【書評】『シアンクレール今はなく』川俣水雪歌集
立看もビラさえもなきキャンパスに仔羊の群れ飼われ飼われて
この歌集はⅠ章とⅡ章で詠われ方がかなり異なっている。
特にⅠ章は固有名詞も多く、学生運動の時代に生きた実在の人物に強くシンパシーを感じる作者が色濃く出ていることもあり、
詠まれているその時代のことを知らないと、読みにくい部分もある。
私もまさに当時を知らない世代なので、いろいろと調べながら読んだ。
上記の一首は、しかし、もうそうした時代からは遠ざかってしまって、
大学のキャンパスには闘うことをしなくなった学生たちが