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喜劇の天才になるための覚え書き~弱さから脱却せよ!詳細分析編~

はじめに

2020/11/20に統率者レジェンズが発売され、それから約3年半、ブリムのことを考えてきた。そこから、半年前にブリムのことをnoteで記事にし始めて、はやこれで10個目の記事。もはや語り尽くしたかと思っていたが、一つ真面目に考えていないことがあった。
それは、

 はたして、『喜劇の天才、ブリム』はガチデッキにはなれないのか?

というものである。
今回は、統率者におけるガチデッキとは何かを見つめ直しつつ、『喜劇の天才、ブリム』でガチデッキを目指すというものである。
正直、この序文を書いている時点では、この記事の着地点がどうなるのかわかっていないが、順番に考えを纏めていくことで、彼の強みと弱みを理解して少しでも強く戦えるデッキにしてあげられればと思う。
……本当に彼はガチデッキになれるのか?

ガチデッキってなんぞや?

タイトルの通り、そもそもガチデッキ(cEDHに出るようなデッキ)って何なのだろうか?
読んでいる方々によって色々言いたいことがあるだろうが、今回の記事では私の考えた以下の形で一旦定義する

  1. 少ない枚数(2、3枚)から即座に勝ちに繋がるコンボ(またはチェインコンボ)を有している

  2. 上記のコンボの再現性を高めるためのカード(サーチ・ドロー)が複数枚積まれている

  3. コンボを通すための妨害手段が数多く含まれている

  4. 上記のカードが基本的に低マナ層で構成されている

  5. 突発的なものも含めてマナを大きく加速する手段が豊富

  6. 1〜3ターン目くらいのターンで数匹のファッティまたは大量の小粒クリーチャーが殴ってくる

以上が私の思うガチデッキだ。もう少し正確に書くならば、「上記の内容をより多く含めば含むほどガチデッキである確率が高くなる」と考えている。
もちろん異論もあると思うが、今回は私がそう考えているということを前提で話を進めさせていただきたい。
一応補足をするならば、上記のすべては、

  • 邪魔されなければ勝ちという状況が存在する

  • コンボの成功率や再現性が高い

  • 相手が妨害を構える前にコンボを成功させられる

  • 相手がコンボを作る前に殴り切ることが出来る

上記がEDHのガチデッキにおいては重要と考えているため、それに基づいて定義をしている。
100枚のハイランダーと対戦相手のライフが合計120という膨大な量である都合上、コンボを安定させるのも正面からライフを削るのも難しいが、勝つための動きが固定されており、それに特化するほど強い、という理論だ。

統率者神が語っていた内容にも類似する項目があるため、おおよそ間違いがない内容だと考えているが、補足などあればコメントいただけると幸いです。

強い統率者とは何か?

先の定義を元に、強い統率者を考えたところ、以下のような統率者が強いだろうとなった。

  1. 固有の無限コンボが存在する

  2. サーチ能力やドロー能力を有している

  3. 除去耐性が存在する

  4. 軽くてすぐ出せる

  5. マナ加速能力を持っている

  6. 何らかの踏み倒し能力を持っている

先に伝えていた定義や理論に合わせて、上記のような特色をたくさん持つ統率者ほど強い。
それぞれ、先に上げていたガチデッキの定義に沿った特色となっており、統率者自身が上記の能力を持っている≒ガチデッキにしやすいポテンシャルがあると考えて欲しい。
『織り手のティムナ』が共闘で人気があるのも強力なドロー能力があるからであり、かつてTier1と言われていた『騒々しい写本、コーディ』も、妨害がなければ安定して2ターン、3ターンで勝ってしまうことがあったからに他ならない。
また、ドローも安定感もないはずの『軍団のまとめ役、ウィノータ』が強いのは、小粒のスタックス(対戦相手の行動を阻害するものの総称)をばらまきながら自分はウィノータの効果で踏み倒しを行うということが理由である。

さらには、統率者では固有色も大事である。
最近では、『波止場の恐喝者』や『死の国からの脱出』により赤が強いと言われており、共闘や背景でそのために赤を選ぶ理由になると言われるレベルである。
その他、『むかつき』を使える黒や、『意志の力』をはじめとした強力な打ち消しの使える青も強いと言われている。
もちろん、『養育者、マーウィン』のようなとんでもないマナ加速が出来る緑や、統率者を否定する能力である『ドラニスの判事』などのスタックスクリーチャーを有する白が弱い訳では無いが、先に上げた、瞬間的に勝ちを狙う動きにあっている色ではなく、他3色に比べて一歩見劣りしているという感じである。

