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2022年 64冊目『弓と禅』

ドイツ人哲学者であるオイゲン・へリエルさんの本です。
スティーブ・ジョブスの愛読書でもあったという事で手に取りました。


彼は禅(神秘体験)に関心があったのですが、ドイツでいかに学んでも本質が掴めない。

時代は1920年代、来日し東北帝大で哲学を教える話があり快諾し来日。
禅を学ぼうとしたのですが、文化的背景が分からない外国人に禅は学べない。

可能性があるとしたら○○道を学ぶ中で、禅の精神に触れられるかもという大学の同僚にアドバイスを貰ったのです。

その同僚の師である弓聖と称えられた阿波研造さんに師事し学んだ記録です。

著者の実体験によって、無心の境地をどのようにして体験できたのか、段階的に解説していて読みやすいです。

本の途中での筆者の葛藤が人間らしく感情移入しやすいです。
最終場面直前での阿波さんの腕前も半端なく、それをきっかけに著者も一皮むけることになります。

日本文化に馴染みのない外国人だったからこそ、そして真面目な気質のドイツ人だったからこそ、最後までたどり着け、それを文章として丁寧に書けたのかもしれないと思いました。

意識を超えた無心は、おそらく体感しないと分からないのだろうなと思いました。

それはとても深く、難しい内容です。
そもそも説明できない内容だという事です。
中村天風さんの言葉にも通じます。

しかし、呼吸法や自然と動く。
あるいは力を抜く。
などは、現在やっているモビリティケアと類似の概念だとも思いました。
一読の価値あると思います。

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