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7月5日「困難に負けない気力」

早朝、Le lac blancへの挑戦を開始した。標高の高さと潜在的なリスクを念頭に置きつつも、装備は最低限に抑えた。ウィンドブレーカーとスニーカーのみでの登山は、高所や閉所が苦手な自分にとっては一種の挑戦だった。昨夜はパニックに近い状態で、下痢や息苦しさに悩まされたが、それでも心の奥底で湧き上がる湖を見たいという強い願望が、体調を立て直すエネルギーとなった。持ち物の中で工夫した防寒対策や、チョコレート、ビスケットなどの非常食、そして弁当や温かいコーヒーを準備し、よれよれになった帽子を深くかぶり出発した。道中で以前から欲しかった携帯用ストックを購入。これがまさに救世主となり、一日中支えてくれた。Chamonixから最初の停留所であるle prazまでは電車で移動し、そこからロープウェイに乗り、一気に900m上昇した後、石がゴロゴロとする急斜面を登り、2358m地点のLe lac blancを目指した。途中、数回の休憩を挟みながら、足場の良い場所でコーヒーを楽しんだ。登山途中で15分ほど絵を描く時間も取った。しかし、頂上付近に近づくにつれて天気が急変し、本降りの雨に見舞われた。目的地はまだ見えず、どこまで登れば良いのか分からない中、他の登山客たちと一緒に湖を目指して黙々と進んだ。標高が上がるにつれて呼吸も苦しくなり、雨で濡れたウィンドブレーカーは冷え切っていた。Le lac blancが遂に視界に入った時の感動は言葉では表せない。美しい青い湖と雪の白が見事に調和していたが、強い雨により山小屋カフェに避難するしかなかった。小屋の中は満員で、やっとの思いで席を確保し、弁当を食べながら他の登山客と無言の交流を楽しんだ。下山は雨と雷を伴い、途中で少し冒険心をくすぐる岩場を通過することにした。最初は小さな石ころに見えたものが、実際には高さ2?3mの巨大な岩だった。進むしかないと覚悟を決め、慎重に岩から岩へと進んだ。この道のりをクリアした時の達成感は、これまでの苦労をすべて忘れさせるほどだった。山を後にする際には、小さく「バイバイ」と呟き、思わず涙がこぼれた。この未曾有の登山体験から受け取ったメッセージは、人生の山あり谷ありを乗り越える力を自分にも与えてくれたように感じた。【補足情報:フランスのLe lac blanc】 Le lac blancはフランス、アルプス山脈のChamonix地域にある美しい湖で、標高2352mに位置する。夏から秋にかけての登山シーズンには多くのハイカーが訪れ、壮大な山々のパノラマビューと透明度の高い湖の美しさを堪能できる。特に、周囲の雪を頂いた山々とのコントラストが美しい。登山ルートには複数のパスがあり、各々が異なる自然の美しさを提供している。Le lac blancへの道中は、野生動物の観察やアルプス特有の花々を楽しむことができ、自然愛好家にとってはまさに楽園のような場所である。

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