猫嫌いの人にTNRのメリットを伝えるには

TNRは、捕獲・不妊手術・戻す(Trap-Neuter-Return)の略です。
外猫の不妊手術をして外猫が増えない(減少していく)ことを目的としています。

現在、保健所に連れて行かれる動物の7割以上が猫で
保健所で殺処分される動物の数も7割以上が猫だそうです。

保健所に連れて行かれる猫(外猫)の数を減らすことが出来れば、殺処分0に大きく近づけることができます。 
そのために大事なのは、飼い猫の避妊手術のほかに外にいる猫のTNRです。
保護活動をしている人はTNRの大切さを知っていますが、一般人はそれを理解していません。
(でも出来ることなら、みんな保護して里親募集してあげたいですね😿)

一般市民の中では、猫が好きでも猫の命を助けたいと実際に行動する人間は少数派だと感じています。そして、その反対に猫は嫌いで殺してしまったほうがいいと思う人間もいますが、これはさらに少数派かと思います。
ほとんどの人間は猫のことを別に好きでも嫌いでもないけど、野良猫の数が増えるのは困るから野良猫はいないほうがいいと思っている人たちでしょうか。
 
この一番多い『猫に無関心な人間たち』をTNRに関して説得できれば、
地域ごとでTNRを法律として実行することは可能になり、多くの猫の命を助けることができるのではないかと考えます。
 
しかしTNRの提案を出せば、猫に無関心な、そして猫嫌いな人間からはいろいろな苦情が出ます。猫好きの人間からも、大きなスケールでそういったことができるのかと言う疑問を持たれるのも少なくはないでしょう。

そこで、
どうやってTNRの大事さを伝えるかについて、
 TNRに対して下記のような質問や発言をされたらどう解決策を提示するかを考えました。
(まだ勉強途中のため、随時追記や修正していきます🙇)


・野良猫は勝手に私たちの庭に入り込んで汚すので、いないほうがいい。

<ポピュレーションアプローチ>
いないほうが良いと思うなら尚更TNRが効果的になります。
殺処分では個体数が減少しますが一時的に過ぎず、野良猫の繁殖が途切れるわけではありません。殺処分された個体の代わりに新たな子猫が生まれれば、野良猫は再び増加する可能性があります。
そして、殺処分するだけでは新たな動物が他からその地域に侵入する可能性が出てきます。
繁殖しない野良猫がその地域にいることで新たな動物が侵入することを防ぐことが出来、徐々にポピュレーションを減少することが出来るのです。

まずは野良猫の個体数を減らすことなく、制御することが重要です。
糞尿が気になる場合には庭に猫が入れないように柵を作るなど対策を提案します。

そして海外では実際にTNRにより野良猫のポピュレーションが減少した成功例があります。
それについては下記にエビデンスを記載しました。

<殺処分とTNRの費用比較>
殺処分にかかる費用はTNRにかかる費用より高額になります。
殺処分には捕獲・処分の手続きや設備、人件費などが含まれます。
犬猫の殺処分には、経費節減のために安く窒息死させられる二酸化炭素が使われています。
単に殺処分の費用(ガス代)ということであれば、1頭あたり約80円だそうです。
しかし狂犬病予防法によって最低3日間の収容(+各自治体の条例に基づいた日数)が義務付けられているため、そのような設備のある施設が必要になります。
施設の維持・管理費、焼却する際の燃料費、人件費等を含めると、
1頭あたりの殺処分にかかる費用は2万円〜7万円
(自治体によって差が大きい)と高額になります。
年間で計算すると数億円になり、もちろん全て税金です。
 
避妊去勢手術にかかる金額は一般的に、1匹あたり1万円~3万円程度ですが、地域や動物病院によって異なります。
助成金を使って手術費用が割引されることや、無料で提供されることもあります。(手術費用 オス5000円~1万円、メス1万円~30000円)
感染病対策でワクチンを打ったとしても、TNRにかかる費用のほうが殺処分にかかる費用よりも安くなります。

ですので、経済的な観点からもTNRが有益であり、長期的な効果も期待されます。
何より野良猫も生きている生物であり、生存権と倫理的な扱いを受けるべきですが、これは動物嫌いの人には伝わりません😿
(個人的な本音を言えば、自分の土地や庭などという概念は人間が勝手に独占して創ったものなので、野生動物からしたら全く関係のない話です。そして誰よりも地球を汚しているのは人間ですし、地球や土地は動物と共有すべきスペースで、掃除できる人間が掃除したら良いと思っています。)


・野良猫は感染病を持っている可能性がある。狂犬病とか、TOXOPLASMOSISとか。外に居られると危ないのでは?

