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「なかの日本成長ファンドが「ベンチマーク」を置かない理由

 ~インデックスに勝つことを目指すのではなく、企業価値を底上げし、ファンドの絶対リターンを長期でデザインする~

 こんにちは。本当に暑い日が続きますね。みなさま、お体をご自愛ください。なかのアセットの運用部の山本 潤です。

今回は、なかの日本成長ファンドがベンチマークを置かない理由について解説します。

 相対リターンではなく、絶対リターンを目指すファンド

当ファンドは真のアクティブファンドとして、アクティブシェア9割以上を維持しています。

(アクティブシェアについての解説は以下のリンクをご参考ください)

https://note.com/nakanoam/n/n650098e1ccd8?magazine_key=m7a97147335f0

 アクティブ度を算出するためにTOPIXを参考指標としています。しかしながら、TOPIXはあくまで参考指標に過ぎず、当ファンドは、そもそもベンチマークを置きません。

 当ファンドの目標は、TOPIXに勝つことというよりは、自分自身に勝つこと!!なのです。目指すは、長期のデザインによる投資先の企業価値の底上げ。結果として、企業価値の増大を映したファンドの純資産価額の底上げです。わたしたちのベンチマークは現在のポートフォリオの企業価値に対する将来のポートフォリオの企業価値との比の最大化なのです。

 

 ベンチマークを置けば、それが短期でファンドの戦略に悪影響を及ぼす可能性があります。相場が悪いときにTOPIXに勝とうと思えば、株価の動きが小さいディフェンシブと呼ばれる銘柄群を採用しがちになります。相場がよいときには一転、業績の変化率が高い企業群を組み入ることを検討します。そうなると、ファンドの運用は、相場や株価の当てっこゲームに成り下がってしまいます。それは投機に過ぎず、投資とは言えないものです。

 TOPIXに勝てば、ファンドの価値が上がらなくても、顧客はそれで満足するのでしょうか。たとえば、TOPIXが2割下がったのに、ファンドが1割下がっただけなので、「よくやった」という評価になるのでしょうか。それは違うと思います。やはり、長期投資を謳う以上、ファンドの基準価額が買値を超えて持続的にしっかりと上昇していくことを顧客は望んでいると思います。

 ファンドの基準価額は、ポートフォリオを構成する個々の企業の事業価値を映したものです。個々の企業の事業価値の増大のペースを保つために銘柄選定をしっかりとすることがわたしたちの仕事です。

株価が上がらなくても、基準価額は上昇できる

みなさまは、投資先の株価が上がることがファンドの基準価額には必須とお考えかもしれません。しかし、そうとは限らないのです。わたしたちは、企業価値の計算においては、配当割引モデルを用いるため、投資家へのフリーキャッシュフローたる配当の見通しに着目しています。配当の成長率が企業価値の決定に大きな役割を果たします。

 ファンドにおいては、投資先の配当は基準価額に反映されます。たとえば、当ファンドの配当の利回りが平均して2%であれば、投資先の株価が横ばいであっても、手数料約1%の控除後では基準価額は1%程度上昇する計算になります。数年後に、配当が倍増したとしましょう。さらにその数年後に配当が再度、倍増したとしましょう。そのとき、株価が横ばいとすれば、配当利回りは倍の倍で8%になっていますね。それが10年後だとしても、年間8%のキャッシュフローが入り、およそ1%の手数料を控除しても、7%が残る計算になります。10年間、株価が横ばいだとしても、配当増による企業価値の増大により基準価額は上がっていくのです。ですから、わたしは、日々の株価ではなく、企業価値に着目してほしいと訴えているわけです。当ファンドの今期の配当成長率は平均して二けたありますし、利益成長については配当よりも高く3割程度のペースで増加中です。企業価値というものは、基本的には投資家へのフリーキャッシュフローである配当の増大のペースに依存します。配当がしっかり増える見通しが株価を押し上げるのです。繰り返しの主張になりますが、配当成長率が二けたであれば、企業価値も二けたで増加し、結果として、ファンドの基準価額も二けたで上昇することが見込まれます。

