書道において道具の追求は大事
動画やブログなどやっているので
『どんな筆がおすすめですか?』と聞かれることがある。書道を始めるならどんな筆がいいのかを知りたいという気持ちはよくわかる。しかしこれはとても難しい質問だ。初心者向けの筆でおすすめのものはもちろんあるし、わが湘南書道会でも入会時に教室としての推奨の筆を紹介している。もちろん買う買わないは生徒さんの自由だ。せっかくだから自分で調べて買ってみたいという探求心旺盛な人もいたりするし、自分のおばあちゃんが使っていた筆で稽古したい、なんていう人もいたりした。ただ自分の教室以外の人に『おすすめの筆を教えてください。』と聞かれたら、必ず言う言葉がある。
『ご自身の通われている教室の先生に聞くのが一番いいですよ』
人によっては冷たく感じるかもしれないが、実際それが一番いい!通われている教室によっては使用している競書雑誌も異なるし、書く課題も異なります。習熟度によって書く課題が異なれば、使用する筆も異なるのが当然だとも思うし、各々の教室には推奨の筆があるはずです。道具のことでわからないことがあるのでしたら自分の先生の言うことを聞くのがまずは一番です。
自分の使用している筆の一部です。
で今回の本題に入りますが、
先日とある方から、とある書道家と名乗っている方が『受賞のために道具を変えるなんて可笑しい』という旨のことを発言して個人攻撃みたいなことしてますよー。てな感じのDMをもらって、
『あぁまたそいつか、相変わらず評判悪いな。。。』とうんざりしていて、そのことをわざわざDMしてくる人にもうんざりしていて、、まぁせっかくだからnoteのネタにでもしておくか。
結論から言うと受賞や作品のレベル向上のために道具を変えてみることはなんにも間違っていない。
今回は筆のことを書きますが、筆にはいろいろな種類がある。値段も様々だ。毛の長いもの、短いもの、固いもの柔らかいもの。筆の毛ってのは基本的には動物の毛が使用されているが、それだって種類が様々だ。筆の大きさが変われば線の質も変わるし。使用されている毛の種類が変われば違った趣の線が出ることもある。書く題材や文字数によって筆を変えるなんてことは当然のことだし、作風によって筆を変えて書くこともあるでしょう。
もちろん一度買った筆は大事にするべきだと思う。長く使用すれば自分の手に馴染むだろうし、羊毛の筆なら長く使えば使うほど毛の質も柔らかくなるでしょう。しかし、それと道具の研究を怠るというのは全然違うことだと自分は考える。
例えば、受賞のために道具の研究をする。筆を変えて書いてみる。普段とは違う線質が作品をよくしてくれる場合もあるし、全然よくならない場合もある。全然よくならなかったとしても、それは単純な失敗ではなく一つ経験と知識が増えたということになる。書道家としてはとても立派な財産だと思います。教室の運営をするうえでもその財産はとても役立つでしょう。
自分はずっと同じ筆を使用してます!!なんていうのも別に悪いことではないかもしれません。書道には段階というものがありますから。まだまだいろんな道具を知って表現の幅を広げるっていう段階になっていないならそれだけのことだし。まだ習っている段階なら先生の推奨する筆を使い続けるのもいいことだと思います。
ただ書道家なら筆に限らず道具の研究はするべきです。
もし生徒さんが『先生!オオカミの毛でできている筆ってどんな感じで書けるの??』と聞いてきても、知らないってなかなか言えないでしょう?書道家なら。いや、、、わからないことが恥ずかしいことのなのではなく、探求する気持ちがないことが恥ずかしいことなのだ。書道家なら道具の研究はしたほうがいい!教室運営していて絶対に役立つしね!!子供の生徒さんも自分が持っているいろんな種類の筆には興味を示してくれるし、でかい硯にもそうだし、書道の本にも興味をしめしてくれたりする。そうなると生徒たちにいろいろな話をすることができる。
道具は相棒だ!!という、浅はかな言葉に騙されることなく道具の研究はしてみてはいかがでしょうか?
なにも新しい筆を買ったら今までの筆を捨てるわけでもあるまいし、、、
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