【描写】と【芝居】と【n題噺】(第1回)
いつもご覧いただきまして、誠にありがとうございます。
私、常よりシーンを描くに際しては、【説明】より【描写】に重きを置く――ということを語らせていただいております。
では――と、こういう疑問をお持ちになった方もおいでではないか、とも考えます。
・【描写】とは、どうやって描いているのか?
これにつきましては、以前に『【描写】を構築する【工程】』や『【描写】を構築する【工程】、その舞台裏』にて語らせていただきました。
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◎【我流】描写(媒体問わず)を構築する【工程】
1a.作者の脳内構築イメージ(状態単体)
作者が思い描く『【元現象】や【元風景】のイメージ(状態単体)』。5W1H、何がどこに、【どのような状態で存在するのか】。シーンの要を構成する『状態』をフラグとして並べた状態。演劇であれば『脚本から“動作”のト書きを除いたもの』が近い。
1b.作者の脳内構築イメージ(状態移行):
作者が思い描く『【元現象】や【元風景】のイメージ(状態移行)』。5W1H、何がどこにあり、何を目指して【どう動くのか】。状態を繋ぐ中間要素の具体的イメージ。人間ドラマであれば仕草など『芝居』、戦闘シーンで例えるならば『殺陣』に相当。この時点ではカメラ・ワークなど描写テクニックは、まだ直接関係しない。
例えると、演劇の稽古で芝居を、大道具で風景を作り込んでいく感覚が近い。
2.作者の脳内演出イメージ(脳内イメージ完成段階):
脳内で構築した【元現象】に対して、『いかに魅せるか』の演出を加えたイメージ。
映像であったり文字であったり、あるいは仮想体験であったりと様々。映像一つにしても俯瞰映像、カメラ・ワーク駆使の映画的映像、あるいは没入VR型映像など、種類は多様。
例えると、【元現象】をBestな角度やカット・ワークで魅せるために、観客の脳内で再現したいイメージとして『絵コンテ』へ落とし込む感覚が近い。この【工程】で、訴えかけたい『表現対象』の優先順位付けと、強調手法が定まる。
3.実際の媒体描写:
2.で構築した個々のイメージを、表現媒体に合わせてエンコードする『表現』の『仕上げ段階』。
例えると映画の撮影や漫画の描画、文章へのエンコードなどが当てはまる。
(詳細:マガジンにまとめております)
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ただここで、比較的最近に気付いたことがあります。
【工程】1a.および1b.で構築する『【元現象】や【元風景】のイメージ』、これを脳内に描き出すというのは、それはそれで相応の作り込みを要する作業です。
つまるところ、『【元現象】そのもの』が構築できなければ、シーンを【描写】するにも行き詰まるというもの。
そこで今回は、『【描写】の【元現象】』について【我流】の【考察】を巡らせて参ります。よろしくお付き合いのほどを。
さて【我流】では【描写】、こと【元現象】を構築するに際しては、【芝居】に重きを置いております。
ただしここで【芝居】の対象として私が【認識】しているものは、『【登場人物】の言動』だけではありません。それに加えて、『シーンの中で生じる【現象】の数々』までをも、【我流】で捉える【芝居】は広く含みます。言うなれば、ここで語る【芝居】とは『(広義で)シーン内で発生する【現象】全般に対する【実況型の表現】』ということになりますね。
言い方を変えれば。
私は【描写】に当たって、『シーン内の【現象】を(主として【動的】な)【芝居】で表すこと』を優先しているわけです。ゆえに、例えば『【登場人物】の服装の詳細など、【静的な状態】』を特段の【工夫】なく書き連ねるのは【説明】に近い表し方――と【認識】します。
『【静的な状態】を書き連ねること』自体を『【描写】でない』とまでは申しませんが、私は【経験則】から『【描写対象】を【動的な変化】(カメラ・ワークによるものを含む)に絡めると、【観客】には圧倒的に【認識】されやすくなる』という手応えを得ておりますので。
以上のような【背景】に基づき、【我流】では『【描写】するからには、可能な限り何らかの【動的な変化】(カメラ・ワーク含む)に絡めた【芝居】で表す』のを旨としております。
もちろん【説明】を否定するわけではありません。ただし個人的な【経験則】から、『特に【工夫】なくば、【観客】の【印象】に残りにくい』と捉えていることも確かです。
このような考え方ですので、【我流】で好む塩梅としては『【説明】は、“【芝居】の【解釈】を補足する目的”で、【描写】の合間に少しだけ挟む』というところですね。
◇
さて、今回は一旦ここまで。
【作者】ごとの相性はさておき。
そもそも『【元現象】を構築する』という【認識】が存在しなければ、『(広義の)【芝居】の必要性』についても【理解】される道理がありません。
ですので今回は【元現象】の重要性をお伝えすることとして、次回では『【芝居】が醸す【存在感】』とでも称すべき効能をお眼にかけて参りましょう。
よろしければまたお付き合い下さいませ。
それでは引き続き、よろしくお願いいたします。
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