道徳マップで授業を解析「授業を研ぐ」

渡辺道治先生の新刊「授業を研ぐ」の中で紹介されている飛び込み授業について、私が開発した「道徳マップ」で解析しました。

「授業を研ぐ」

「道徳マップ」
注意:今回は一般的な道徳授業ではないので、道徳マップの9マスの使い方が異なります。

・YouTube
道徳マップ 紹介動画

・note
道徳授業が苦手な先生のために開発した「道徳マップ」公開します!

本の中で東京学芸大学の松山康成さんが飛び込み授業を分析しており、異なる視点からの分析が本を読んだ先生方の一助となればと思い本記事を書きました。

また、内容については、「授業を研ぐ」を読み、得点である動画を見ている方を対象として書きましたので、あえて説明を減らしていますので、ご了承下さい。

1.はじめに

渡辺道治先生とは、数年前からオンラインで話していたのですが、今年の9月に函館のセミナーで初めてお会いしました。そこでは私も登壇しましたし、渡辺道治先生と千葉孝司先生と私と3人で登壇し、授業についてのディスカッションも行いました。

実際に模擬授業を受けさせていただき、細部まで意思を感じる作り込まれた授業で「なるほど、みんなが凄い凄い言うのはこういうことか!」と感じました。

この本を読む時には、その時の渡辺先生の模擬授業をイメージしながら読み進めて、その後に特典映像を見て、イメージを修正する事ができました。もし映像が見られなかったら、この記事は書いていなかったと思います。

私は、授業をエンターテイメントだと考えており、子ども達を飽きさせずに授業に没入し、「授業を楽しんでいたら学んでいた。」と感じてと思っています。なので、授業は細部まで作り込みますし、作り込んだ授業よりも、その場での子ども達の反応や空気感を大切にリアルタイムで内容を修正して授業しています。渡辺先生も言葉は違いますが、同じように考えているのだろうと感じています。

2.感想

本を読んで一番最初に思ったのは「よくもここまで情報開示したものだ!」です。私はプロの講師なので講座の内容は商品であり、授業も同じです。ですから、飛び込み授業についてここまで書かれていることに驚きました。

特に、実際の授業映像は圧巻です。購入者特典とはいえ、多くの人達に実際の授業を見せるのは授業者として怖いことですが、文章だけではイメージできない授業のリアルを感じ取る事ができました。

ざっくりまとめれば、「飛び込み授業の解説本」ですと言えます。ですが、それ以上に渡辺先生の飛び込み授業に対する「熱」を感じ取ることができますので、教員はもちろん講師業をしている人にもオススメの一冊です。

3.道徳マップに落とし込む

さて、本記事の主題です。
実際に道徳マップに落とし込むと、本や映像と異なり、授業の流れが明確になります。

まず、本の中にあるように、「W杯の授業を作って欲しい」という依頼と、「大人になるとはどういうことか?」が主題となるので内容項目のマスに書き込みました。

続いて、発問を落とし込んでいくと、「大人と子ども」「成人年齢」「W杯」「天才バカボン」「感想」の大きく5つのパートに分けられます。

飛び込み授業の発問を落とし込んだ道徳マップ

また、道徳マップに落とし込む事で、子ども達に深く自分事として考えるための「しかけ」も見えて来ます。

導入部では、授業の大きな流れを示しながら、次のパートである「成人年齢」に向けた前振りとなっています。各パートの中では「大人だと思う?子どもだと思う?」というシンプルな問いを2回入れて主題である「大人になるとはどういうこと?」でパートを終わらせて、次のパートへ進むので、子ども達も飽きることなく授業を楽しんでいる様子が映像でも見てとれます。

「成人年齢」「W杯」「天才バカボン」という状況の異なる3つのパートの中で「大人だと思う?子どもだと思う?」という発問を繰り返しています。

これは、最後の「大人になるってどういうこと?」という発問に向けて、同じ発問を繰り返しながら、段々と子ども達に自分事として深く考えさせていく「しかけ」だと考えられます。

同じ発問でも、状況が異なれば答えも変わってきます。その葛藤こそが、子ども達にとって一番の思考のトレーニングになります。また、同じ発問なだけでなく、選択肢として問うているので、子どもの力量によらず誰にでも答えやすく、子ども達全員を授業に巻き込む「しかけ」になっていますよね。

これらの「しかけ」は素晴らしい先生方の授業の共通点でもあります。他にも細かな技術が活用されており、私自身が飛び込み授業を行う時にも意識している事でもあるので「そうそう!これ大事だよね!」思うのと同じくらい「ネタバラシしないでくれよ」もと思ってしまいますね。

4.最後に

この本を読む方は、向上心あふれる学校の先生が多いと思います。読み手の技術や知識、経験で気付くものは違うと思いますが、本の中から1つでも、授業で実践して欲しいと思っています。多くの先生方が子ども達に言っているように、行動しなければ、憧れはいつまでも憧れであり、自分で行動するからこそたどり着けますからね。

道徳マップは授業の流れを視覚化するフレームワークですから、今回のように実際の授業を解析するのにも効果的です。より多くの先生方の授業を解析したいと思っていたので、このような情報を発信してくれた渡辺先生や出版社や関係する先生方に感謝です。

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