野良猫から人間への感染症の普及率は比較的低く、感染リスクも野良猫との接触を避けることやペットの予防接種で避けることが可能です。
また人間が人間から移される感染症の普及率のほうが圧倒的に高いです。
例えばインフルエンザの場合、年間数千万人から数億人に及ぶ人々が感染します。
人間が人間から移される感染症は、一般的に軽度から中等度の症状、一部の感染症では重篤な合併症が生じる可能性がありますが、野良猫からの感染症は通常は重症化することは少ないと言えます。

・TNRの費用は誰が出すの?

獣医師は無料で手術をしてくれるわけではないので、一般的にTNRは地域の動物愛護団体や自治体、または個人の寄付などで行われています。
地域の支援体制によって異なりますが、助成金として税金が使われていることもあります。
しかし保健所での殺処分は全て国民の税金で行われているため、
そのコスト削減のためにも、捕獲して殺処分するよりもTNRのほうが経済的で道徳的と言えます。
 

・不妊手術は野良猫を全部捕まえないと意味がなく、それは不可能ではないか。

<成功例の提示>
一般的にTNRが効果的であるとされる割合は、野良猫の約50%以上を避妊去勢する場合と言われています。
TNRが導入された地域では、避妊去勢手術により新たな子猫の生産が減少し、野良猫の増加が制御されたエビデンスがあります。

アメリカニューヨーク市では、2008年から2014年の間にTNRが導入され、
その結果、野良猫の収容数が約65%減少し、殺処分数が約82%減少したという報告があります。

2009年にアメリカ合衆国のサンディエゴ市で開始されたTNR活動では、野良猫の収容数がこれまでで70%以上、殺処分数が30%以上減少したという報告があります。

ロサンゼルス市では、TNRにより2005年から2017年の間に野良猫の収容数が約60%減少し、殺処分数が約73%減少したという報告があります。

オーストラリアのブリスベン市では、TNRにより野良猫の収容数が約32%減少し、殺処分数が約76%減少したという報告があります。

避妊去勢手術を受けた1匹の野良猫は、その後10年間で数千匹の子孫を生まないようにすることが可能だと言われています。
このような実例から日本でも、TNRが野良猫の減少に有効であることを示すことが出来ます。

・TNRの作業には多くの人間が必要になるけど、道具や人手はどうやって集めるの?

TNRは大変で人手が必要となります。地域の動物愛護団体やボランティア、そして地域住民の協力が必要となります。
必要な機材や設備は、資金提供や寄付によって集められます。
人手は、地域の保護団体のボランティア募集や地方自治体の協力が必要となります。

<AIによる費用の算出>
地域の人口に対するTNRの費用や必要な人手、スタッフの給料割合、必要なボランティア人数についてはAIに算出してもらったところ、規模によって異なりますが、一般的には1万人あたり数十万円から数百万円の予算が必要。
例えば、地域の人口が10万人であれば、年間のTNRにかかる費用は数百万円から数千万円になる可能性がある。
地域の人口が10万人のときの殺処分にかかる費用を比較して計算すると、
保護する施設の維持費用や、スタッフの給与がかかるため数千万円から数億円の範囲内になる可能性がある。

TNRには、獣医師や看護師、捕獲担当、保護活動のスタッフなどが必要。
TNRにおけるスタッフの給料比率は、予算全体の約20%から30%になると考えられます。ただし、地域の経済状況やスタッフの役割によって異なる。
必要なボランティア人数は地域の規模よって変動しますが、数十名から数百名のボランティアが必要となるでしょう。
以上のデータを元に、一般的な指針として参考にすることができます。
必要な数のボランティアを集めるには殺処分0を高め、地域全体の協力が必要になります。
とのことでした。

・たとえ不妊手術をしてそれ以上猫の数が増えなくても手術された多くの野良猫はまだウロウロしているのなら、猫が好きじゃない人たちにとっては何のメリットがあるの?

繁殖しない野良猫がいることで新たな動物が侵入することを防ぐことが出来、そして徐々に野良猫のポピュレーションを減少することが出来ます。
TNRのエビデンスについては上記に記載した通りです。





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