見出し画像

新入生の方へ

#春から学習院の皆さん、ご入学おめでとうございます。ぼくは政治学科生3年のなかむと申します。

ご入学される皆さんのうち、自分と同じ学問を学ぶこととなる皆さんに、少しだけですが大学で勉強することのイメージを持ってもらいたくて、これを書いています。できるだけ簡単な言葉で書きますので、最後まで読んでくれると嬉しいです。

はじめに

この記事は、学習院大学法学部政治学科入学のみなさんに、大学生活をどういう風に過ごせばいいか、ちょっとしたアドバイスとして書きました。この意見を鵜呑みにする必要はないです。皆さんはぜひ、いろんな先輩とか、先生の意見を吸収して、自分の責任でどんな大学生活を送りたいかを構想してください。この記事はそのうちの一つになったらいいなと思って書いています。

なお、他の学科の方、あるいは別な大学の方は書いてあることと大きく異なる場合があるので、この記事は参考にしてはいけません。そして、この記事に書いてあることは、本学科にのみ言えることもあるということも留意してください。例:×大学生全体の留年率は少ない 〇本学政治学科生の留年率は少ない

追記:マガジン『新入生の方へ』の記事内容は全て2022年4月時点のものであるということに留意してください,正確な情報は適宜,あなたがた自らによって検証してください.何か不利益があったとして,責任は負えません.


大学の勉強は難しい?

どういう学問をこれから学ぶかについては、まずは、この動画の中で、かなりわかりやすくまとめてくれています。こちらは大学の公式Youtubeチャンネルで、本学の教授が喋っているわけですから、少なくとも一学生よりは正確だと思います。

したがって、何を勉強するのか、だからこういう学問は難しい、といった個別のお話は避け、実感としての大学の勉強の難しさについてお話ししようと思います。

(それでもやっぱり安心できないという人は、在学生の先輩に声を掛けて、1年次の履修科目を控えておくと安心です。慣例として、一年生はサークルの新歓日にいろいろなサークルを回って、履修相談をしています)

結論から言います。卒業するだけなら超・超・超・超・簡単です。やったね!

なぜ簡単かというと、①前提として必要な知識が圧倒的に少ない ②(単位を取るだけなら)傾向として試験・レポート執筆にそこまでの対策を必要としない ③留年に陥る制度がほぼ存在しない ④必修の選択の幅が多い の四点に尽きます。以下で、それぞれ詳しく掘り下げていきます。

①政治学科に入った時点で差はついているのか?

個人の所感ですが、確かに主席レベルの人とズンドコな人で比べたらあるかもしれませんが、大概の人は入学時点では全然政治とか分かってないと思います。そして、だいたいの一年生向けの講義は、そういった思想家や政治家等を知らなくても講義についていけるように作られています。講義を聞いてみて、もしわからなければ、恥を忍んで質問すればいいんです。せっかく1コマあたり数千円っていう大金を払って講義を聞くんですから、元を取ってやるくらいの勢いでやったほうがいいと思います(個人の感想です)。一部世間では一般入試で入学した人の方が知識があるように強調される節がありますが、日本史・世界史・政治経済等とは関連はあれど、必ずしもそこを思いっきり深掘りするものでもない(特に公共領域にかかわる講義においては新鮮な分野が多いように思います)です。したがって、大学で怠けることなく学びを継続すれば、確実に教養として身につくと思います。それは短期的に使えて、実用性あるものではないかもしれませんが、生きる中でずっと役に立つものなのではないか、と考えています。

②どれだけ勉強すればいいのか?

あなた次第です。あなたが、どれだけ勉強したいかです。ぼくは興味のある講義はトコトン勉強したし、モチベーションのなかったものは講義だけ最低限受けてテスト前日は日本全国津々浦々の神社で仏に祈っていたので、良い感じに慣らされて平均80点くらいにおさまりました。

こればっかりは講義を受けてみないと分からないと思いますが、孤独に「やらなきゃいけない」で点数を取り続けた人はあまり多くないと思います。そのうち一回うっかりでやってしまった遅刻が欠席になり、欠席がサボリになっていく人が大半なので、勉強しに行く、と硬派なイメージだけを持ってしまうと、だいぶ自分自身にとって分が悪い、「自分との闘い」が待ち構えています(乗り越えた先には確かにとてつもない自尊心が待っているかもしれませんが、成績の面だけで言えば人と協力しようが孤独に講義を受けようが、数字が一緒なら全く一緒です)。ちなみに、ぼくはただ一人、孤独に戦い続けた上で主席レベルの成績を独力で獲得した本当の猛者たる先輩を知っていますが、その人は並外れた情熱を学問に対して打ち付けていました。しかしその反面、試験が終わった瞬間数百キロ単位で逃亡したり、何回も自殺しかけたりしていたので、こういう芸当ができる人がいたら、そうしたらいいと思います。そもそも、彼がこのようなパフォーマンスを発揮したのは、目先の成績とか、やる気に浮き沈みのある興味とかだけではなくて、既に明確な使命感をもっていたところによるものが大きいです。

