己のためにカツを揚げろ
久々に映画館で、映画を観る時間を作ることができた。
役所広司さん演じる、渋谷の公共トイレの清掃員の日々を映した120分、PERFECT DAYS。
ドラマティックな起承転結はなく、
毎日淡々粛々と、朝起きて歯を磨いて、植物に水をやり、缶コーヒーを買って、公衆トイレを磨き上げ、写真を撮り、いつもの居酒屋でいつものメニューを頼み、夜眠りにつくまで古本屋で購入した本を読む日々の積み重ね。
自分で自分を満たす術を知っている大人って、こんなにもカッコイイのか、と思った。
あまりYouTubeを開かない私だけれど、ずっと見ているYouTuberに、「人間」さんという方がいる。
私が人間さんを気に入って見ている理由の一つが、
おもむろに自分のためにカツを揚げ始めるところだ。
料理に少しでも手を出した人ならわかると思うが、
揚げ物って滅茶苦茶めんどくさい。
アチアチの油が撥ねてくるし、すぐ食べないと冷めてしまうし、油の処理だって下水に流すわけにはいかない。
でも、人間さんは自分のためにカツを揚げる。
サクサクの衣が自分を満たしてくれることを知っているから。
手をかけて作ったものの美味しさを知っているから。
自分で自分を満たせる大人ってカッコイイ。
私も春から一人暮らしを始めるが、たまには自分のためにカツを揚げてあげたいと思う。
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