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【書評】リーダーを目指す人の心得(飛鳥新社) コリン・パウエル著

おすすめ度:★★★★☆
読んでほしい層:20台半ば~30代
*自分が31歳なので、Maxで30台としています。

彼はアメリカの歴史の中で初めて、四つ星の陸軍大将に上り詰め、さらには総合参謀本議長には史上最年少になった偉大な人物である。訳者あとがきにも書かれている通り、当時はまだ合法的にトイレやバスが人種で分けられていた時代。その時代にこれだけのことを成し遂げたというのは脱帽である。

本書では一貫して『リーダーはどう振る舞うべきか』というテーマについて語られる。リーダーに必要なエッセンス、つまり重要な要素を著者の実体験を例としながら非常に完結明瞭に綴られていく。

人情と合理性を併せ持った真のリーダー。本著作を読んで最初に抱いた私のパウエル氏の印象だ。

その中でも私が強く感じたパウエル氏の強みは『徹底した現場主義と合理主義の共存』そして『目標達成に対する強い意志』だと感じた。現場で従事するスタッフに対してきめ細かいケアの重要性を説きつつも、能力の見合わなくなったものは首にする、という合理主義的な言葉もはっきりと口にする。多くの人間を率いるリーダーにはこのバランスを高い次元で保ち、その根底には『必ず目的を達成する』という強い意志が必要なのだろう。

また自身が『最大の汚点』と認める2003年の『パウエル報告』についても言及している。こうした潔さも氏の人間性を端的に示していると思う。そして本書ではマイノリティであり差別されたり不当に扱われた、というような恨み節は一切出てこない。謙虚で潔く前向き。素晴らしい指導者ではないか。

ここで私が一読し、特に心に残った言葉をいくつかピックアップしたい。

報酬 は 受けとる のでは なく、 勝ち とれ。 常に ベスト を 尽くせ。 誰 も 見 て い なく ても、 自分 は 必ず 見 て いる。 自分 を がっかり さ せる な。
問題 は 解決 し なけれ ば なら ない。 管理 では だめ なの だ。 隠し ても だめ、 小さく 見せかけ ても だめ、 迂回 し ても だめ、 やわらげ ても だめ、 他人 の せい に し ても だめ で ある。 実効 の ある 修正 を おこなわ なけれ ば なら ない。
いったん 勝つ と 決め たら できる かぎり の こと を し なけれ ば なら ない。 使える 資源 を かき集め、 割 を 食う 人々 には なぜ そういう こと を し なけれ ば なら ない のかを 説明 し、 勝ち に いく の だ。
体験 から 現地 の こと を 熟知 し て おり、 ご 大層 な 理論 に 汚染 さ れ て い ない 人間 を 身の回り に 置く の だ。

いずれも人生の指針となりえる金言ではないだろうか。リーダーシップは社会人なりたての新卒から会社のリーダーに至るまで重要なコンピテンシーではある。それでもやはり、本書はこれから会社の中核、リーダーとなる20代後半から30代前半のビジネスパーソンにぜひ読んでいただきたい。

一度ならず人生で指針が必要になったときには何度でも立ち戻りたい。そんな名著である。

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