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中村修平のリミテッド解説「イクサラン:失われし洞窟」

割引あり

authored by Shuhei Nakamura

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(1)「イクサラン:失われし洞窟」全体の印象

除去の使い勝手が非常に悪く、特大サイズの恐竜とそれに対抗するために高速機械化した飛行海賊

この2大巨頭に対応できるのが生存条件の、過酷な弱肉強食環境

キーワードの数自体は多いがまとめるとかなり少ない。
軸になるのは、恐竜とアーティファクトに関連したもの、そして墓地にパーマネントカードが落ちるのに関連したものの3つと考えればだいたいあっている。
探検発見洞窟に関してはデッキを補助するもの以上にはならない。
土地は探検やその他キャントリップで序盤の土地の引き増しができるのでほぼ16枚環境。

(1.1)青と緑、それ以外

まず前提として中盤以降の緑のサイズが図抜けて大きい。
4ターン目から5/4になりうる可能性がある《開拓する斧顎》から、落魄で攻撃時にサイズ上昇が付いてくる《マラメトの古参兵》。
巨大な戦慄大口がアンコモンに行ったと思ったらそれよりか大きいサイズで回避能力を持っている《洞窟を踏み歩くもの》。
と雑にマナカーブ通り展開できればそれだけで盤面を圧倒できる戦力が充分に用意できてしまっている。

4-5-6

これに同じマナカーブ展開で付き合える色はほぼいない。
下手をすれば《ヤドクガエル》から1ターン早く襲いかかってくる緑のデカブツに対して各色で用意できる4マナ圏までの生物は4/3までしかなく、しかも能力付きのほとんどが攻勢時に得られるプラス能力と実質的にはバニラと変わらず先手ならともかく後手ではなす術がなく踏み潰されてしまう。

地味に到達付きが多いのも環境の特徴

また探検と地図のお陰で事故のリスクもかなり低減されているので、全体的に高マナ帯で戦っている割には、かなりスムーズにこれら脅威に到達されてしまう。
スタッツ優位を活かして序盤からずっと連打する赤緑、序盤か中盤の1ターンを落魄4の仕込みに使って後の強サイズ連打で取り返していく黒緑が本線。

この恐竜ラッシュに唯一まともに立ち向かえている、というよりは凌駕しているのが青。
戦略としてはとてもシンプル。軽くて、飛んでて、ブロッカーはタップして乗り越える。
というより、この環境では複雑な仕込みをする余裕が全くない。座したら恐竜に齧られるのみ。

飛行+海賊+アーティファクト

《水巻きの偵察》の優秀さについて語るまでもないと思うが、ドラフトをやり始めて最も評価が上がったのは《樫材のセイレーン》。
飛行を持っていて、警戒で使い減りせずに殴れて、アーティファクトかつ海賊と両方のアーキタイプの属性を兼ね備えつつ、限定とはいえ地図の起動や《歯車式闘士》のようなマナを構える動きを自然に使え、かつ探検と装備による強化の引受先にもなる。
こちらの探検は地図の1マナでやる強化が主目的。サイズが上がって後続の呪文が捲れれば当たり。
このカードを如何に気持ちよく使えるかを考えればだいたいそれだけでデッキになってしまう。

このカードが青のやりたいことそのもの

いわゆる2マナタワー構築しつつ、3ターン目から2アクションが取れるだなんてそれはもう素敵。
選択肢としてはより海賊に特化した青赤か、アーティファクト側に特化させた青白あたりが候補となる。

青単タッチ白、この環境の1つの答え。青単体で充分に機能してしまう。

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