改めてブリムを見直す

さて、本題だ。
先に述べていた項目をブリムがどれだけ有しているか見てみよう。

その前に改めて彼のスペックから確認する。

喜劇の天才、ブリム   ②黒赤
伝説のクリーチャー — インプ(Imp)

飛行
喜劇の天才、ブリムがプレイヤー1人に戦闘ダメージを与えるたび、あなたがコントロールしているパーマネント1つを対象とする。そのプレイヤーはそれのコントロールを得る。その後、各プレイヤーはそれぞれ、自分がコントロールしているがオーナーではないパーマネントの総数に等しい点数のライフを失い、それに等しい枚数のカードを捨てる。
4/3

一回目の記事で既にこのカードの強みと弱みについては評価している(よければ下記の記事も読んでね!)。

今回はただ、ブリムがガチデッキたりうるためにはどうすればよいかを考えていこう。

まずは色から

ブリムの固有色は赤と黒である。
これすなわち、統率者に強いカラーパイであると言える。事実2024年現在の環境を定義付けているのは『ロフガフフの息子、ログラクフ』と『愚者滅ぼし、テヴェシュ・ザット』の赤黒である。
突発的なマナ加速のしやすい赤黒であるとともに、『モックス・アンバー』や『バネ葉の太鼓』の低マナマナファクトと『偏光はたき』や『致命的なはしゃぎまわり』の統率者ピッチを最も確実に使える組み合わせであり、その爆発的なマナ加速から『むかつき』を叩きつけるアグロ型から、テヴェシュの奥義を目指すコントロール型まで出来てしまう型の読みにくい統率者である。

閑話休題、ブリムの話に戻ろう。
色が強いということは分かったが、強い統率者になれるのかが重要だ。
先に提示していた強い統率者の特徴をふまえて見てみよう

  1. 固有の無限コンボが存在する ✖

  2. サーチ能力やドロー能力を有している ✖

  3. 除去耐性が存在する ✖

  4. 軽くてすぐ出せる △

  5. マナ加速能力を持っている ✖

  6. 何らかの踏み倒し能力を持っている ✖

全然ダメじゃねぇか!
ある程度わかっていたことではあるが、強い統率者となる素質は彼には極めて低い。

ひいき目で見て、2色で4マナのクリーチャーのため『宝石の睡蓮』を絡めて1ターン目からキャストや『太陽の指輪』などの1マナから無色2マナ以上が出るアーティファクトがあれば、2ターン目からのキャストも可能であるため、ちょっとだけ軽くてすぐ出せるところだけは評価が出来る。
しかし、それ以外の部分では強力な統率者に優位性を見いだせない。

さらに、ブリムは最速で出しても殴りにくい。
なぜなら、ブリムの戦闘ダメージを与えるとパーマネントを渡す効果は強制であり、早い段階で動き出すと、渡すものの準備ができていないため殴るたびに土地やマナファクトを渡さなければいけないという自体に陥る。

というわけで、結論。
赤黒という恵まれた色のため、各種コンボに最速で繋げやすいけど、アドを何も取れないためリソース勝負では勝てず、かと言ってパワーで殴るのも難しいため、ガチデッキには不向き

〜Fin〜








いや、ちょっと待ってくれ。

確かにガチデッキに向く統率者ではない。それは断言できる。だがそれだけで、ガチデッキと戦えない統率者だと考えるのは時期尚早である。
なにせこいつには2枚でほぼ即死コンボに近い状況に出来る『リッチの熟達』の押し付けコンボがあるのだ。たった一人の対戦相手に対してだけとはいえ、固有に近い即死コンボがあるのが弱いわけがない(なお、そのプレイヤーが敗北すると自分の場に『リッチの熟達』は帰ってくる模様)。
屁理屈上等。すでにこいつで9個の記事を書いとんじゃ。ただひたすらに好きなこいつで、ガチデッキに食らいつけるように強くしてやりたい。
というわけで、ここからは改めて以下の内容を記載する。

『喜劇の天才、ブリム』でガチデッキに食らいつける構築を目指すなら、どのような方向性を目指すべきか?

