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建築界隈、編集者。

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  • 編集部員の気まぐれレビュー

    • 12本

    学芸出版社の編集部員が、気になった本や映画、展覧会などを気まぐれにレビューします。「これを読め!観よ!」という作品の推薦、いつでもお待ちしております【毎週水曜日更新】

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情報と戦う──『読んでいない本について堂々と語る方法』

次はこの本について書いてみよう〜と思っていた矢先、先輩編集者が見事にバトンを渡してくれた(と思っている)。 彼の紹介にある通り、タイトルから感じるような薄っぺらいノウハウ本だと侮るなかれ、実は読書論からはじまり教育論や思考術、さらには哲学へまで広がるような深〜い根を持つ本である。 ピエール・バイヤール著/大浦康介訳 『読んでいない本について堂々と語る方法』(筑摩書房、2008) 著者は、「本を読む」とは一体どう定義できるのか、という問題提起から物語を始める。 つまり、こ

    • 都市で生きるとは?一一『ひとり空間の都市論』

      建築家・伊東豊雄が、1989年に雑誌「新建築」に寄稿した論考「消費の海に浸らずして新しい建築はない」。この時私は生まれてすらいないが、どうやら当時の建築家社会+その界隈に、強烈なインパクトを与えた論考らしい。 たしかに、毎月コンスタントに発刊される雑誌の冒頭たった数ページの論考が、今もなおあらゆる局面で引用されるというのは、情報が横溢するこの時代には少し驚きを覚える。 伊東は「凄まじい勢いで建築が建てられ」と語り始め、高度経済成長期のピークを経て社会が成熟し始めた当時の建築界

      • 文を綴ることについて––––『みみずくは黄昏に飛び立つ』

        これは、私が学生だった数ヶ月前の修士論文提出日、まだ空気が冷え込んでいた寒空の下大量の研究史料を返却するため向かった図書館で出会った作品である。小難しい史料を読み耽っていた時間から翻って、なんかさらっと軽い本・・・とふと棚へ手を伸ばして見つけた。 ©Shinchosha この本は小説家(川上未映子)による小説家(村上春樹)へのインタビュー集であり、新作『騎士団長』を中心に話が繋がっていく。 おそらくよくあることだが、少し前まで私は村上の小説を(なんとなく)好んでいなかった

      情報と戦う──『読んでいない本について堂々と語る方法』

      • 都市で生きるとは?一一『ひとり空間の都市論』

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