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#010 卒業制作をスタート

このnoteは、ムサビ通信及び美大の通信過程への挑戦を悩まれている方に、それまでの過程をお伝えするマガジンです。

こんにちは。
3年次を終えて、4年生になりました。
これから卒業制作の1年が始まります。
4年では対面授業も少なくなり、「空いた時間は卒業制作に費やすんやで」と言わんばかりです。

そんな卒業制作の始め方をここに残しておきます。

 - 表紙画像は授業最終日のプレゼンより抜粋。

始め方をガイドしてくれた「システム研究」

ただいきなり4年生になって、
いきなり卒業制作に一人で向かおうとしたのですが
「卒業制作ってなんだ・・・テーマ・・?テーマをみつけるのか・・・?」
となってました。

そんな時にありがたい対面授業がGWにありました。
それが「システム研究」。

この授業では担当の先生とクラスメイトと共に、
卒業制作のテーマや方針を一緒に固めていく授業です。

関心のあるイベントやニュース、事象を各自メモしていきます。
それらをクラスメイトと話しながら、研究の方向性を広げていきます。

この過程で、
「なんとなく関心があることがら」レベルから、
少しずつ研究の方向性を作っていきます。

私は薬学部出身なので「人間の体の中の機構(生化学)」に美しさを感じていたため、それをテーマの中心に据えることとしていました。

具体的なその成長過程(?)をいかに記していきます。

卒業制作の深掘りの過程

1日目

まずは自己紹介。そして、自分の関心のある事柄を書き出していきました。
・DNA塩基の複製・変異の機序
・細胞内の作用機序(TCA回路)
・データベース
・センサー(光、距離、赤外線、温湿)、LED、ESP32
・免疫反応(ウイルス、Tcell、Bcell、抗体作成、抗原提示細胞)
・骨の構造(ハーバス管、緻密質)
・心臓の刺激伝達系
・筋肉の構造と収縮(腕の曲げ)
・タンパク質合成機構
・透明(透明標本、ガラス)
・植物と香り、樹木
・群舞、バレエ

2日目

1日目で列挙したうち、興味のある抽象的なテーマを3つに絞りました。

■テーマ:境界

ものの境界

「うちとそと」、「人とそれ以外の動物」、「所有と公共」など
境界が曖昧なもののビジュアルと単語を集め、その境界を見つけていきます。

メモ
一つの方向として、あえて境界を分けにいくことで、『キッパリと分けられない』ことを証明する。でもその分けられなさに、デザインで調和を掴んでいく試み。
■テーマ:軌跡

軌跡

何かを持ち上げる、猫が壁へジャンプした、傘を開く、卵が転がる、しゃもじでご飯をよそう、などの動作や、
電車の吊り革の1日の動きなど、街中に潜む軌跡を見つけていきます。
■テーマ:生命(人間の身体)

身体という物体

大学で体の中で行われている美しい機構(理論)を学び、その機能性に感動した。また、筋肉を取り出し、心臓をこの目で見たからこそ「物質」としての身体にも惚れ込んだ。
医学・薬学を専攻していない人にもその美しさを伝えるべく、体を構成している物質とその機構(働き)についてビジュアライズする。

とりあえず3テーマの絞ったところで前半授業は終了しました。
この後GW(5日間)をはさんで後半授業へと続きます。

GW

テーマの候補「境界」「軌跡」「生命(人間の身体)」について、それぞれ卒業研究になった場合の研究内容を想定していきました。また、テーマを決定する判断軸として、①時間的制約②実現性③新規性の3方向から吟味していきました。

・キーワード検索から境界や軌跡という言葉に紐づく現象を探し、自分の中のイメージを書き出す
・テーマ関連書籍を読む、関連作品を探す
・美術大学の卒業研究と関連記事を見て、最終作品の表現の幅とそれに至るまでのスケジュールを参考にする

こうして、「生命(人間の身体)」をテーマに選択しました。

3日目

「生命(人間の身体)」というテーマの中で、
自分が美しいと思う事象について具体的に書き出していきました。

構造化しました。機能は機能”美”という名前に。

機能(機能自体の美しさ)と機構(流れの美しさ)に分類し、それぞれどのように表現していくか、という整理に落ち着きました。

4日目

最終日は、デスクトップリサーチに時間を使いました。
「機能美」を生かした作品と「機構」を生かした作品を探していきました(いろんな表現方法の作品が出てくるように、使用素材や作品カテゴリを変えて検索しました)。

  • バイオアート

  • 精巧

  • 動き

  • 模型

同時に、作品が「美しい」と感じる理由もいくつかあるとわかりました。

『過程を見せられるからこそ、その凄さに感動する』という方法
『シンプルな構造なのに、すごい』という側面を演出する方法
『精巧な構造が1箇所にコンパクトにまとまっている』という側面を押し出す方法
など、普遍的な美しさについて、クラスメイトと共有できたことは嬉しかったです

今後の方針

まだ最後の作品形態が思いついていないですが、

○体の中の、見えないinfomationを外に出す
○『きれい』と感じる作品ではなく、その作品を使って、議論できるような作品に
○身体がもつエネルギーや生命感を凝縮して、作品に表す
○その作品に『自己の一部』という感覚が芽生える作品に

などの案があるため、今後実験をしながら絞り込もうと思います。

『自己を感じさせる仕組み』の仮説

・自己と感じる 特定の模様(記号としての役割) があるかも
(例えば、蜘蛛が蜘蛛の巣の🕸️形を見たら自分と関係あると感じるかも、のような)

・自己と感じる 特定の動き があるかも
(自分と関係なく動く、または自分とインタラクティブに動く)

・自己と感じる 特定の可視化された関係性 があるかも
(たくさんの同族がいる(例えば人の行列)、自分と状況が近いものを見ている、など)

リサーチ中に心に残った作品

感覚が近い作家さん(JACK HENRYさん)を見つけることができました、嬉しい。この作品たちを見て、美しいと思った箇所を言葉にしていきます。


また次回。

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