もう一度、改めてこの喜劇の天才を最大限に活躍させるデッキを考え直したいと思う。

改めて、ブリムの強みと弱みを見直そう

先にも紹介していた一つ目の記事で、私は彼の強みと弱みを以下のように記載した。

強み

  1. 4マナ飛行4/3というスペック

  2. 攻撃を通すだけで、自分のパーマネントを押し付けられる唯一無二の能力

  3. 条件付きだがすべてのプレイヤーに及ぶハンデス

弱み

  1. パーマネントを送る効果の発動は強制効果

  2. 渡す対象が不在になるとその後の効果も行われない

  3. ハンデスとライフルーズは自分も影響を受ける

  4. 効果発動のために攻撃を通す必要がある

  5. 多数のプレイヤーに影響を及ぼすためには予め送りつけが必要

  6. コンボの失敗=死がつきまとう。

  7. 渡せるものがないとき、統率者ダメージを稼ぐための殴りが出来なくなる

「彼を知り己を知れば百戦殆からず」という言葉もある通り、まずは味方のことを正しく知らなければ勝つことなど出来るはずがない。
ブリムの場合、残念なことに強みは少なく弱みは多い。使えば使うほど「え、この子弱くない??」となることが多々ある。
そこで、今回は強みを伸ばす方向ではなく、まずそもそも上記の弱みを出来るだけ軽減することを考えてみた。

そもそも、上記の弱みが起こる原因は主にブリムの効果を発揮させるために必要なプロセスに由来している。ブリムが一回殴るためのプロセスは以下だ。

  1. 4マナでブリムを出す

  2. ブリムで渡すためのパーマネントを準備する

  3. ブリムの戦闘ダメージを通す

  4. ブリムの効果で渡すパーマネントを選ぶ

  5. パーマネントを渡せたら、ハンデスとライフルーズ

上記のどこに差し込まれてもパーマネントを渡すことが出来なくなり効果は不発する。
特に問題なのは、送り付けるものをデメリットパーマネントにする場合は送り付けが失敗したときのデメリットはそのまま受けるという部分。
また、即死のパーマネントを送り付けるのも厄介であり、「場に出たパーマネントのコントロールを渡した場合、コントロールを渡されたプレイヤーが敗北するとそのパーマネントはオーナーのコントロールに戻る」ということ。
つまり、即死パーマネントで死んだ場合、そのパーマネントは送り付けた自分に返却されるのだ。これは、例えば送り付けた『ドロスの魔神』の効果で相手が死んだ場合、その『ドロスの魔神』の効果は次の自分のターンにも牙をむいてくる。どうして……。
これがあるため、即死を行うパーマネントを使っても、一人倒せてそこから自分がピンチになるなんてことがままある。
もちろん『稲妻のすね当て』や『囁き絹の外套』などでブリムへの除去を防ぎながら戦うことは可能だが、次のターンに即死パーマネントが渡されることを分かっている他プレイヤーから総攻撃を食らって先に自分のライフが尽きてしまう未来が見えている。
また、デッキの特性上デメリット持ちのクリーチャーが多く入っているが、これらはマナに対してスタッツが良いものが多く、渡したクリーチャーでついでにぶん殴られることもままある。
これの辛いところは渡したクリーチャーが死ぬと、ブリムの攻撃による効果量が下がり、かといってブロックすると自分の場のクリーチャーが居なくなり、やはり総攻撃を食らいやすくなるということである。本当につらい。

そして、ハンデスとライフルーズの数を最大化するためにはブリムが殴り続ける必要があるわけだが、それをするためには上記で挙げていた項目の2~4を毎回通さなければいけないのである。
しかも、そのたびに自分の場のパーマネントの数はどんどん減っていくわけである。そういう事情もあって、彼が何度も殴るのはとても難しい。
過去の記事でも述べた私の考えをあらためて述べるが、彼は統率者領域に置かれているフィニッシャーであり、1試合に2,3回のパンチで、全体で合わせて8~9のハンデスとライフルーズを目指すのが一番良い、と考えている。
その2,3回のパンチで相手に送り付けられたくない致命的な贈り物を贈ることが出来ればさらに優位に立てるというぐらいの考えだ。

さて、続いてブリムデッキが構築の段階で、他のデッキと比べて優位に立てる部分は何なのか考えてみた。結論から述べると、『強力なメリット効果と強力なデメリット効果を同時に併せ持つパーマネントをデッキに入れやすい』というところにブリムの強みはある。
例えば、『夜更かし』や『悪魔の知識』といった強力なドロー呪文や、『創案の火』のような強力だが行動が制限されてしまうようなパーマネントを、ブリムの効果で要らなくなったら押し付けることが出来るためこれらを採用しやすい。それどころか武器にもなる。

ハンデスシナジーもある
単純にドローして手札をため込む相手に強い
インスタントタイミングの動きと呪文を唱える数を制限するが
自分で持ってても強力なパーマネント

これらの呪文を駆使しつつ、強力なメリットは自分で享受しつつ、デメリットはすぐに相手に押し付けるという回りくどいスタックスのような動きをブリムの主要な戦い方とすれば、ブリムもガチデッキに追いつけるようなインチキめいた動きが出来るだろう。
また、私はデッキの構成上採用していないが、『鋼のゴーレム』や『光網の監視者』などはクリーチャー主体のデッキには強力なロックとなるため採用を考えられる。
これらは明確な強みであり、本来のブリムのデッキコンセプトの一つである。
もちろん、出た瞬間に仕事をし、パーマネントがある場所を問わないオーラ系のエンチャントなども相性は良いのだが、せっかくブリムを使う以上、迷惑な贈り物を送り付ける型を使いたい。そのうえでガチデッキに食らいつく何かを見つけたいのだ。

結局デッキの方向性はどうすべきか?

