【短編小説】Wanna be
私は超人気インフルエンサーだ。
ネットでも現実世界でも誰もが知っている。
みんな私のことを見ている。
3chでは私のスレが立ち、よくあるネットの有名人を取り上げるサイトには私の記事もある。
超人気インフルエンサーの朝は早い。
まずは近くのミツバコーヒーで新作アイスチーノを買う。
そして写真を撮ってPhotogramに「ミツバなう。新作アイスチーノ買った~」と投稿する。
次に家で朝ご飯にアボカドトースト(フォトスタ映えのためにおしゃれに盛り付ける)とグリーンスムージーを作って写真を撮って「朝ご飯なう。アボカドトーストとスムージーおいしい」と投稿する。
次に新街を散策して動画のネタ探し。いいお店が見つかったらお店に許可を取って動画撮影。私が動画内で行ったお店はとてもいい宣伝となり、次の日から大行列ができる。
日によっては商品紹介などの案件がきて、それを動画にすることもある。
動画を撮り終えたらおしゃれなカフェで昼ご飯。
日によっては動画内で昼ご飯を食べることも。
もちろん昼ご飯もフォトスタ投稿は欠かさない。
昼ご飯を食べ終わったら日によってはジムに運動をしに行く。
だって超人気インフルエンサーの美少女の私だもん。常に美しくいないとね。
そのあとは動画編集。動画編集はかなり時間がかかるから、夕ご飯は動画編集しながら食べることが多いよ。
そしてやっぱりフォトスタ投稿は欠かせないよね。
これで年収は億を超えているから生活には全く困ってないし、それどころかタワマンに住んでいるんだ。
かわいいトイプーのキャロちゃんもいて、とても幸せ。
まるで夢みたいな生活でしょ。
うん、知ってた。
これは夢であることなんて。
現実の私は醜くてボロアパート住まいの貧乏でつまらない普通の平凡な女の子。
犬を飼うなんて夢のまた夢。
ずっと人気者になりたくて頑張ってたけど、何も持ってない私は何者にもなれなかった。
ただイタイだけの女。
来世に期待、なのかなぁ。このまま何者にもなれずに死にたくないよ。
だから、誰か私を見つけて?
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