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『IPPON!』脱稿まで打ち合わせあと何本!?(9)|原作付きマンガ一緒につくろう計画

前回までの展開はこちら


 シュレディンガーの猫、天然パーマ、前回はトレーニングルームでの一幕を終えました。
 今回も舞台は半年前の北関東大学。
 近藤くんに引っ張られた野口くんが、新入生勧誘イベント“競り”に向かうシーンです。

(原作テキスト)

◯北関東大学医学部・キャンパス内
野口と近藤、桜の木の中を歩いていく。
野口、「遊んでねーし!」「トレーニングだし!」「おれ6年生だよ? 最高学年だよ?」とぶつぶつ言う。
近藤、「センパイ、いちおうまだ主将でしょう!」「来てくれないと困ります!」と野口を引っ張る。
野口「わたし、このイベント、きらいなのよね」
近藤「ニシンのパイじゃないですか」
近藤、やれやれと野口を振り返る。野口、ヘラヘラとしている。
近藤「“競り”ですよ、競り。一年に一度、われわれ弱小部活にとっては人材確保の生命線。数は力なり、力は正義なり」
野口「でもさー」
野口、一転、まじめな表情になる。
野口「右も左もわからない入学式直後の新入生を、学生会の名の下に半強制的に連れて来て、先輩らが取り囲む中、大声で自己紹介させて、いっせいに勧誘するって」
野口「パワハラじゃね」
近藤、ちょっと驚いた様子で立ち止まる。

*第0話の原作全体をおさらいしたい方は『(1)第0本(プロローグ)原作テキスト』で再読できます。

◆原作担当:朽木 誠一郎
◆ネーム/解説:中村珍

※この企画は、2018年までに原作者・朽木誠一郎さんが執筆した原作テキストを頂いて、作画担当・中村が、2019〜2020年にかけて、制作と並行しながら解説しています。


通しネーム(掲載済みの分)

初見ネーム-001

初見ネーム-002

初見ネーム-003

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初見ネーム-016

初見ネーム-017


今回追加されたネーム


初見ネーム19

初見ネーム20

初見ネーム21

初見ネーム22


ここからネーム解説


 今回分は、前回分の最後のページの下半分、桜の景色で場面転換が区切られた直後のシーンからです。


◯北関東大学医学部・キャンパス内
野口と近藤、桜の木の中を歩いていく。
野口、「遊んでねーし!」「トレーニングだし!」「おれ6年生だよ? 最高学年だよ?」とぶつぶつ言う。

 桜の木の中という景色、桜をフィーチャーして描けばそれだけで新入生シーズンを示して、尚且つ、見栄えもします。…私個人の趣味を申し上げますと、三次元の花が結構苦手なんですが、それでも二次元で桜が咲き乱れる景色は美しい!と思います。と言うか、二次元なら好き。大好きです!
 そんな機能性と美を兼ね備えた桜をフル活用できる使い心地の良いシーンなので、こういうのは描くのが特に楽しみになりますね。

 花(特に桜のような花弁が小さくて風に乗りやすい花)が散っている画面というのは便利です。“派手”を表現するにも“静か”を表現するにも、“春の嵐”も“無風の情景”も、量や舞い方を微調整すればどこにでも使えますし、散る方向によって視線誘導もしやすい。春先を舞台にした物語なら片っ端から採用したくなってしまいます。(雪や枯れ葉にも桜と似たような機能がありますね。)

初見ネーム18

 さて、近藤くんと“どこか”へ向かっていく野口くん。
 ここは特に構図をどうしたものか悩んでいる真っ最中なので、前のページの最後のコマか、次のページの最初のコマのどちらかのカメラアングルが大幅に変更になる可能性がありますが…。

近藤、「センパイ、いちおうまだ主将でしょう!」「来てくれないと困ります!」と野口を引っ張る。

 このシーンで野口くんは近藤くんに引っ張られてどこかへ連れて行かれるわけですが、近藤くんが引っ張る感じ・野口くんが引っ張られる感じをどう出すか。
 悩んだまま初見ネームを構成しました。

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