「僕が学習院大学の法学部政治学科に入学した理由は、高等科生のとき、NHKの映像の世紀のヴェトナム戦争のムービーをみて、枯葉剤とかが撒かれて奇形児とかが生まれたとか、そういうのを知って「大国の都合に人命や人権がいとも簡単に蹂躙されている」ことに激怒してこれを「学ばなければならない」と思ったからだ。」

と、先輩も自身のエッセイにて述懐しています。かようなビジョンがあって政治学科で学ぼうとしている方々には、是非友達になってもらいたいものです。



これは個人的な意見ですが、一緒に講義を受ける友達を作って、たまに友達と協力してテスト対策だとか勉強会だとかをする(※レポートや、テスト答案を写すのはダメです!)くらいの勢いでいると、友達もいるし、成績もそれなり以上には取れるという、充実した感じの大学生活になります。そこから興味があれば自分でもっと勉強を積み立てて、専門性を深めていけばいいのです。卒業するだけなら講義に出てさえいれば大体なんとかなるので。

もし最低限単位が欲しければ、何回も欠席することだけは避けてください。それさえして、ある程度の答案が書ければ、大体は単位は来ます。保証はしませんが。

なお、3年次から始まるゼミやFTコース(選択制の追加コース)、留学等にはGPA(成績)を要求される場合がありますので、これらに差し支えなく参加を希望するのであれば3.0は目安として保ってください(それより低くても参加できますが、一部ゼミや留学先大学に通らない可能性があります)。平均が「優」80点です。もしくは、返済不要の奨学金の受給生は毎年数名(トップ数%)しか選出されませんので、これを狙うならば他を圧倒する努力と血を注ぐ覚悟が必要でしょう。

③留年する人はいるのか?

本学科においてはほとんどいません。理由をお話しします。

では、逆に、留年してしまう学生は、制度上はどうなって留年するのでしょうか?最もよくある留年のケースは、必修単位を落としてしまうというケースです。本学科には殆どありません(後述します)が、他の学科や大学には、この科目で60点を切ると、それだけで次の学年に上がれなくなる講義(ドボン)が存在します。これで、見事その通りになってしまう人がいるわけです。他にも、そういった講義をそもそも履修を忘れてしまった等が浮かびますが、これも本学科においては相当なレアケースです。

我々の卒業要件は、入学時にも説明があると思いますがカクテルタワー方式を採用しています。短く言えば4年間で、それぞれの枠組みの中で(講義によって、下の方にしか積めないグラスや、どこにでも置けるグラスがあったりします)所定の単位数を満たせば卒業できるというもので、1・2年次で多く履修しておけば4年次を待たず要件を満たせるほど余裕をもって作られています(1年の上限は48単位、卒業要件は132単位)。したがって、当年に単位を落としてしまい、その講義を修了できなかった(=60点を切ってしまった)としても、1つや、2つくらいであればまったく軽微です。さらに殆どの講義は翌年に履修しなおすことができます。強くてニューゲームです。さらに、上に書いたようなドボン単位も、理論上は存在しない(④にて説明します)ため、留年の落とし穴というのは本当に小さいはずです。もし、やってしまったということがあれば、それは本当にやる気がなかったり、途中で燃え尽きてしまったか、友達が全くいなかったか、不正を働いたか、卒業迫る4年の土壇場で履修を間違えてしまい要件を満たせなくなった、というのが主たる理由だと思います。ちなみに、ぼくはオンライン講義に大学本来の価値を見出せず、一年間休学しました。こういう形で学年がズレるケースもある、ということです。

④必修の科目の幅が広い

これは③と関連する部分がありますが、本学科で受けられる講義は三つの分野に分けられていて、その中である程度自由に履修が選べる(政治学科の科目を一定数取ればよい)ので、実は特定の講義を避けようと思えばできます

例えば、先輩から聞いた噂で、あの先生喋るの早くて着いていけないんだよな、とか、あの講義は数学使うから分からなさそうだからやめよう、とか、この分野は興味がない等といった風に1コマ履修を避けたとしても、そのカテゴリの中か、上位のものであればその分を初学者向け(一年・二年向け)のコマや、別の講義で埋めることが可能です。※英語を除く

なお、英語は1年で中級、2年で上級を履修し修了ことを想定されていますが、単位を落としたとしても、少なくとも3.4年と2年間はバッファが用意されています。そして、落とした翌年はどの講義を履修するか自分の裁量で選べるようになるため、ここでどの先生がどのような講義を行うか勝手が分かっていれば、度重なる落単のリスクが少なくなります。

