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(マンション建替え)管理不全マンションの行く末

 大規模修繕工事が3回目、4回目を迎えるようとしている管理組合は大規模修繕を漫然と、このまま進めて良いのかという疑問がでてきます。そんなところで、“建替え”たらどうなるのかを考えてみようと我々に、“建替え”の検討依頼がきます。おおかたの管理組合はそうして、大規模修繕と比較検討してその後のマンション方針を決定していきます。
しかし、中には、ほとんど大規模修繕を実施してこなかったマンションが、“建替え”に活路を見出そうとして、ご相談にこられる場合があります。負担が厳しくなる修繕費用を、この“建替え”で、建物劣化と一緒に解決してしまおうという意図です。しかも、費用負担なしで…。
そうしたマンション管理組合が合意形成のハードルが高い“建替え”に進んで行くことは、まずもってありません。これまで、大規模修繕費用の負担すら、合意形成ができずに先延ばしにしてきた管理組合が“建替え”というハードワークに耐えられないというのが実際のところです。そして、今、建替えが進められているマンションは、それなりに負担があるケースがほとんどで、負担がある中での合意形成となります。それはむずかしいですね。
“建替え”ができなければ、“大規模修繕工事”に進んでいくしかないのですが、そうならないのはどうしてでしょうか?
 もともと賃貸マンションだったものが分譲され区分所有された建物や等価交換で旧地主が管理していたものであった建物は、「管理する」ということについて、まずは希薄で、必要に見合う修繕費用が積まれていないケースが多く見られます。さらに、年数を経ることで、マンションの賃貸化が進んで行ったりすると、より積立金不足が進行されてしまいます。賃貸に供する区分所有者が収益重視に偏重してしまうため、支出たる管理費、修繕積立金を短絡的に抑えてしまう傾向がみられるからです。そうして、修繕さえ、されない建物の行く末はどうなるのでしょうか?

 “建替え”も“修繕”もしなければ、管理不全マンションとなるのは避けられません。マンション所有者の方の一部は管理不全マンションとなる前にお亡くなりになればご自分は静かな終わりが迎えられでしょう。

しかし、建物自体には静かな終わりはありません。お亡くなりになったマンションの権利自体もどなたかに継承されます。次に代へ先送りされただけなのです。修繕費用が積み立てられていないマンションが売買の対象となるかは未知数です。売買できれば幸運です。できなければ、継承しないでほっとかれる可能性が大です。

どなたもマンションを引き継がなければどうなるのでしょう?マンションの権利自体は相続放棄しない限り、配偶者や子供さん、配偶者、子供さんがいなければ、親御さんやご兄弟にいきます。その方たちがお亡くなりになっていれば、さらに広がっていきます。建物の管理費用はどうなるのでしょうか?その方たちが負担をしないでほっとけば、他の区分所有者が担わなければなりません。他の区分所有者の方はその方たちへの請求を怠れません。
もう、そんな建物を「壊してしまえ!」ってことにしたいのですが、建物解体は全員同意が必須です。先ほどの例のように区分所有者が広がり切ってしまった場合、壊すための同意はもちろん、これまでの負担費用を誰がどのような形で進めるのでしょうか?実際には進められません。

 建物は終末を迎えることなく、管理不全のまま立ち続けます。廃墟建物です。未納の固定資産等の税金、未納管理費、もしもの不審火事、その責任は区分所有者、およびその相続人に応分に存在し続けます。
 そんな建物は街の景観にもマイナスです。
 なんとかしなければなりません。

管理不全マンションを間違って買ってしまわないような施策が必要です。
管理不全建物が壊せるようにする政策が必要です。

残していいもの、残してはいけないもの分けなければなりません。
今回改正される「マンション管理適正化法」はそう言った方向に進もうとする国の意図を感じられます。自分たちが購入した、立てた建物は次世代へ託せるものなのか、そうでなく、壊さなければならないのか。現実に目をむけなければなりませんね。

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