若年サッカー選手における動作スキルのレベルと傷害の関連(神経路を刺激することは、運動プログラミング、予備的な筋活動、反射的な神経筋応答の向上をもたらし、動的な関節の安定性と運動スキルが向上する)
動作スキル
神経による筋の精密な制御は、身体動作、および細かく調整された運動スキルの実行を最適化し、さらには動的制御(筋が関節安定性に果たす役割)による関節安定性を向上させます。
神経路を刺激することは、運動プログラミング、予備的な筋活動、および反射的な神経筋応答の向上をもたらし、その結果、動的な関節の安定性と運動スキルが向上します。
思春期前に基本的運動スキルが十分に発達していないと、思春期や成人期に入ってから動的安定性に悪影響が生じる可能性があります。
したがって、神経筋系の自然な発達に伴い、神経可塑性が加速する思春期前の時期に、基本的運動スキルの向上に的を絞った介入を実施することが非常に重要と考えられます。
これをさらに裏付けるように、動作スキルの向上に最適な年齢は思春期前であること、また粗大運動スキルおよび動作のコーディネーションを順次向上させるための「感受期」は7歳~11歳であることが示唆されています。
動作スキルのレベルと傷害の関連
動作スキルのレベルと傷害の関連性については一貫していません。
HARMAN&DICKらの報告
Harman&Dickらは、男女のバスケットボール選手とサッカー選手を対象にした7年分の調査において、選手のスキルレベルと前十字靭帯(ACL)損傷の発生リスクの間に関連性がなかったことを明らかにしています。
また、女子選手の場合、スキルレベルが高いことは、下肢と背部の傷害の危険因子であることが報告されています。
対照的に男子サッカー選手のスキルレベルと傷害の関連性については、下肢の傷害の発生率が低スキルで2倍に上り、得に膝関節と足関節の傷害が多いと報告されています。
BLUMEの報告
Blumeによると、スキルの主要な要素は、7つのコーディネーション能力、すなわち、運動識別能力、運動連結能力、バランス維持能力、空間定位能力、運動リズム化能力、高速反応能力、および運動変換能力からなります。
したがって、競技レベルの高さで分類するのは、スキルの分類を単純化しすぎていると考えなくてはなりません。
これを裏付けるように、男性を対象とした研究において、動作パターンの変化と神経筋コントロールの低下は、傷害の予測因子であることが明らかになっています。
したがって、スキルの評価尺度には、優れたパフォーマンスに関連づけられている望ましい動作パターンによって、安全に動作を実行する能力を用いることが適切です。
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