こういった面においても情報が大事です。人脈があると、想像していた講義とのギャップについてのリスクヘッジになります。

何でもかんでも食わず嫌い出来るわけではないのですが、このコマはとらなきゃダメ!というのが、理論上は英語しかないため、他学科に比べ取りたい講義を自由に履修できます。また、3年次以降は選択必修の単位をだいたい回収し終わるので、興味のある講義に裂けるリソースが増えます。他学科ですが、語学が好きで趣味として様々な言語の講義を取っていた先輩もいます。

ただし一つ留意すべきは、政治学科基礎講義・政治学科基礎演習は一年次のみの履修であり、これだけで8単位(卒業要件のおよそ6%)もあるため、1年次に落第してしまうと2年次に同じ講義を受け直すことができませんし、影響があります。これを翌年以降同じ科目群(選択必修、所謂A群といわれるものです)の別の講義で埋め合わせるのは、他の学生と比較すると大変に感じるかもしれません。

大学生活を構想する

月並みな結論になりますが、自分が大学で何をしたいかを考え続け、修正することが、自分がやりたいことをやり続けられる近道かと思います。別に興味がなかったら大学の講義なんて適当に受ければいいんです。何なら自分の責任でなら、ドロップアウトしたっていいと思います。親御さんにお金を出してもらっていて、毎時間数千円も無駄にしてるんだから、嫌でも頑張りなさいなんて野暮は言いません。大学は講義を受けるだけの場所ではなくて、例えば大学で何かしら課外活動を始めてみたり、サークルに打ち込んで友達を作ったり、創作の場として作品を発表してみたりと様々な解釈の仕方があります。そのうち、一つでも本気で打ち込むことができれば大学の成績なんて誰も気にしないでしょう。その中で失敗があっても、何のリスクも取らず燻っているよりは学びがあります。途中で新しいことに気づいても、そこから軌道修正すればいいのです。

その中で自分の解釈を書くと、学問それ自体を楽しんでやっている人や、熱量をもってやっている人に出会うことは、なかなか難しいのですが、貴いことの一つです

同じ趣味を持っている人だったらサークルに入れば大概は出会えるし、その中に一生の友もいると思いますが、学問に対する考えが合う人は体感なかなかいません。多分、講義に対して「乗り切る」と考えている人は多いのですが、想像を圧倒しているくらいの熱量を持って取り組んでいる人は本当に一握りです。どういうことなのかは、講義を受けるにあたって薄々分かってくると思いますが、計量的な成績に出てくる部分ではなく、態度の部分で、激烈に学問に打ち込んでいる人のことです。去年と今年はオンライン講義がメインとなりましたので、多くの講義は試験中ノートや講義スライド見放題となり、だいぶゲームが変わってしまいました。

問題はそこではなく、講義の現場の中で聴くにとどまらず、分からないところは聞いてみたり、講義の感想フォーラム(リアクションペーパーと言います)に一文多く書いてみるなど、より双方向性ある参加ができれば、教授もそれにコメントする余地が生まれます。我々受講生としても、同じ学生が何を考えているか参考になるし、そもそも学生の視点からツッコミが入るので、多くの場合は講義に彩りが出る上、教授にとってはある種のフィードバックになります。

もし、あなたが学問をやってみたいと思ったなら、義務感のみではなくまずは講義に興味を持つことができればベターです。そのための最初のステップは、分からないことは知識が足りないんじゃないか、とか躊躇せず、素直に訊いてみることだと個人的に思います。

そうしてより多くの学生が輪の中に入っていけば、参加のハードルも下がり、いろんな学生の意見も聞けて楽しく、したがって今ある講義がもっとおもしろいものになるに違いありません。

自分は講義のなかにそういう「おもしろいやつ」が出てくることを願ってやまないので、以上のように書かせていただきます。ご入学、おめでとうございます。


                                                R4.2.16 ナカムラ










おまけ:カクテルタワー方式について

画像1

少し画像が粗くて申し訳ありませんが、これがあなたたちが4年間かけて満たすべきグラスです。思ったよりいびつですね(笑)

入学時に当然説明がありますし、そちらの方がソースとして信用できると思いますので、ここだけを見て、絶対にそちらは聞き逃さないようにしてほしいですが、数年間大きな変化は見られませんので、今年になって大きく制度が変わらないという前提のもと、理解をお助けするため説明をします

※ここからは平成31年度(2019年度)入学者用履修要覧の情報をもとに執筆をします。本稿で掲載した情報と、実際の相違について一切責任は取れませんし、我々の学年の学則はあなた方には適用されませんので、各自、実際のアナウンスに従ってください。また、FTコースの卒業要件は別途参照が必要ですので、ここでは省くこととします。

