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2015年 17冊目『職場の人間科学』

MITメディアラボ客員研究員でソーシャル・センサー技術でPeople Analiticsを行うソシオメトリック・ソリューションズCEOのベン・ウェイバー氏の本です。

要は人にカード型センサーをつけてその動きで様々な事を調査する第一人者です。

データの見えざる手の矢野さんの話のアメリカ版だと考えると理解しやすいです。

実際、日立の矢野さんの名前も謝辞に入っていましたし、著者も日立で仕事をしていたようです。

興味深いエピソードが載っていましたので、メモしておきます。
ソーシャル・センサー関連以外のビッグデータ分析の話も含まれています。

・アメリカの流通大手ターゲット社は25種類の製品カテゴリーの購買行動を分析する事で、非常に高い精度で出産日を予測できるようになり、販促に活用しています。

精度が高まりすぎて、両親が把握していない女子校高校生の妊娠まで把握できるようになってクレームが入ったそうです。「娘に妊娠したようなDMを送るとはなんだ!」しかし、後日彼女の妊娠を両親は把握されたそうです。

・カード型センサー着用はオプトイン(本人同意)すれば9割程度のOKを貰える。不同意の人には、センサー機能の無いカードを着用してもらうことで、不同意が分からないようにする運用も可能。

・人同士のネットワークをある人を中心に放射状に繋がっているのを多様性の高いネットワークと名付け、放射状に様々なネットワークが作られているのを凝集性の高いネットワークと名付ける。

・仕事に限らずプロスポーツでも凝集性の高いネットワークの組織の方が生産性や成果が高い。

・プロバスケットボールチームでも、スタープレイヤーを集めたチームの1年目の成績が優れないのは、これが理由。

・新しいプロジェクトでも、スタート時にキックオフミーティングを行い凝集性を高めると、成果が高まる。

・テレワークなど物理的に離れていると多様性の高いネットワークになりがちで、生産性や成果は下がる。

・凝集性を高めるために、同じチームのコーヒータイム(15分)を揃えただけで、生産性が向上する。

・コールセンターの凝集性を10%高めると実に経験30年分の効果があった。また、そこまでの効果はないがストレス低減にも寄与し、離職率が下がる。

・コミュニケーションのハブになる人物とのコミュニケーションを増やすと、その人が組織に馴染むまでの時間は短縮できる。

・創造力が高い日は、身体活動が増え、メンバー同士の交流が活発になり、会話の時間も長くなる。

・凝集性が高まりすぎると、多様な意見を取り入れなくなる。RIM社(ブラックベリー)はiPhoneの脅威を過小に評価しすぎたのは、凝集性の高さの負の側面。

・日本では風邪をひいたら、休めと言われる。アメリカでは仕事が終わっていないのに、風邪程度で休んだら怒られる。疫学的には正しい。

・プログラマー同士を同じ場所で働くか、別の場所で働くかを比較すると、同じ場所の方が、良いプログラムになり、バグも少なくなる。

どの話も納得感が高いです。

やはり人は社会的生物で1人だけでは成果が出せないですね。

天才と言われていた人たちエジソンなどもたくさんの人と交流していたので有名ですね。お勧めです。

▼前回のブックレビューです。

▼PIVOTに出演しました。よかったらご覧ください。

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