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読みやすい漫画にするために工夫したこと【100日後】

どうも、毎月0のつく日までに
メンバーシップ限定記事を1つ書くことを
目標にしている、漫画描きの中村環です。
30日はテキストでの記事の更新です。

当方はツイッターにて先日まで
100日間漫画連載をしておりました。
フォロワーさんの数としては、ほぼ0人から→7000人弱まで
フォローいただいたということで、
いくらか当方の力で貢献できたのではないかと思っております。

その際に気を付けたことを書くことで
知見としてみなさまのお力になれるのではと、
記事にしていこうと思います。

ちなみに、その漫画は
こちらのツイートからツリーで読めますので
ぜひご覧ください▼

前回の記事▼で告知しました通り、

今回の記事は、100日後漫画の制作裏話として
下記について書いていこうと思います。

読みやすい漫画のために工夫したこと

前回の記事でも書いた通り、
この4コマ漫画は、スペースに対しての情報量が
かなり多い漫画になります。
その情報量をどう整理していたかというと…

長文でも読みやすいフキダシにした

この漫画ですが、一般的な(漫画雑誌に載っている)漫画の
2倍、3倍の量の文字量が入っています。

一般的に文字が大量に入っている漫画は読む気が
起きないと言われています。
読む気が起きなければ内容も理解してもらえません。
つまり、「わかりにくい漫画」になってしまいます。
「いくらおもしろくても、わかりにくい漫画は読まれない」とは
よく申したもので、わかりにくい漫画になることは
どうしても漫画家として阻止せねばなりません。

以下は、読む気が起きないフキダシの一例です▼

でも、この分量の情報は絶対に入れなければならないということは、
往々にしてあると思います。
ではどうするか?

以下の方法は漫画の技法としてはとても一般的なものですが、
たとえばフキダシをこんなふうにします▼

10文字ほど入りきらなかったのは、
セリフのリライトでなんとかするとしまして、
「フキダシを意味ごとに細かく分け、隣のフキダシと高さを変える」というものです。
さっきの画像と見比べてみてください。
だいたい同じような文章量でも、こっちのほうが読む気が起きますよね。

たとえば青山剛昌先生の「名探偵コナン」も
フキダシが段がついていたり、
フキダシの背景に色がついていたりして
毎回とても多い情報量なのに、大変読みやすい漫画になっています。

フキダシの背景に色を付けてみました▼

さっきより、さらに読みやすく、読む気が起きてきますね。

また、この漫画は文字量が大変多いことがわかっていたため、
読みやすくするために可能な限り文字を削りました。
削り方としては下記のようなものです。

背景を描くことで文字量を減らす

削る前のイメージ▼

「ある日」に主人公が「学校」へ行くという情報が伝わりますね。

でも次のコマがパンパンで、このコマにほかのセリフを入れたくて、
「学校へ行くと」の文字をなくしたい場合、どうしたらいいでしょうか。

たとえばこうします▼

背景をしっかり描く。
すると、場所を表す情報である「学校へ行くと」というセリフを
削ることができます。
ただし、学校だとわかるように詳細に背景を描きこむ必要があります。
描き手にかなり負担はかかりますが、文字を削ることができました。

また、さらなる効果として、
先ほどの画像では、読み手が「学校」の風景を
イメージする必要がありますが▼

描き手によって背景がきっちり提示されることで
読み手の負担が減ることがわかりますでしょうか▼

読み手がいちいち場所を想像する必要がないということは、
読むときのストレスが少ないです。
つまり「読みやすさ」につながるということですね。

このように情報を整理していく工夫はしておりますが、
それでもまだこの漫画は情報量が多いです。
約70個の「教訓」と、
それを説明するための「出来事」、
主人公がおかす「失敗」、
失敗によって起こる「感情」
これを100pに収めるのは絶望的に難しいです。

そこで私は一つ先方にご提案をしました。

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