見出し画像

劣悪な環境の奴隷が捨て身で王を撃った話

他の団体は知らないけど、日本プロ麻雀協会(C1リーグ以下)は、第1節〜第4節までを戦って順位を決め、最終節となる第5節は第4節までの順位で卓組が決められる。持つ者と持たざる者に分けられるのだ。

しかし、カイジに書いてあったぞ。

奴隷は持たざる者。猶予のない虐げられし者。しかし、その何も持たぬ…劣悪な環境であるがゆえに王を撃つのだ。その持たざる者の捨て身の怒りが1番恐いという、これは寓話。実際には王を撃つ甲斐性のある奴隷など存在しない。人間は…そうは簡単に捨て身になどなれぬ!

第4節終了時点 背水の陣を敷くアルパカ

ボクが入ったC卓は1番後回しにして、他の4卓をザッと見ていこう。

【A卓(4節までの順位・名前・最終節の結果)】
1位高田さん△31.0
11位中島望さん+194.1
12位吉野さん+50.5
22位今井さん△101.5
24位小宮さん△114.1

結果だけを見ると、2位の熊野さんを103.2ptリードしてる高田さんはあまり無理をせず、逆にボーダーまで33.2ptと迫ってる中島望さんは大暴れしたって印象だ。同期の今井さんや先輩で第3節に同卓させていただいた小宮さんは、残念ながら王を撃てなかった。

【B卓(4節までの順位・名前・最終節の結果)】
2位熊野さん+12.2
10位ようへいさん+39.3
13位剣崎さん+33.4
20位棚澤さん△91.1
23位西田さん+5.2

A卓同様、2位の熊野さんは無理して大振りしてない印象。同期の西田さんは第4節終了時点で棚澤さんの51.4pt下だったのだが、この最終節で同卓して直接沈め、96.3pt返して残留を決めた。

【D卓(4節までの順位・名前・最終節の結果)】
4位豊口さん+52.8
8位平山さん+86.2
15位大竹さん△65.8
18位平井さん△22.2
25位たきりょう△52.0

ボクが入ったC卓のことは最後に紹介するんだけど、このD卓が1番真逆の結果になったと言っていい。第4節までで上位の王たちがさらに富を蓄え、劣悪な環境の者たちがなけなしのポイントを失った。こりゃあ現代日本の縮図と言えるだろう。

平井さんはよく「耐え」という言葉を使うけど、大竹さん・平井さんは、降級しなかったという意味で、耐えた最終節にできてホッと一息ついてると思う。た、た、たきりょうは来期、2段階昇級とか3段階昇級とかねらうといいんじゃないかな!ウン!たきりょう頑張れー!菊川圭さんがそういう取り組みやってるから話聞いてみるといいヨ。いやいや、四神降臨じゃなくて。

【E卓(4節までの順位・名前・最終節のポイント)】
5位山本さん△4.7
6位清野さん△18.7
16位石井さん+20.7
17位天津さん+2.7

これはどうだろう、王を撃ったって言ってもいいものか。まあ本当に王を撃ったのは中島由矩なかしまよしつねプロ率いるC卓なので、こんな20ptソコソコの細かい話は別にいいんだけど。とにかく言えるのは、第4節までの上位グループが強くて下位グループが弱いってわけじゃないんだ、と。

よく言われる、たったの20半荘で本当の実力ははかれないっていうのもそうだろうし、麻雀は運ゲーだってのもある意味正しいのかもしれない。別に山本さんと清野さんに何も恨みはない…っていうか同卓した時は感じよく接してくれてむしろ感謝してるくらいなんだけど、ここは石井さんと天津さんがボクたち奴隷を代表して王を撃ってくれて嬉しかった。

えー、コホン。レディースアンドジェントルマンお待たせしました。イヨイヨC卓の成績発表です。

3位石原さん△67.7
9位白石さん△126.1
14位西川さん△73.9
19位中島由矩さんアルパカ+117.3
24位晃平さん+150.4

取りも取ったり、奴隷2人で合計+267.7pt。ちょっとしたプロボウラーくらい勝った。確かにボクたちは第4節まで振るわなかったけど、第5節も同じとは限らんのだよ。アンダスタン?

