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黄金湯の物語:~2006

長い煙突を目指していけば・・・

北海道の中でも特に北のほう、宗谷管内の内陸に位置する小さな町「中頓別町(なかとんべつちょう)」。
その町の中心市街地に「黄金湯」はあります。
長い煙突からモクモクと漂う白い煙が目印です。

この黄金湯、実は幾度もの廃業の危機を乗り越えてきました。

時は遡ること、昭和30年代。
当時、中頓別町には個人経営の銭湯がありました。
町民の坂井トシオさん(仮名)は、昭和30年代後半にこの銭湯「松の湯」の経営を引き継ぎ、銭湯以外の仕事も掛け持ちしながら、なんとか個人経営で続けてきました。
しかし、家庭風呂の普及による入浴客の減少や、過疎化の煽り、建物の老朽化などが重なり、銭湯経営は厳しくなっていきます。
そして昭和の終わりころ、坂井さんは銭湯を閉業することを決断します。

公設銭湯「黄金湯」の誕生

松の湯の閉業を受け、1989年(平成元年)、自宅に風呂がない住民のために、町は新しく公設銭湯「黄金湯」を建設。
これが現在に続く黄金湯の建物です。
坂井さんは町から黄金湯の運営管理を委託され、約15年間、黄金湯の番台に座ってきましたが、2006年に引退。

運営管理者が不在となった黄金湯をどうするか…。
町は考えた末、施設の有効利用を考え、黄金湯の建物を売却・賃貸の対象とすることに決め、2008年からその広報を始めました。

一度は閉じられたはずの『黄金湯の物語』。
ここから再び、ページが開かれることになるのです。
(「黄金湯の物語:2006~2021」へ続く)