和了れる立直はどれ?佐藤まひろのロジックツリー
シンデレラ候補者にはシンデレラ候補者それぞれの事情があって、出場が決まってからやっぱり出られなくなるというケースも決して珍しいことではない。
今回は、シンデレラファイト本戦に空きが出た関係で、緊急予選会が開かれることになった。4人で1半荘を行い、トップだった者が本戦出場権を得るという、トップ取り麻雀だ。
出場選手は、RMUの旭茅乃・最高位戦の佐伯菜子・タレントの鈴木桃子、そして日本プロ麻雀協会からは20期後期入会の佐藤まひろの4名。
麻雀とジャンルは異なるものの、漫才ショーレースの最高峰・M1グランプリでは、2007年のサンドウイッチマンと2015年のトレンディエンジェルが、それぞれ敗者復活戦を勝ち上がり一気に本戦も勝って栄冠を手にしている。両組のその後の活躍は、改めてここに書くまでもないくらいだ。佐藤としても、この緊急予選会でトップを取り、一気にシンデレラまでの階段を駆け上がりたい。
さて、ここからは3択クイズ形式で、緊急予選会での佐藤の麻雀を見て行こう。3つとも佐藤が立直をかけた時の牌姿なのだが、3つのうち和了りにつながったのはわずか1つだけだった。和了り率の低さについては、表題にもつけた【ロジックツリー】を用意したので、それを見てもらいながら原因を究明していきたい。
まず1の牌姿は東3局南家での立直。立直・平和・一盃口・赤の打点は8000から。入り目が一盃口確定となるツモ5pで、もし筆者が対局者なら3つの中で1番自信のある立直だったと思う。
ドラが7mだったのだが、ドラ受けを見て最後まで残した6mが立直宣言牌となった。この6mは無筋で、先行立直の佐伯もさぞかし肝を冷やしたことだろう。
2の牌姿は東4局親番中の立直。パッと見一気通貫にも見えるが、立直・平和・ドラ1の5800から。鈴木からの先制立直をものともせず、くっつきで残していた無筋の6sを、まるで現物を切るかのように自然に曲げて追いかけ立直と行った。
トップ目の佐伯とわずか600点差の鈴木は、立直した時点では和了れたとしても流局したとしても瞬間トップ目に立てるという目算だったはずだが、親に追いかけられて心中はいかばかりか。
最後となる3の牌姿は南4局親番中の立直。立直・一盃口・赤だが、親番なので出和了り7700、ツモると4000オールからとなる。待ちは自分で1枚使っている嵌6pだが、2巡目立直なので他家を止めてじっくりとツモりにいきたい。
この問題はいわゆる【ひっかけ問題】に分類されるのだろうか。正解は1番待ちがよくなさそうな3番で、1と2の立直は残念ながら空振りに終わってしまった。
さてここで、手を組んでから和了るまでの行程をロジックツリーで見ていきたい。
佐藤が1の牌姿だった時の、先制立直の佐伯の手牌を見てみよう。
佐伯はいったん嵌4mの仮テンに取っておくと、4枚目の6sを引いて58mノベタンに切り替えて立直と行った。佐藤の36s聴牌は、上のロジックツリーでいうと、【山にある→他家に流れる】もしくは【山にない→吸収される】のあたりだったと推測される。和了りを示すアルパカマークまでたどり着けていない。
佐藤が2の牌姿だった時の、旭の聴牌形を見てみよう。
シンデレラファイトは赤が3枚入っている。佐藤の高め12000からとなる赤5mを旭が引き入れて、打3mとし25m中の変則三面張に取っている。1の36s聴牌同様、佐藤の58m聴牌は、上のロジックツリーでいうと、【山にある→他家に流れる】もしくは【山にない→吸収される】のあたりだったと推測される。これもやはり、和了りを示すアルパカマークまでたどり着けていない。
最後に、佐藤が3の牌姿だった時の佐伯の手牌を見てみよう。
2巡目立直で判断材料に乏しいことに加えて、南4局ということで、全員がトップ(=シンデレラファイト本戦進出)だけを見ている。さらには佐伯の立場からすると、仮に佐藤に放銃したとしても連荘となるので、試合自体は終わらないということもあった。ありとあらゆる角度から考えてみたけれど、3は1や2と大きく事情が異なっている。
南家の佐伯は、下の手をダブ南・ホンイツ・一気通貫に育てて、本戦出場を目論んでいたのだ。この6pは止められず、ロジックツリーで言うところの【山にない→勝負してくれる】のルートをたどって和了りにつながった。
最後に、上の佐伯と同じく一撃で逆転シンデレラをねらった旭の闘牌を紹介して観戦記を締める。
トップ目の鈴木まで13000差の旭は、一般的な言い方で表すと【満直・跳ツモ条件】。入り目はタンヤオがつくツモ4sだったので、できれば6mツモでの3000/6000としたかったが、乾坤一擲で立直した4巡後のツモは残念ながら安めの9m。しかし、旭が祈るように裏ドラをめくるとそこには6sが転がって、裏1で見事跳満成就と相成った。
せっかく一生懸命作ったロジックツリーなので再度下に貼りつけるが、南4局旭の立直は典型的な【山にある→自家に来る】だった。
でも、旭と佐藤の差については、今の筆者の雀力じゃ解明できないんだよなぁ。トホホ。
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旭茅乃さん、おめでとうございます。本戦でも、緊急予選の時のように、決断良く戦ってきてください。
佐藤まひろさん、緊急予選会お疲れ様でした。いい麻雀をありがとうございました。
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