【徹底検証】成海有紗はオーラスに立直するべきじゃなかったのか
今回の観戦記は、あえて時系列を崩して書いてみたいと思う。というのも、南4局成海有紗の下の立直がちょっとした物議を醸したからだ。
実は成海に聴牌となるツモ3mが入ったのはこの3巡も前で、成海は打1sからずっと悶々としていた。直接取材したわけではないものの、立直を打ちたそうなその素振りは、ひょっとしたら同卓者にまで伝わっていたのではないだろうか。
◆立直を打ってもいいものか。
◆出た場合に和了っても許されるのだろうか。
◆この立直によって得する他家や損する他家はいないだろうか。
おそらく成海はこの立直を打つにあたって、自身の通過は考えていなかったはずで、というのも△9000点の北家が17900点の親を逆転しようと思った場合、4本場であることを加味したとしても、
◆12000は13200の直撃
◆4000/8000は4400/8400ツモ
いずれもわずかに届かない。
もう1度画像も入れて確認するが、上の立直は立直・赤の出和了り2600は3800からで、ツモると立直・ツモ・赤の1000/2000は1400/2400ということになる。
関東と関西で分かれていて直接的な接点はないものの、実は筆者は成海と同期の日本プロ麻雀協会20期前期入会だ。今回の観戦記は、南4局の立直がきちんと成立するように、東1局からの戦いを【たられば】で振り返って見ていこうと思う。昔の人はこういうのを「情けは人のためならず」と表現した。豆知識な。
成海が1番大きな加点を逃したのは、東2局自身の親番のことだった。上の手牌に雀頭ができるツモ4sを引き入れると、やや間があって打8p立直としたが、これはどうだったか。
もちろん一発で7mをツモって来た場合は「さすがの勝負勘だ」「成海オリジナルの4000オールだ」「これこそが真のシンデレラファイトだ」と、こちらとしても囃し立てる用意はあったが、残念ながらこの局は1人聴牌で、わずか3000点の収入に留まっている。
話を戻して、上の聴牌は取らずに打9mとしてタンヤオを確定させ、マンズとピンズの伸びを楽しみに、最高は456や567の三色まで視野に入れた方がよかった。誰かからの出和了りを想定するとカドが立つので、仮にこの局を成海の6000オールツモ和了りとすると、南4局を迎えた瞬間の点棒状況は、
東家・長谷川栞12900(現実は17900)
南家・小西雅24700(現実は29700)
西家・成海有紗6000(現実は△9000)
北家・望月涼香56400(現実は61400)
となっていたはず。これで1000/2000は1400/2400で親の長谷川をまくることができ、多くの麻雀ファンに「南4局は逆転条件を満たした素晴らしい立直だった」「ツモれなかったのは残念だが紙一重の勝負だった」と言わしめることができる。
ところで、シンデレラファイトDAY2の第1試合には、成海以外にもう1人協会の選手が出場している。ごるはむこと長谷川栞がその人だ。
長谷川はネット麻雀天鳳の高段位取得者で、上の写真の通り愛くるしいルックスも相まって多くのファンの支持を集めている。【もしも成海が6000オールをツモっていたら】の話で【長谷川をまくる】という言葉が何度も出てきたので、筆者としては気が気じゃなかった。成海が同期なら、長谷川は先輩なのだ。
長谷川は自らを「守備型」「対応型」と評する。攻撃型の多いシンデレラファイトでは異質な存在だ。もちろん守備型と言っても、なんでもかんでもオリていては勝てず、攻守のメリハリをきちんとつけなければ成り立たない。
その長谷川の「守備」「対応」に重きを置いた手組みが、下の東1局だ。北家の長谷川は場風の東や役牌の發・中をポンせずに手組み、
最後は立直者成海と同テンの赤5pをツモり上げて1600/3200とした。
北家が鳴くと、その分親のツモ番が増える。長谷川が役・役・ホンイツ・トイトイを目指してポン発進していたら、もちろん長谷川の12000が見られた可能性はあるものの、親から高打点立直が入った未来も否定できない。成海のロン牌である赤5pツモであることも含めて、長谷川らしく意義のある大きな和了りだった。
ここまで、協会の成海と長谷川を中心に見てきたが、このゲームのトップはRMUの望月涼香だった。名前の通り、涼しげな目元がチャームポイントだ。
望月会心の1局は、東3局の親番。下家の長谷川から先制立直を受けるが、立直宣言牌の筋、後に現物にもなった9pを対子落としして丁寧に回ると、嵌5sでタンヤオの聴牌を果たす。
5sは立直者長谷川の現物なのに他2者から出ないことを確認すると、望月は次巡のツモ3sに機敏に反応して打6s立直。5sが山にいると読んだ。
これを見事に一発でツモ和了り、裏ドラも1枚乗せて、立直・タンヤオ・平和・一発・ツモ・裏ドラ1の6000オールに仕上げ、トップ目長谷川との16400差を一撃でひっくり返した。
最後は、筆者がこのシンデレラファイトきっかけで初めて知った選手を紹介して、この観戦記を締めよう。高打点が飛び交った半荘を2着でまとめた最高位戦の小西雅だ。キュッと結んだ口元が凛々しさを際立たせている。
小西の和了りで印象深かったのは、親が落ちた東2局のことだった。
147sや258sを引いてソーズに雀頭を求める構想もあったところに、首尾よく一気通貫確定の9sを引くと、ノベタンの69m待ちで即立直と攻める。
これを6mツモで2000/4000は2100/4100に仕上げ、次節への進出を危なげなく決めてみせた。
また、小西は登場の際のポージングもユニークで、ただファンのことを思うと小西自身のスクショを使うのは憚られるので、替わりを下に貼っておく。
麻雀に限らず、勝負事は敗者の屍を乗り越えていくことでしか次に進めない。3者のシンデレラファイトが1節でも長く続くことを切に願う。
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