今までに述べたことを踏まえると、

  • 黒のサーチと赤の突発的なマナ加速を大量に投入する

  • 何かしら勝ちにつながるコンボを投入する

  • ブリムの効果で押し付けるのは機会があればに留め、基本的には変則的なスタックス風の構築を行う

うーん、なんだか普通のことというか、今までの記事で言ってきたことをおさらいしてる気がするなぁ……。

ただ今までと違うのは、「なんか殴ってたら勝つか、即死ギミック押し付けて勝とう」だったのが、「明確に勝ちにつながるコンセプトを取り入れよう」になった。
あとはブリムらしさを残したまま明確な勝ち手段を残せば完了だが、残念なことに戦闘ダメージ誘発型のジェネラルによくある無限コンバットでの勝利には向かない。なんせ殴るたびにパーマネントが消えていく呪いがかかっているからだ。
では、どうするのか?何を持ってすればブリムデッキらしい勝利を得られるのか?

……他の統率者ならリスクや相性を考えて入れないカードでコンボすればよいのでは??

ということで考えられたのが以下のコンボだ。

  1. 『リッチの熟達』と『黙示録、シェオルドレッド』または落魄8を達成した『飢餓の亡霊』によるデッキすべての引き切り

  2. 『魔女エンジン』と『死体のダンス』と『アシュノッドの供儀台』の黒無限マナ

上から説明していこう。
まず1だが『リッチの熟達』は基本的に「このパーマネントが場を離れたとき敗北する」という効果だけが印象に残ってるせいで、インクの染みと思われている隠された効果が存在する。それが、「ライフを回復するたびその点数分だけドローする」というものである。
つまり、引くたびに回復する能力があればそれだけでデッキすべてを引き切ることが可能なのである。
そこで登場するのが先に上げた『黙示録、シェオルドレッド』と『飢えた亡霊』の2枚である。
前者は、相手のドローに対する牽制を兼ね、後者はドローとともに対戦相手にダメージを与えられるため、デッキ引き切る=勝利となっている。
なお、デッキを引ききった際の敗北は『リッチの熟達』が消してくれるため問題はない。
デッキを引ききったあとは、手札の低コストマナソースを連打して別の勝ち手段に繋げるなどを考えたい。

続いて2だが、これは過去の記事でも紹介したコンボで黒の無限マナが出るというものだ。
過去にこのコンボを紹介したときはマナの吐き先がうまく見つからなかったためデッキには入れていなかったが、上記のコンボに繋がるための手段としての採用を考えている。

現状、ブリムらしいカードを採用した無限コンボはこの2つだけである。他にも思いつけば増やしていきたい。
他のプレイヤーから見ると、見たこともないコンボのため防ぐのが大変難しく見えるに違いない(と、信じている)。

最後に

ほんとうに彼をガチデッキにするならば、きっと赤黒という優れた色を用いて『むかつき』によせたデッキにするほうが強いとは感じている。
だが、それでは面白くない。多様性もなければあえてブリムを使っている意味もない。
今回の記事で一番わかったことは、「自分は勝ちたいのではなく、『喜劇の天才、ブリム』を活かしたデッキ構築で勝利したい」であった。
上で書いた無限コンボやデッキ引き切りは、色だけで見れば黒単で可能だ。
だが、普通のデッキでは採用されない。それはなぜか。理由は明確でデメリットが大きすぎるからだ。
だが、ブリムデッキは違う。彼は天才であるがゆえにそんなデメリットの大きいはみ出し者たちをまとめ上げる能力がある。
わたしはこれからもそんな彼のことを考え続け、これからも新弾が出るたびに素晴らしい贈り物や彼の仲間を探すことだろう。
その再認識が出来ただけでも、彼のことについて書いた10個目の記事として大いにふさわしいと感じている。
もちろん、これで彼のことを語ることをやめたりはしない。今後もどうか喜劇の天才と、それに魅入られてしまった者の行く先を見守ってほしい。
そして、それが皆様の目に喜劇として映り、笑ってもらえるならば、彼も私もそれが一番嬉しい。


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