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美容室開業 自己資金として認められるもの、認められないもの

美容室専門税理士の中嶋です。
今回のテーマは、美容室の創業融資を受ける時、どんなお金が「自己資金」として認められるのか、認められないのか、をご紹介します。

〇「自己資金」って、どんなもの?
「自己資金」というのは、今、手元にあるお金のことを言うのではなく、自分が開業のためにどれだけ準備をしてきたのか、を証明するものです。自己資金の金額が大きければ良い、というものではなく、たとえ、金額が少なくても、開業のためにコツコツと積み上げてきたを証明することができれば、融資を受けることができるチャンスは十分あります。

〇みんなの自己資金はいくらぐらいあるのか?
どのタイミングでこの質問をするかによりますが、まだ具体的に開業の時期を決めていない方の場合は、今の手元のお金は50万円から100万円の間の人が多いです。どちらかと言えば、今の手元資金に不安があり、開業のためにどれくらいの自己資金が必要なのかを相談される方が多いです。
このタイミングの開業相談が実は最も望ましく、今のお金の状況を踏まえて、これからいくらの金額を、どのように準備すればよいのかを知ることが出来れば、必要な自己資金の準備の対策は十分行うことが出来ます。

 4か月後から半年後に開業を考えている、という方の自己資金としては、自分で準備したお金は100万円から200万円ほどの方が多いです。もちろん、300万円から500万円準備してきた、という方もいます。

 ここで分かれてくるのが、自分で準備したお金は200万円で、身内からの支援金や借りたお金が200万円から300万円ある、という方と、すべて自分で準備をしてきたという方。
 すべて自分で準備してきた方は何の問題もありませんが、身内からの支援金や借りたお金を、融資面談の場面まで、自分が準備してきたお金であることを伝えていないと、融資面談で大きなマイナス要因となる可能性があるので注意が必要です。

〇自己資金として認められないもの
 代表的なものが「タンス預金」です。タンス預金というのは、通帳でお金を貯めるのではなく、現金でお金を貯めてきた、というお金のことを言います。中には500円貯金をずっと貯めてきた、という人もいます。自己資金というのは、自分がどれだけ開業に向けて準備をしてきたのか?を証明するお金です。しかも、これは自分で証明すべきものです。お金があればいいでしょ?認めてくれないの?ダメなの?という態度が通用する甘くはありません。仮に本当に貯めてきたのであれば、開業前の段階で、銀行口座に入れておいてください。
 次に、第三者からの借り入れです。身内から借りたお金も自己資金とはなりません。お金に色は付いていませんから、借りたお金なのか、もらったお金なのかも分かりませんよね?分からないからこそ、自分で証明をする必要があるのです。ただし、借りたお金は「自己資金」ではありませんが、開業に使って良いお金であれば、お金を借りること自体は問題ありません。問題は、「だれ」から借りたお金なのか?ということです。例えば、以前の勤務先の会社やオーナーから応援の意味でお金を貸してくれた、ということであれば問題がないことが多いですが、一般的には返さなければならないお金と考えますから、金融機関から借りられる融資額に影響を与えることが多いです。
 次に返さなくても良いお金、いわゆる「贈与」でもらったお金です。「贈与」に関しては、自己資金としては認められませんが、開業に使っても良いお金となりますので、創業融資においては不利になることはありません。ただし、本当に贈与なのか動画が重要となります。ほとんどが身内からの贈与によるお金となりますが、先ほども触れたとおり、お金に色は付いていませんので、もらったお金なのか、借りたお金なのかは分かりません。自分で準備したお金だけが、通帳の流れから証明できるお金と言えます。「贈与」とは、あげる方から「あげるよ」という意志表示と、お金を受け取る側で「もらうよ」という意思表示があって、はじめて「贈与」となります。この意思表示だけで贈与は成立しますが、やっぱり証明できた方が望ましいので、「贈与契約書」の書面を準備しておくことが望ましいです。もしくは、親の通帳から引き出したことが分かる資料の準備をしておくことが望ましいです。

〇自己資金として認められるもの
自己資金というのは、開業に向けてコツコツと準備してきたお金のこと言います。自分の通帳にコツコツと積み上げてきたものが最も望ましいのですが、それ以外でも認められるものがあります。
・家族名義の預金に貯めてきたお金
生活費は奥さんに渡しているという方は奥様名義の通帳に残っているお金も自己資金と認めてもらえます。また、生活費は全部自分がお金を出して、妻が稼いだお金を貯金していたという人も奥様名義の預金通帳でも自己資金として認めてもらうことが出来ます。お子さん名義の通帳でも大丈夫です。つまり、家族名義の預金であれば、コツコツ貯めたお金であれば、開業のために準備してきたお金として認めてもらうことは可能です。もちろん、家族名義なら何でも良いのではなく、開業の為ではなく、将来のためのお金を開業のために使って良いわけではありませんので、何のための準備のお金なのかはしっかり区別しておきましょう。
・生命保険などの貯蓄
 貯蓄性のある生命保険の自己資金として認めてもらうことが出来ます。掛け捨ての保険はダメですが、貯蓄性のある保険は大丈夫です。今、解約したらいくらになるのかを融資申請前に保険会社から書類を出してもらうと良いです。融資申請前に解約する必要はありません。あくまでも、今、解約したらいくらあるのか?が分かれば十分です。
・退職金
 今の勤めている会社から退職金がもらえる予定であれば、それも自己資金として認めてもらうことが出来ます。ただし、融資申請に段階では、まだ退社前であることから、実際の入金は後になります。本当に退職金が受け取れるのかどうか、会社の退職金規定や退職金として積み立てを行ってきたことが分かる処理を提示すると良いです。

〇まとめ
自己資金とは、これまで自分がどれだけ開業に向けて準備してきたものかのかを証明するお金です。そして、その証明は自らがする必要があります。コツコツと準備してきたお金であれば、通帳でなくても、保険や退職金、場合によってはタンス預金でも自己資金として認めてもらえることが出来ます。大切なことは、自分が証明できる、ということです。融資審査をする金融機関から見て、本当に貯めてきたお金なのかどうかをどうやって証明できるのか、今から自己資金を準備する方は、この点を考えて自己資金を貯めてください。

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