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怪異蒐集

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「眠らない猫と夜の魚」に登場する大学生たちが収集した怪異話。 だいたい2,000字前後。ひまつぶしにどうぞ。
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2023年9月の記事一覧

怪異蒐集『集合写真』

■話者:Rさん、会社員、30代 ■記述者:黒崎朱音 「ここで集合写真を撮らないでください」  みたま市にある火葬場の待合室には、そう書かれた一風変わった張り紙がある。理由は不明だが、この場所で集合写真を撮ると、知らない人物が映り込んでしまうという噂があった。  Rさんは高校生のときに、葬儀のためにこの火葬場を訪れたことがある。大叔母が亡くなったからだ。100歳近くになってからの逝去で、大往生と言ってもよかった。そのせいか葬儀も暗い雰囲気はなく、集まった親類が思い出話に花

怪異蒐集『猫の番』

■話者:Nさん、自営業、40代 ■記述者:八坂亜樹  Nさんが大学生のときに体験した話。  当時、Nさんは県外の大学に進学していたが、長く病床に伏せていた祖父が亡くなり、葬儀のためにみたま市に戻ってきた。  生前の祖父にまつわる良い思い出はあまりない。一代で会社を興し、一線を退いてからもなお会社の運営に深く関わっていた祖父は、盆や正月などの家族が顔を合わせる行事にも現れないことが多く、幼かった頃からどこか近寄りがたい印象があった。しかし、治る望みのない病気が発覚してから

怪異蒐集『山で目を塞ぐ』

■話者:Sさん、農業、80代 ■記述者:火野水鳥  昭和のはじめ頃に、Sさんが体験した話。  Sさんの家は農業を営んでおり、山にいくつか畑を持っていた。当時小学生だったSさんは、祖父の手伝いで山に入ることが多かった。  その日は台風が近づいているせいで、朝から強い風が吹いていた。山の畑に収穫待ちの野菜があったので、台風で痛む前にと、祖父とSさんは急いで山に向かった。  吹き付ける風の中を、祖父の後について山を登る。明け方の雨のせいで、足元はぬかるんでいた。足を取られな