MPD

2年間、社会人大学院である事業構想大学院大学(MPD)へと通い、今年3月に卒業出来ました。と言いつつも、コロナの影響で卒業式は無くなってしまった(現状では延期のはず)ので、あまり卒業した実感もないのですが。
実務の量を抑えつつ、なぜお勉強を今更(!?)したのか、何を学ぶことが出来たのかについてお知らせしていこうと思います。


・通い始めた動機


そもそも事業構想大学院って何?とよく聞かれます。詳しくはこちらのwebをご覧ください。簡単にお伝えすると事業を新しく構想するためのお勉強と実践をしていこうという場所になります。何故そのような場所に学ぶを求めたのかというと、大きく2つの要因があります。建築の設計を行っていると住宅の除けば何らかの事業と関わることになります。しかし、事業について学ぶ機会が今までなかったので、自己流になりすぎている部分もあるだろうからその辺を一度体系的に学んでおく必要もあるなと思ったことが通いはじめた一つのきっかけです。もう一つは進めている杉並の計画、小さな地域を考える時に今の知識(建築だけ)では〝何か〟が足りてないので、その何かを探りたいという想いもありました。

・大変だったこと

仕事しながら大学院に通うことって大変ではない?という質問もよく受けました。私の場合は個人事業なので、会社という組織的なしがらみがないので、人間関係などの辛さはありませんでした。何が大変かというと切替と集中力の維持です。設計をしていると毎日何かしらの勉強らしき事をしているので、働きながらの大学院でも勉強をするということはそれほど大変ではないのですが、いざ通ってみる働く事と学ぶ事が、切り替わっていく毎日は思った以上に精神的な負担ともなりました。また、大学院で集中する分の集中力を仕事で使い切ってしまうと大学院で集中出来ないため、その集中力の配分を考えることはなかなか大変でした。

・得たこと


大学院には様々なビジネスバックグランドをお持ちの方が集まってきますので、各業界のボトルネックになっていることなど設計を行っているだけでは得ることの出来ない情報に触れることが出来ますし、新たな事業がどうやって作られていくのかについても学ぶ事と見る事が出来ました。また、結果として思考の幅は間違いなく広がりました。通う前では知る事のなかった事にアプローチ出来る様になったのは間違いありません。とは言え、通い始めた頃は知らないカタカナ言葉が多く、そもそもビジネス用語を知らな過ぎるという事からスタートだったので低過ぎるところからのスタートであったことも間違いありません。(設計を個人で行っているとやはりビジネス感覚にはかなり欠ける。)

・気づき


設計事務所の人の良さは構築する能力の高さだと思います。抽象と具体を行き来し、物事を構築することは得意技と言えると思う反面、それを伝える能力は低いように感じます。もちろん、それは私個人の低さでもあるわけですが、建築界全体として他の業界とのつながりの低さにより、伝える能力が不足しているように感じます。(伝えることが上手な方はビジネスチャンスを広げてもいます。)もちろん、感性面における優位性も高いと思います。
設計事務所の設計と監理からなるビジネスモデルはいつまで続くのであろうかという問いを感じる事がよくあります。建築を構築し、感性に訴えかける空間を作る事は価値があるものだと思いますが、現代において、この価値は揺らいでいるかもしれません。クライアントの抱える問題点や問いを解決するためには新しい建築を作ることが必要なのだろうか?と、感じることがあります。
長い目で建築を見た時、美しい空間という価値は減少しないので、上記の様に考える事以上に元々持っている建築家の価値を残していく事も必要です。(美しさはもちろん個人的な価値観によるので難しいことでもあります。)その一方で空間を作ること以外の価値提供も必要ではないかとも感じます。


設計を行っている人の持っている優位性と設計監理に留まらないビジネスモデルの構築が今後の課題とも言えます。大学院での学ぶを通して3つ程度、新たなモデルは考えていて、これから徐々に実行していこうと考えています。

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