【書評】『駅へ 新装版』松村正直歌集
2001年にながらみ書房から刊行された著者の第一歌集の新装版。
フリーターですと答えてしばらくの間相手の反応を見る
日が落ちてブランコだけが揺れている追いかければまだ追いつくけれど
定職のない人に部屋は貸せないと言われて鮮やかすぎる新緑
歌集冒頭の連作「フリーター的」から。
作者は長らくの間、定職を持たずに様々な町で暮らしていた。
それは自分が選び取った生き方ではあるのだが、
どこか、社会的な規範からは外れているという思いがあったのだろう。
「フリーター」という言葉が