政治学科生の履修できる科目を大別するとA群、B群、C群+随意科目に分けられます。

画像の通りにはなりますが、A群は選択必修、B群は選択、C群は自由科目と呼ばれるものです。随意科目については後述します。なお、それぞれ必要な単位数や、それぞれの科目の持つ単位数は履修要覧、シラバスを参照ください

A-1科目は政治学科基礎講義・基礎演習を含む政治学科基礎科目、例えば政治学、地方政治、公共政策、社会学などです。先にも述べましたが、政治学科基礎演習・基礎講義は1年次のみの履修ですので、忘れずに履修してください。また、社会学Ⅲ・Ⅳ、政治学Ⅲ・Ⅳ、国際政治Ⅲ・Ⅳは3年次からのみ履修が可能です。

A-2科目は主に英語中級C・Rと上級C・Rの4講義です。1年次に中級を履修し、2年次に上級を履修するのが通例です。なお、上級特・英語セミナーといったさらに高度な科目や、高校時に英語以外を主に勉強していた学生向けに英語ベーシックの科目もあります。もちろん、中級・上級より上のコースを同時に履修することも可能ですが、英語セミナーへの所属は上級特の単位を4単位以上持っていないと参加できません。

A群の科目はほかのグループ(B群・C群)の科目で代替することは出来ませんので、英語はその通りに修了する必要がありますし、A-1(基礎科目)はその中の科目で満たす必要があります。カクテルタワーの図でも、一番上に来ていますよね。

B-1は政治学科選択科目です。FTコース科目をはじめ、統治システム論や、安全保障論、ゼミ、マスメディア論等がこれに含まれます。

B-2は法学科設置科目です。憲法や刑法、民法など、法学部法学科の専門科目を履修できます。詳しくは履修要覧の学則のうち、法学部専門科目の章を参照ください。

B-3は総合基礎科目です。哲学・思想、文学と芸術文化、自然科学の基礎など幅広い分野にわたる科目が履修できます。

さて、再度表をご覧ください。B-1はA-1から溢れた科目が、B-2はB-1から溢れた科目が流れていきます(例えばA-1を所定分満たしたあと、A-1に分類される科目を修了すると、その科目の単位数はB-1の要件を埋めるのに使われます。もしB-1も満たされていれば、B-2へ、これも埋まっていればCの要件を埋めるのに使われます)。つまり、選択科目、法学科設置科目は上位の科目で代用が効きますが、B-3の総合基礎科目はこれら単独で修了しないといけないということです。

C群の説明へ移ります。C群、つまり自由科目は英語以外の外国語科目(つまり第2外国語、第3外国語…)、スポーツ・健康科学科目(体育)、他学部の専門科目、そしてf-campus科目によって構成されています。また、A-1・A-2・B-1・B-2で溢れた分はここへ溜まります。つまり、英語以外の外国語科目をそれ以外の科目で埋めることが制度上許されていますので、第2外国語は必修ではない、ということになりますね。もっと言えば、ゼミもB-1にありますので、ここの部分も埋めてしまえば、ゼミに所属せずとも卒業が可能です。

§1210 (卒業要件)(1)法学部を卒業して学士(政治学)の学位を得るためには、下の表に従って、総計132単位を修得しなければならない。
(2)はFTコース、(3)は履修年次の説明、(4)履修上限、(5)4年生の履修について記載があります。このように、卒業要件では単位数以外に規定がありませんので、ゼミへの所属・論文執筆は必ずしも卒業のため必須ではない、ということもわかります。

では、C群のグラス(桶では?)を満タンにした後に、C群に流れる単位を取得した場合、これはどうなるのでしょうか。溢れた先は何もないですよね。これが随意科目です。この科目は履修には数えられますが、単位を取得しても、これは卒業のための要件として加算されません。興味範疇の中で取るとよいでしょう。

一応、1・2年次にA群を多く履修・修了しておくと、3・4年次に焦らなくて済むとよく言われています。1・2年次は大学生活に集中できると思いますが、通常3年生夏ごろから企業へのインターンをはじめ就職活動が始まり、講義をフルに履修することが難しくなってきます。そこで、ある程度余裕を持って履修をしておくことで、就職活動に柔軟に対応できるスケジューリングを可能にします。ただし、おそらくは就職活動とのトレードオフになりますが、技術的にはFT生でない限り48×4で192単位分までの履修が可能です。

※当アカウントは、政治学科生以外の学生生活の制度的部分の質問と、ここで挙げた事項を除くシラバス・履修要覧に記載されている事項についての質問にはお答えしかねます。

※当アカウントは、記事内・DMにおける履修相談を通じて、自身の参加していた部活を含め、記事・個別履修相談において、いかなるサークルについての案内やキャンセルを行いません。




この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?