奴隷は持たざる者。猶予のない虐げられし者。しかし、その何も持たぬ…劣悪な環境であるがゆえに王を撃つのだ。その持たざる者の捨て身の怒りが1番恐いという、これは寓話。実際には王を撃つ甲斐性のある奴隷など存在しない。人間は…そうは簡単に捨て身になどなれぬ!

石原さん、昇級おめでとうございます。

ʕ•̫͡•ʕ•̫͡•ʔ•̫͡•ʔ•̫͡•ʕ•̫͡•ʔ•̫͡•ʕ•̫͡•ʕ•̫͡•ʔ•̫͡•ʔ•̫͡•ʕ•̫͡•ʔ•̫͡•ʔ

元々背水の陣だったところに1回戦3着で、しかも24位の晃平さんにトップまでプレゼントしてしまう始末。こりゃあイヨイヨ下が見えてきましたよ…アルパカnoteはどうやって組み立てていこうかなぁ…。あんまり湿っぽくなってもイマイチだしなぁ…って考えてたところだった。

まぁよくよく考えてみたら、1回戦も手は入ってた。ボクが迂闊うかつだから上家の親・晃平さんにダマ7700(タンヤオ・ドラドラ)放銃したりして、本当に心の底から腕が足りないんだなぁと身に染みてたところ。

で、2回戦も南2局までは晃平さんがトップ目だったんだけど、南2局・南3局と石原さんが晃平さんから点棒を奪ってくれて、ボクは南4局オーラスをドウニカコウニカ薄氷のトップ目で迎えることができてた。まあボクにしてみれば、ライバルが晃平さんから石原さんに変わっただけだし、なんならヘッズアップ(=ポーカー用語・1対1の戦いのこと)から三つ巴になって余計めんどくさい状態ではあるんだけど。

東家・石原さん35500
南家・中島由矩アルパカ40400
西家・晃平さん28300
北家・西川さん△4200

そこに下の一向聴でターツ選択。まだ3巡目とかそんな感じで、できれば立直棒を出さずに穏便に行きたいところなんだけど、それって劣悪な環境なのに捨て身になれてないってことなんじゃないかと、奴隷であるボクはそう思ったワケ。

(こういうのってだいたい両面から埋まるし、なんなら嫌った方の嵌張カンチャンが入って河に1メンツ並ぶけど、万が一テンパったら絶対立直しよう。)

って心に決めて、ボクは場に1枚だけ切られた6mを嫌う57mターツ落としを選択した。

ボク『立直。』

この後、親に18000放銃して2着順ダウンしてもいい。その時はアルパカnoteに書いて、みんなに笑ってもらえたらそれでいいじゃないか。ボクは悟りを開いたブッダのような気持ちでいた。いいんじゃよ、と。そういえば、モンスターラブの時のクロちゃんだって、最後は誰がウソをついてるかなんて考えずに自分が好きなリチの元に走ったじゃないか。一般的には、生牌より場に安い牌で待った方がいいとかいうけど、まあいいじゃないか、と。

そこに晃平さんから飛んでくる打6m立直。いや、ちょっと待ってくれ、と。さっき悟りを開いたばっかだけどいったんなかったことにさせてもろて、ちょっとだけ待ってくれ、と。悟りとは。

晃平さんがどんな手形だったのかは知らないし、そんなに興味もないけど、打6m立直ってことは、もしボクが68pを外して嵌6m待ちに取ってたら勝ってたってことなんじゃないの?立直・一発・ドラ1の5200でトップ終局だったんじゃあないの?いやそれならやっぱ68p外すよ。外すから2巡巻き戻してくれー。ドラえもーーーん。ヘルプミー!

あーもうツモってくるの嫌だ。なぜならこれは絶対晃平さんの当たり牌だからです。もしそうだったらアルパカnoteなんか書いてる場合じゃないんだよ。嫌だ嫌だ嫌だああぁーーーあああ!

