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架空のラブホテル写真集『HOTEL目白エンペラー』

本日(5月15日)配本される東京キララ社の新刊『HOTEL目白エンペラー』は、ラブホテルに取り憑かれた女性写真家・那部亜弓による日本全国のラブホのベストセレクション。
もともと廃墟写真家として活動していた那部さん。最初は他の廃墟と並列でラブホテルの廃墟も撮っていたが、ラブホテル愛が高じて、やがて現役のラブホテルの写真も撮影し始めた。
そんな那部さんとの出会いはこの写真集。

『シンスポ〜心霊スポット写真集・廃墟編』

栗原亨監修の心霊スポット写真集がきっかけだ。心霊スポットの写真集を作りたくて栗原さんに廃墟写真家の方々に声を掛けてもらったうちの一人、それが那部さんだった。
そもそも心霊スポットの写真集になぜ廃墟写真家が、と思われる方も多いだろう。理由は簡単。シンスポも廃墟も同じ場所だからである。昼に撮影に行けば廃墟で夜に肝試しに行くとシンスポ、という二毛作スポットなのだ。
昭和の時代から廃墟を探訪した栗原氏や、昨年12月に弊社から写真集『大神仏』をリリースした(廃墟写真の元祖である)小林伸一郎氏から当時の話を聞くと、廃墟がまだ今みたいにカルチャーとして認知されていなかった時代、「廃墟を探すには地元のヤンキーに心霊スポットを聞くのが一番」だったという。

小林伸一郎による「神々のエントランス」シリーズ第1弾『大神仏』

廃墟写真をアートとして表現した元祖の小林伸一郎氏の最新作は宗教遺産シリーズ。そして小林氏の写真集に触れて、廃墟写真を撮り始めたのが那部亜弓だ。
ここ数年、東京キララ社には廃墟写真の世界から飛び出し、独自の視点の表現にたどり着いた人が集まってきている。
昨年12月に刊行した『ソ連のバス停』の写真家・星野藍もその一人であり、那部亜弓とは親しい友人でもある。

星野藍による「旧共産シリーズ」第2弾『ソ連のバス停』

心霊スポット写真集の出版記念イベントで那部さんと話をしたら、昭和のラブホテルを愛してやまないことがビンビンと伝わってきた。ラブホテルの写真集を作ろうとなったが、東京キララ社から出すからには一捻りほしいところ。なぜならこのジャンルはすでに都築響一さんなどにより刊行されているからだ。
二番煎じは絶対に嫌! それが東京キララ社であり、中村保夫のスタンスである。だから僕は那部さんに提案した。
「これまでに那部さんが撮ってきたラブホテルの写真のベストセレクションを、すべて一つの大きなラブホテルのものだと仮定して、パンフレット形式で作ったらどうかな。那部さんが館長になって、それぞれの部屋の魅力を語るの。写真集のタイトルは架空のラブホテルにしようよ」
こうしてこの企画はスタートした。
1年ほどかけて那部さんにセレクトしてもらった写真の中から、僕が写真を構成していく作業も大詰めとなった頃、那部さんが「写真集のタイトルなんですが」と課題となっていた架空のラブホテルの名前を僕に伝えた。
「ホテル目白エンペラー」
その場で写真集のタイトルが決まった。
東洋一のラブホテルと謳われた「目黒エンペラー」に対抗し、この架空のラブホテルの名前は東洋一二を争うラブホテルを自称する「目白エンペラー」となった。

那部亜弓館長によるご挨拶

昨晩、DOMMUNEで宇川さんとの打ち合わせが終わると、本番直前の都築さんと偶然お会いした。
「中村くん、ラブホテルの写真集だすんでしょ。あの(写真家の)人いいよね」
もうご存知だった。
「明日、写真集が手元に届くのでお送りします」
そう言ってDOMMUNEを後にした。
東京キララ社テイストのラブホテル写真集がどう評価されるか楽しみである。

【お知らせ】
5月14日より
ラブホテル 写真集『HOTEL目白エンペラー』発売記念!!
那部亜弓写真展(入場無料)


5月18日(土)17:30〜
那部亜弓トークショー
昭和のラブホテルに取り憑かれた写真家・那部亜弓を迎えて、その魅力に迫ります。
入場料 1,500円 1ドリンク付き

出 演 那部亜弓 (写真家)

聞き手 中村保夫 (東京キララ社)





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