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「自由」そして「イメージの世界」~ 個人投資家宣言のこと(3)

 
こちらのnoteは運用チームメンバーが“自由に”リレー形式で書いているものです。
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「投資において大切なのは、技術以上にものの考え方」 と過去2回のnote コラムで何度か繰り返しました。
 
ちょうど、運用部長の山本潤も、「投資を文化に!なかのアセットの挑戦」において
 
―投資のハウツーだけを考えていても、結局のところ、投資とは何かということは、わかるようにならないでしょう。「投資のありがたみを人として感じる」という経験をすることで、はじめて、「投資の本当の意味がわかった」ということになるのかもしれません。―
 
と切り出しています。 
 
私自身が、当社代表 中野に最初に会ったのが、この2007年1月14日の「個人投資家宣言」の日。
 
この日をめぐる体験について、前文と第一条についてご紹介いたしましたので、その続きを今回でまとめます。

「個人投資家宣言」は、クラブ・インベストライフが主催した<生活者の長期投資元年>「投資ルネッサンス2007」にて、東京・銀座ブロッサムの会場に集まった400人弱の個人投資家の皆さんにより採択されています。

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第二条
「私たちは、長期投資によって経済的自立と社会貢献を目指す」


現在も資産運用会社のストラテジストとして活躍されている平山賢一さんが読み上げ、"第二条がいちばん難しそうな条文です" と続けました。
(まあ、確かに漢字がいちばん多い)
 
“Be the change that you wish to see in the world.”­
「こんな世の中になってほしいと願うなら、あなた自身がそのように変わらなければならない」
―これが第二条のポイントだと指摘されました。
 
―自分が変われば未来が変わる。まわりも社会もかえていくことができる。
企業の成長とともに、複利効果で自分自身の経済的豊かさも手に入れられる。経済的自立です。
 
―経済的自立ができたら、次は「おかげさんで」という気持ちで「こうなったらいいなと思う社会」になるような「かっこいいおカネの使い方をする」。これが社会貢献です。
 
―このような世の中になったらいいなという思いが実現するように自分がまず変わる、これが第二条だと思います。
 
平山さんの素晴らしいコメントです。
 
いかがでしょうか? 
 
当時のインベストライフの編集委員の間に、将来の世代のためにこんな世の中になったらいいなというイメージを抱いて、それに貢献するような企業を選んで投資をする、というような共有する空気感があったことが思い出されます。
 
そして、こういう言葉が出てくる伊藤主幹が読み上げられました。
 

第三条
「私たちは、良い社会づくりに貢献する企業を投資によって応援する」


ここは、日本における社会責任投資(SRI)ファンド運用者として、草分け的存在の速水さんの追加コメントを引用します。 SRIは、今ではESG投資と呼ばれ拡大しました。
 
― 問題は良い企業、応援したい会社はどこにあってどうやって見つけるか
完璧に良い会社は世の中にはありません。それが現実です。私は長期投資の銘柄選びは"結婚"と同じだと思っています。いちばん大事なのは将来の予測能力ではなく、忍耐力 !(笑)
 
 ― あまり相手に理想ばかり追い求めていると、自分が苦しくなってしまう。身勝手な思いをすてて、自分だって迷惑をかけているんだと思えば、今度は自分が何かをしてあげるという方向に考えが変わっていく。自分が変わることが大切なのです。
 
― 肩に力を入れず、軽い心で「こんな世の中になったらいいな」と思い描いていると、理想の会社も応援した会社も向こうからやってきます。そのほうが、長く続けることもできるし、財産も増やすことができます。皆様が人生と投資の両方において良い相手に出会えることを祈っています。
 
企業選びは、結婚と同じかぁ! そこは思いもよらなかった!! 

