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オッペンハイマー(Oppenheimer true story)の感想(ネタバレ注意)

機内の往復でオッペンハイマー(Oppenheimer true storyです。ノーラン監督のではないです)とバービー視聴、先日見たパーフェクトデイズ含め三つとも非日常より日常の良さを謳っている印象が被ります。

以下特にオッペンハイマー(Oppenheimer true story)。完全にネタバレなのでご注意を。

第一印象何かダヴィンチが現代に来たという印象を持つ万能人。ちょっと植田先生とも被るんですが、ハーバードでもトップレベルだったにも関わらずケンブリッジに行ったら量子力学真っ盛り、例のラザフォードがトップで実験メインだったのに実験が大の苦手で、厳しかったところ、ドイツの理論物理学者(アインシュタインではないです)が来て師事して、ドイツの大学院で理論物理の博士号を取得。なんと取得期間が18ヶ月だったそうです。

その後バークレーで研究してたところマンハッタン計画の統括者と面談して、原爆のメカニズムを素人のに極めて明快にメカニズムを説明できたので、オッペンハイマーをロスアラモスの総責任者にしようと考えたそうです。

本来学者で、あまり人的交流も少なかったので、マネジメントはどうか関係者は心配していたそうです。しかもノーベル賞を取っていないし。でもバークレーで講義するうちに説得的な説明や講義の魅力を出す工夫もできるようになったこと。本来ハンサムでカリスマ性も実は結構高くてトップとしての基礎は十分だったそうです。

更に最初の万能人という話に戻りますが、そもそも実験嫌いなのにどうやって実際に原爆を作るのかロスアラモス国立研究所では様々なコンファレンスやインフォーマルなディスカッションが行われて、そこから原爆を製造するために必要な技術を全部吸収して行って、しかも適切な指示を出していったそう。

トップとしては理想かもですね。カリスマ≒プレゼンテーションかなと思うので、冨山和彦さんの響く言葉なんかが経営者に向いているとすると、そこができれば十分で、さらに重要なのは、理解して適材適所の組織配置ですからね(更に重要なのは仕事を作れる能力なので、そこはビルゲイツやジョブスやマスクの方が上ですかね)

もともと裕福なドイツ系ユダヤ人でも裕福すぎて家族との繋がりは薄く、ユダヤ人としてもドイツ人としてもアイデンティティは表したくなかったそう。ユダヤの倫理学校(ethical school)でもサマーキャンプで相当いじめられて、自我は非常に強かったそう。ドイツで理論物理の博士号を取ったこともありナチはいずれ原爆を作るだろうと思っていた。それで製造を急いだものの、ユダヤ人の虐殺の復讐とかは考えてなかった印象。結局日本に使うことになりそれは賛成しますが、最大の理由は原爆の悲惨さを示して抑止力を与えようとしたから。家康も大阪城の落城の時にわざと悲惨な虐殺をしていますが、それに近いことを考えていたようです。

その後核の国際的な管理を考えていたのに、無能なトルーマンはそれを拒否。当然情報は漏れてソ連が核を保有することになります。

サンスクリットの詩を読むためにサンスクリット語もマスターして(独仏語ギリシャラテン全部OK)いるほどの天才で、感情に流されている印象は全くないです。彼の唯一の失敗はまさかアメリカ大統領(トルーマン)がそこまで無能とは予想できなかったことですかね。

ホント実験じゃなく工学でもない理論物理学者で、ノーベル賞も取っていなくて無名の秀才をトップに据えることの意義が私が受けたこの映画の最大のポイントです。一番のポイントです。そこで最初の日常の素晴らしさを表現って話に戻りますが、珍しくオッペンハイマー学者なのにもうちょと大きなことをするのが好きだった人。ただ、やっぱりそういう1日1日の充実感の方が大事だったんじゃないですかね。ほんとパーフェクトデイズの主人公は何気ない1日にさまざまな変化や趣向を見出して楽しくてしょうがないって感じですが、そういうところはオッペンハイマーにもあったと思います。

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