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週刊ひとりごと No.1 「初めて乗った車」

自分の車を買ったのは、23歳の時。買ったというのは嘘だな。親父に買ってもらった。20万くらい。1978年式くらいだったと思う。

「カローラ・クーペ1200デラックス」 こんな奴↓。

カローラ

卒業旅行で海外の建築を見に行く為にお金を使う仲間を尻目に、車を買った。「日本もろくに観ていないのに、海外に行ってどうすんのよ?」って思ってた。「俺は、車で日本中の建築を見て回るんだ!」と思って、車を買った。若かった ...。実は、ただただ、車が欲しかった。

家の家業は運送屋。戦後まもなく、親父がダイハツのミゼットという三輪車を貰って一人で始めた。だから、小さい頃から、トラックの助手席に乗って、いろんなところに行った。18歳になるとすぐに免許を取って、夏休みにはトラックの運転手をした。最初は1.5トンまでしか運転させて貰えなかった。でっかい4トン車を運転した時の感動は今も覚えている。中学生の時にハーレイに乗った夢を見て無精した時と同じくらいの快感だった。懐かしいなあ。

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別にカローラが欲しかったわけじゃ無い。親父と田舎の中古車屋に行った時にたまたまあった奴。車はなんでもよかった。車で日本中を動き回れる自由を手に入れたかった。いや、ただ運転がしかった。1200ccなので、馬力が無く、遅かった。だから、いつもレッドゾーンギリギリで走ってた。ハンドリングの性能は良かったから、坂道の下坂は早かった(^^)。だからよく山道に出かけた。ダブルクラッチとかヒールアンドトウを練習してたけど、スピードが出てくるとそんなことしている余裕もなく、今思えば、車に可哀想なことをたくさんした。何回か、カーブを曲がり切れずにスピンして山に突っ込んだりもした。若かった...。

色々とカスタマイズした。買ってからすぐに、色を黒に塗り替えて、ドアミラーに変えた。クラッチとブレーキとアクセルをヒールアンドトウがしやすいペダルに変えた。マフラーを変えるお金はなかったので、キャップだけ換えた。とても安っぽい音しかしなかったけど、それでも嬉しかった。キャブをウエーバーのツインキャブに換えたかったけど、これもお金がなかった。

カローラを買ったのとほぼ同じ時期(大学4年の終わり)に結婚した。かみさんと何回もカローラで東京から大分に帰った。まだ、高速は繋がっていなかったけど、その長い道のりが楽しかった。東京に帰る時は母親が持たせてくれたいろんなものを助手席も身動きが取れないくらいに隙間なく積んで帰った。窮屈だけど、むしろ、楽しかった。

黒いドアミラーのカローラ・クーペ1200デラックス。たくさんの思い出をくれた。もうスクラップになって、この世には存在しないんだよな。でも、親父も母親も天国に行っていないけど、心に中に生きてる。黒いドアミラーのカローラも。






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