい、聞く事できないのか?」 「だって、それ聞いたらサンタさんいないってバレちゃいそうだし……それにあの子が本当に欲しいもの言ってくれるかどうか」 「だよなぁ」 もうすぐクリスマス。 二人は息子へのプレゼントについて相談しているところだ。 例年ならもうとっくにプレゼントを買って、息子にバレないよう、隠し場所なんかを工夫している頃なのだが。 今年は一体何をプレゼントするかもまだ決まってい