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Forty seven times its own weight / cumulo nimbus(1975)



テキサスはオースティンの超マイナー・レーベル、フェイブル(fable)からのリリース。レア・グルーヴとして発掘された3組のうちの1つで、おそらく最も地味なグループ。

理由としては熱血ファンクなスティーム・ヒート(Steam heat)、フュージョン、クロスオーヴァーなスムーズサウンドのスタークロスト(Starcrost)に比べインスト・バンドで、かなりジャズ寄りな音が原因と思われ、特にドラムは完全にジャズである。

ジャケは「fourty seven」と英語表記だが、オフィシャルのブックレット等にも「47」や「47x」と数字評価されていることもあり、どちらが正式かは不明。当時のテレビCMから命名したようだ。

①weedhopser 
ミドル・テンポでソプラノ・サックスソロ。ドラムはなかなか手数が多く、エレピもスタークロストの清涼感溢れるそれとは違うやや幻惑的な使い方。ライナーノーツによればこの奏者、トランペットとエレピを同時に演奏することができたらしい。

②march of the goober woobers
一転、唸るベースに先導されるジャズ・ファンク。クラヴィネットのバッキングもファンキーで堪らん。後半にはホーンとのコーレス的なクラヴィ・ソロも。ドラムは相変わらず細かく刻む。

③47 tears
ビアノとテナーのえらくムーディなバラードの小品。A面のあまり時間を埋めるための曲か。

④jig
やけに勇ましいドラムとホーンのテーマが印象的。蠱惑的なエレピやホーン・セクションが程よく絡む。途中から急にテンポを落とし、ワウをかけたトランペットとエレピ、ベースがモニョモニョと鳴りだし、その後ペース・アップ。マイルズの「bitches brew」的な展開だ。最後はなぜか風の音で終わる。アルバム・ジャケをイメージしているつもりか。

⑤halyards
スタークロストに通じるフュージョン的なアップ。哀愁漂うホーンのテーマから細かいドラムとベース、エレピをバックにテナーのソロ。こういう曲を聴くとジャズ・ロック的なグループなのかとも思う。

⑥cumulo nimbus 
「積乱雲」を意味するタイトル曲。④のラストと同じ様な風の音からスタート。だったら⑤の最後に風の音で良かったのでは。
おそらく積乱雲をイメージしたであろう怪しげなシンセとエレピ、ソプラノ・サックスが荒れ狂う嵐を予感させる。
雲を抜ければ力強いベース・ラインとエレピに支えられたバスクラのソロ。

まとめ


全般通せば前述の「bitches brew」時期のマイルズや、同時期のウェザー・リポート辺り
に影響を受けたサウンド。

結局この1枚でバンドは消滅。レーベル自体はまだほそぼそと運営しているようだ。

フュージョン好きなら手にとってもいいとは思うけど、なかなかの好き者にしか受け入れできないB級作品である。

最後に完全に余談だが、本作のオリジナル盤には出会ったことがなく、英のJazzmanからのCDを所有しているが、リイシューが「holy grail」シリーズなる、バン○オブチキン的なイタいタイトルになっている。英国においてもそういうのが好きな大人がいるのだなあと、妙に感心した次第である。

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