 長期で投資を正しくデザインできれば、成功するはずです。複利効果を味方にできるクオリティ・グロース投資は長期投資の王道です。わたしたちは、投資先の企業理念に共感し、その共感の輪をじわりと広げていくつもりです。投資先を応援したいという気持ちがあれば、相場が悪いときでも、投資をあきらめずに積み立てを継続することができるのです。それがわたしたちの作戦なのです。ですから、短期的な市場のゆがみを利用した株価の当てっこよりも、長期の地道な企業の自助努力の様子や競争環境の緩和等による収益の押し上げによる企業価値増大のペースを重視しています。

具体的には、成長率の高さと成長期間の長さを重視しています。企業業績は、突き詰めれば、個々の商品の価格と販売数量の積から算出されます。確度高く、商品価格が長期的に押しあがっていく、販売数量が伸びていく商品を厳選し、それらを提供するシェアトップ企業を当ファンドではクオリティ・グロース企業と呼び、厳選投資の対象にしています。

 繰り返しになりますが、当ファンドは、ベンチマークとの相対的評価ではなく、現在の企業価値に対する将来の企業価値という絶対的な評価を重視しています。そして、株価よりも企業の業績の動向にフォーカスを当てています。

ライバルは自分自身

さて、なかのアセットの社員も、他者との相対的な評価に惑わされることなく、絶えずベストコンディションを保ち、基準高く仕事をしていくことで、明日の自分が今日の自分を超えていくことを目指しています

わたしたちはよい方向に変われます。そして、ひとりひとりがそうあれば、社会を全体としてよりよい方向へと変えていくこともできるでしょう。そうであるならば、ベンチマークは、相対的なものではなく絶対的なものであるべきです。他者との比較ではなく、わたしたち自身の精神的及び知的成長であるべきなのです。

そういう理由で、わたしたちは、あえてベンチマークとしてのインデックスは置かないという決断を下しました。アクティブ運用である以上、絶対リターンで顧客に報いたいと思います。わたしたちがしっかりと運用すれば、インデックスを長期的には凌駕していくと考えています。わたしたちのフォーカスは日々のリターンの最大化ではなく、数年先の基準価額の最大化にあります。

短期投資と長期投資は、別の競技

短期投資と長期投資とは違う競技であるといってもよく、あえて、短期で我慢する展開を意図的にすることも長期戦略にはあるのです。ですから単年度のインデックスとの比較で勝ち負けを論じる態度に意味があるとは思っていません。むしろ、機関投資家のこうした単年度志向や短期志向が、運用者のスタイルドリフトを生じさせて、スタイルに磨きをかけた投資の専門家を育てきれない運用業界の現状を招いたのではないでしょうか。こうした短期の投資志向が、投資の本来の持つ社会的価値を見失わせてしまったのではないでしょうか。この反省から、わたしたち、なかのアセットは業界の在り方を変えなければならないという思いで誕生したのです。参考指標としてのTOPIXと基準価額の推移のグラフは、マンスリーに載せてはいますが、わたしたちの目標は、1万円からスタートした当ファンドの基準価額をなるべく多くの年数をかけず、できれば10年未満の年月で2万円台かそれ以上へ着実に載せていくことにあります。

 今回も最後までお読みいただきありがとうございました。みなさまのご指導ご鞭撻、応援をよろしくお願いします。

 (山本 潤)

 この記事は情報提供を目的として、なかのアセットマネジメント株式会社によって作成された資料であり、金融商品取引法に基づく開示資料ではありません。投資信託は値動きのある有価証券等に投資しますので基準価額は変動します。その結果、購入時の価額を下回ることもあります。また、投資信託は銘柄ごとに設定された信託報酬等の費用がかかります。各投資信託のリスク、費用については投資信託説明書(交付目論見書)の内容を必ずご確認のうえ、ご自身でご判断ください。

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