見出し画像

 
 コロワイドが仕掛けた敵対的TOB。相当苦戦していたように見えましたが、ゲーム終盤になって両社が手を打ちました。そしてその結果、コロワイドの敵対的TOBが成立しました。いったい何があったのでしょうか?

TOB成立条件を引き下げ

コロワイドは8月下旬、TOB成立条件の下限を45%から40%に引き下げた上にTOB期間を9月8日まで延長しました。大戸屋ファンである個人株主たちが、コロワイドの呼び掛けに乗らず、TOB成立に必要な株数が集まらなかったためです。しかし、今回の条件変更により「新たな投資家」が現れ、大戸屋を追い詰めているらしい。

コロワイド苦戦の理由

コロワイドのTOBが苦戦した理由は、ファン株主によるTOB反対だけではなかったみたいですね。

日経新聞などによると…
TOBの成立下限が40%に引き下げられたことで、「利にさとい最大14日間限定の株主が急増している」(証券会社関係者)らしい。
つまり、目標の取得率を引き下げたことと、取得期間を伸ばしたことで、形成が逆転して、成立の可能性が高まったと見ているようですね。

どういうこと

これにはTOBの仕組みを少し説明する必要があります。

以前の条件だと、応募が殺到し、取得上限の51.32%を超えてしまうと、応募した1,000株すべては買い取ってもらえず、その一部、例えば400株が手元に戻ってきてしまうかもしれません。

それによって何が起きるかというと…。

 戻ってきた400株がTOB終了で暴落する可能性もかなりあり、利ザヤを大きく下回りトータルすると損失となる可能性が高まっていました。これらの株主は経営や大戸屋のポリシーに興味があるわけではなく、利ザヤにのみ興味がある株主たちですので、当然と言えば当然の結論というわけです。

画像1

ビッグチャンス❓

コロワイドの条件変更の発表を受けて、TOBへの応募は下限にすら達しなかったことが明らかになりました。言い換えれば、「今回は、TOBに応募すればほぼ間違いなくすべて買い取ってもらえそう」(個人投資家)という見方が急速に広がったとみてよいでしょう。しかも大戸屋HDの株価は8月25日終値でTOB価格を400円近く下回る2700円。

そうです。「これはおいしい!!稼げそうだ!!」となったことは明らかです。26日の売買高は25日の9倍以上に膨れ上がった。9月3日までの7営業日の1日平均売買高を見ても、8月25日までの7営業日の2倍を超えている。こうした人たちはにとっては、独立経営を訴える大戸屋や「大戸屋HDは我々が立て直せる」と主張するコロワイドの戦略のどっちが正しいかになんて関心はない。ニュースで女性株主が「みんなでがんばりましょう!と株主総会で話したのに・・・みんななんで裏切っちゃったのかしら。」と涙ながらに話していた。「たぶんみんなが裏切ったのではなく新しい登場人物が現れてドラマが急展開しただけですよ。」と伝えてあげたい。いや、急展開など起こらなければ、ホームドラマのようなハッピーエンドが待っていたのに、こんなマネーゲームに巻き込まれたことは本当に残念です。

狙い通り?

かくして最大14日間限定の新たな投資家の登場は、結果として大戸屋HDを苦しめることになりました。TOB期間延長を発表した後、コロワイド幹部はTOB成立に自信を見せていた裏には、このようなシナリオを描いていたとすれば「すごい。」と言わざるを得ないですが、もう少しスマートにできなかったのでしょうか。コロワイドの企業イメージにとってマイナスでしかないと思うのですが・・・

お知らせ

1.ストアカを活用して講師業をスタートしました。中小企業診断士受験生と小規模事業者支援です。ストアカはこちらから

2.中小企業診断士受験生支援の一環でFacebookグループを作りました。「解答骨子をみんなで磨きあいましょう。」という趣旨です。受験生の皆様ご参加ください。

中小企業診断士合格のための解答骨子を研究する会

よろしければサポートお願いします!これからも更新頑張ります。あなたにとって有意義であればよいのですが・・日々精進いたします