「魚は釣れずとも」

いくら竿を振っても当たりはこない
魚は遠くで跳ねている
腰まで湖につかった体は
晩秋の水の冷たさで震えが止まらない

顔を上げると冠雪した富士山が
つるつるに光っている
滑落したら止まらないだろうなあ
しばらく山を離れている私は
そんなことを考える

魚は釣れずとも
山は美しく

紅葉は綺麗だ

釣れるはずがないと思いつつ
釣れたらいいなと期待しつつ
手作りのルアーを何度も投げる

そんな私をバカにするように
また魚が跳ねた


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