ボク『ツ、ツモ、2000/4000。』(立直・一発・ツモ・ドラ1)

麻雀の上手な人たちは、何かっていうとすぐに

◆いやぁツイてました。ウフフ。

みたいなことをよく言うけど、ボクのこの嵌7pパッツモ見ても同じこと言えるんだろうか。ツイてたとか運だけとかそういうのは、このパッツモ以上やってから言ってほしい。おお井の中のかわずたちよ、アナタたちの麻雀は腕です。ツイてるってのは、この嵌7pパッツモみたいなことを言うんですヨ。

ʕ•̫͡•ʕ•̫͡•ʔ•̫͡•ʔ•̫͡•ʕ•̫͡•ʔ•̫͡•ʕ•̫͡•ʕ•̫͡•ʔ•̫͡•ʔ•̫͡•ʕ•̫͡•ʔ•̫͡•ʔ

3回戦の南4局オーラスは石原さんの2000/4000ツモで幕を閉じた。これはいわゆる「素点回復」というやつで、着順に影響はなく、ボクは150年続いた老舗旅館の閉館を見守る若女将おかみのように、ちょっと寂しいけど穏やかな心持ちで2000点を手渡した。いいんですいいんです、4回戦は星野リゾート(抜け番)だからいいんです。

ボクをこんなに穏やかな気持ちにしてくれたのは、中盤での2度に渡る3000/6000。

配牌からドラドラだった手を丁寧に育てて、10巡目前後に立直。

対面の白石さんによる追いかけ立直を受け、もう残り手番が少なくなってきた15巡目くらいに6pをツモ。心中(安めかぁ…。)とガッカリしてたところ、

裏ドラ表示牌に3pが転がって立直・ツモ・オモオモ・ウラウラの3000/6000に。高めが裏ドラ表示牌にいるなんて(モフモフ)、おいー(ニヤニヤ)、麻雀んー(ニヨニヨ)、イジワルだなぁもう(デレデレ)。つき合いたてのカップルの、彼氏が彼女のおでこをコツンとするようにスゥイートな幸せだ。

で、すぐ次局のことなんだけど、こっちはちょっと刺激的な幸せ。さっきの3000/6000でトップ目には立てたので、役もあることだし今度はダマで行こうと思ってた。数巡で6p・7p・9pがバラバラッと切られてしまって、いわゆる「8pが良さそう」な状態に。お?中島由矩さんアルパカがプロっぽいこと言ってんな?

それでもラス牌の辺7pツモからの平和・一盃口あたりをイメージしてたんだけど、ヒョッコリやってきたのは二盃口確定となるツモ4p。

4p『えへ★来ちゃった★』

ボク(来ちゃった★じゃないよもう…かわいいなぁ。さ、さ、入りなさい、入りなさい。風邪引いちゃう。単騎はそうだなぁ…タンヤオがついて山にありそうな8pにしようねぇ。)

ボクが甘いささやきをしてるのをよそ目に、下家の晃平さんから立直宣言。いくらトップ目だからって、こんな和了れそうな聴牌で、なおかつ今後ツモ切りしてくれるって言ってる人がいるのにダマにしてる意味もない。ボクはツモ切り立直とした。やがて白石さんにも聴牌が入ったようで、立直。トップ目(ボク)を直撃できるチャンスだし、そりゃあそうか。

かくして、瞬く間に三軒ファイアができあがった。ボクの脳内のダルシムも、ビヨンビヨン飛び跳ね、クルクルと突き刺さる。ヨーガ、ヨーガッ。

こんなのツモれたら、そりゃあ勝てるよねぇ。と、今なら思う。赤なしで、みんな2600とか700/1300とか言ってるのを横目に、3000/6000・3000/6000だもんなぁ。

最終節終了時点のアルパカ これがラス前なら最終節に昇級目指してやれるのになぁ…

というワケで、みんな大好きアルパカさんは、三笘のクロスばりに際どいところからVARで残留をキメました。次回は22期前期でお会いしましょう。アデュー。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?