このように解釈は皆さんが自由にイメージしていただいてよいのです。
 

第四条
「私たちは、投資リターンに心の豊かさも求める」



この条文を読み上げたのは私でしたが、ここは、実際にバハマに行き、伝説的ファンドマネージャー、ジョン・テンプルトン卿にも会ってこられた岡本和久さんのコメントをご紹介したいと思います。
 
― 人生の目的はお金持ちになることではありません。 それは手段です。目的は最終的に心の豊かさであり、幸せになることです。投資の目的も「お金持ち」になることではなく、「幸せ持ち」になることです。 
(中略)
―つまり、「おカネの奴隷」になることなく、外側の富が増えるに連れて品格が上がる人もいる。この人は「おカネの主人」といえるのだと思います。第四条はそのことを言っているのだと解釈しています。
 
 私は学生のころ、つまり40年以上前にインドのカルカッタ(コルカタ)のマザー・テレサの修道院を訪ねました。その時、「死を待つ人の家」や「聖なる子供の家」で、2週間ほど活動したことがあります。 
 
このため、高度経済成長期の日本の成長企業を発掘し投資していたことで有名だった、あのテンプルトン卿が、マザーテレサを称え、支援を行ったことに大きな感銘を覚えました。 
テンプルトン卿は「おカネの主人」であったようです。
 

第五条
「私たちは、急がずあせらず、ゆったりと投資を行う」



この条文を読まれたのは、コモンズ投信のファウンダーとなる 渋澤健さんでした。
 
長い間、一流のトレーディングハウスで日々の動きに向き合いトレーディングをされていた渋澤さんが、時間軸では対極にある長期投資に関して、どのようにコメントされたのか?
 
―私が長期投資に目覚めたのは自分の子どもが生まれたときです。彼が成人するまで毎月、積立をしようと思ったのです。
 
渋澤さんは子育てを意識して積立を始めたどころか、30銘柄30年投資の会社を設立され、草食投資隊として、中野らとともに活動されたことはご存知の方も多かろうと思います。
 
また
― いくら儲かっても絶対におカネで買えないものがあります。 それは「時間」、特に「過ぎ去った時間」です。我々は皆、時間をもっている。それを使わないのはもったいない。時間をかけて、それぞれが共有できるような会社に投資をしていく。それが私にとっての長期投資だと思っています。
 
以上、私自身が携わった 2007年1月14日の「個人投資家宣言」について自己紹介がてらご案内しました。
 
つらつら振り返ってみると、<投資ルネッサンス2007>や 「個人投資家宣言」 もまた、私個人の考え方をより強固なものとし、澤上篤人さんのみならず尊敬すべき多くの恩人、プロフェッショナルたちとの出会いや学びを、偶然ではなく必然に変えていたことに、あらためて気づかされました。
 
あれから17年の歳月を経て、世の中の環境はかなり変わってきています。

まさに機は熟せり 

そんな中、なかのアセットマネジメントは誕生し、事業を開始しました。

山本の言葉を借りれば、「投資を文化に!」です。
 
私たちは短期の株価動向に一喜一憂する態度から一線を画し、確固たる長期展望に基づき、本物の長期投資の在り方を社会に対して提唱していく姿勢を、調査においても、運用においても、これを貫いてまいります。
 
3回にわたり、お読みいただきありがとうございました。
 
 
運用部 シニアポートフォリオマネージャー  菅 淑郎  CFA
 
 
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本文で触れた「個人投資家宣言」 に関するイベントが催されます
 
6月30日 このような記念イベントも、当社近くのFinGATE KAYABAにて、 当社の中野社長も、パネルディスカッションで登壇予定です。


 
この記事は情報提供を目的として、なかのアセットマネジメント株式会社によって作成された資料であり、金融商品取引法に基づく開示資料ではありません。
投資信託は値動きのある有価証券等に投資しますので基準価額は変動します。その結果、購入時の価額を下回ることもあります。
また、投資信託は銘柄ごとに設定された信託報酬等の費用がかかります。各投資信託のリスク、費用については投資信託説明書(交付目論見書)の内容を必ずご確認のうえ、ご自身でご判断ください。
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