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もろもろの感想文

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本や、映画や、音楽など、ほんとうに趣味的、偏愛的な感想文です。
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ストレスの90%は人間関係

暑いです、本当に。 小学生の頃は、30°を少し超えるだけで、真夏日と言われていたのに、今日の天気予報を見ると38°。もし、小学生の自分がタイムスリップしたら、きっと違う国に来たと思うかもしれない。 ところで、この題名ですが、最近面白かったドラマの主人公が、ことあるごとに口にしていたフレーズです。 これだけ聞くと、多くのビジネス書でも書かれているような響きですが、秀逸なのは「残り10パーセントに、とってもいいことが隠されているかもしれない」と付け加えられていたこと。 こ

帰ってきたヒトラーを観て

梅雨のせいで、家にいる機会が多く 最近よく映画を観る。 映画って、観るときはまるで禁断症状でも起きたかのように連続的に観てしまうが、観ない時は徹底的に観なくなる。あれってなんだろう。 おそらく映画自体にパワーがあるから、調子が悪いときは気押されてしまうからもしれない。 あとはサブスクのせいもあるかも。あれだけ選択肢があるとかえって、選ぶのが大変。 誰か自分専用の映画コンシェルジュがいて、その日の気分や体調、欲しているものを検討して、三つぐらいの候補を挙げてくれるとうれし

ゴジラ-1.0を観て

ゴジラというと、どうしてももう少し上の世代のもののような気がして、小さい頃に色々観たけれど、内容のほとんどを忘れている。 ただし、メカゴジラとの闘いは例外で、音楽だけはよく覚えているけれど。 つまり、ゴジラに対しては、すべてがぼんやりした記憶でしかない。 そして、時が流れて令和に入り、庵野秀明監督の「シン・ゴジラ」を映画館で観た。 それなりに面白かったが、そのぼんやりとした記憶がそのものがネックとなった。ちゃんと記憶が残っていないのにも関わらず、いつのまにか、古きゴジラ

遙かなるマウイ島

マウイ島が好きだ。それもとても深く。 ちょっと前まで、どこそこ?と言われていたが、 あの例の大火事で有名になったハワイの中にある一つの島である。 ハワイと聞くと、行ったことがない多くの人は、まずはホノルルを連想する。そしてそこのみが、ハワイのすべてだと思っているふしがある。 しかし、村上春樹が好きなカウワイ等や、火山があるハワイ島や、前述したマウイ島と。実は多彩な島の集まりである。意外に奥が深い。 そして、当初はワイキキビーチで満足しているが、次第に離島に行きたくなる(沖

ペンギン村に住みたくて

鳥山明さんが亡くなりました。 実は、ドラゴンボールやブルードラゴンなどの後期の作品よりも、「Dr.スランプアラレちゃん」が好きでした。 割に大きくなるまで、ずっと「あんな世界に住みたいなあ」と思っていたくらいです。 平和で、住人達もみんなのほほんとしてのんびりしていて、それでいてちょっとした変な事件が起きて、村全体がわちゃわちゃする。どんな個性の持ち主でも、最終的に村に受け入れられて共存していく。 そして、何よりも誰も死なない。 鳥山明さんは、自分が住みたい世界を造りたか

伊集院静さんが逝く

作家の伊集院静さんが亡くなられました。 「大人の流儀」を読むのを楽しみしていました。 私とは、まったく違う生き方をする人だなあと思って、どこか羨望の眼差しに似たものを感じることもありました。 たぶん、へたれの自分には、「大人の流儀」なんていう題名がついた骨太の本は一生出すことはないでしょう。 出せるとしたら「弱さなりの流儀」ぐらいかな。 そして、珠玉のエッセイの中では、特に愛しい人が亡くなったときどうするか、その向き合い方、意識の変え方、そして人生への活かし方を教わった

坂本龍一著「ぼくはあと何回、満月を見るだろう」を読み終えて。

まず凄いなと思ったのは、教授という人は、癌を患っていたと思えないほど、亡くなる直前まで、常人でも抱えきれないほどの、いくつかの大きなイベントや、音楽活動をこなしていましたこと。そして、死ぬ当日までのことが詳細に記述されていたことです。 自分の葬式で流す、音楽のセレクトまでも済ませていたというのも初めて知りました。そういったことは、ネットの記事だけ読んでもわからないことでした。 山田風太郎の奇書「人間臨終図鑑」をなどを読むと、有名人というのは、わりに死ぬ直前の記録は残ってい

映画「君たちはどう生きるのか」を観て

この質問、答えるのはたいへん難しいですね。私もそこそこ長く生きてきましたが、この歳になってもさっぱりわかりません。 迷いに迷って、日々おののきながら生きてきました・・・。それが生き方といえは、生き方でしょうが。 逆にはっきりこうだと、決められる人はすごい人なんだなと思います。 といった感じで、前知識なく映画を観に行ったわけですが、映画を観ている最中に、「生き方」みたいなことなど、そんな難しいことを考えてしまわないか、ヒヤヒヤしながら見始めました。 しかし、それは杞憂に終わ

ときどき無性に詩を書きたくなる

ときどき、無性に詩を書きたくなる。 それは、ふいに訪れる強烈な衝動である。ただし、若い頃ほど頻繁には起きなくなった。 ともかく、本当に突然に襲ってくる。 ちなみに、詩人になりたいとは強く思ったことはない。才能がないと言ってしまえばそれまでだが、過去の詩人の作品を読むと、とても彼らを超えられるような作品が書けるとは到底思えないからだ。それだけ、詩というのはちょっと特殊な能力が必要な気がする。 削って削って(神経も)、感覚を研ぎ澄ませて研ぎ澄ませて、一語一語を積み上げていく

最高にして最低な傑作 街とその不確かな壁を読んで 

読み終えて、一ヶ月ほどたちました。 すぐに、感想を書こうと思いましたが、なかなか筆が進みませんでした。真剣に書こうと思えば思うほど、手が止まり考え込んでしまう。 その間にもNote上には、感想や批評の記事が次々に上がっていく。 それらを読みながら、時にはなるほどと思うし、的外れだなと思うときもありました。当然、本の読み方に正解などありません。 批評というのは、まったくの的外れでもいいやぐらいに思っていますが、ただ間違ったまま、こき下ろして終わっているの読むと、さすがにもや

体感が先に来る文章 吉本ばななさんの最近の記事より

とても読みたいけれど、有料だから全部は読めていない人のNoteってあると思いますが、その筆頭の方が私にとっては、吉本ばななさんです。 吉本ばななさんの、小説はだいたい読んできました(全部と言いたいところですが・・・最近は・・・ごめんなさい)。 小説のほかにも、エッセイや対談(特に河合隼雄さんとの対談である、『なるほどの対話』)もすごいと思っています。 というのも、どのプロと呼ばれる作家もそうですが、吉本さんの文章って、必ずどこかに、これは吉本ばななさんしか書けない、吉本

音だけを残して 坂本龍一「12」を聴く

前作「async」から、6年ぶりの新譜であるこのアルバム。 ずっと楽しみにしていました。大ファンであるだけでなく、小説を書くときは、必ず坂本龍一さんの音楽をノンストップでいつも流していたからです。それぐらい好きで、私の文学には必要な音楽でした。 しかし、今回のアルバム、買った直後に高橋幸宏さんが亡くなったこともあり、リリースされて数回聴いただけで、しばらく聴かないで封印していました。それというのも、聴いていてとても辛くなるからです。 そもそも、このアルバムの曲は日記を書く

映画「全身小説家」を観て

これは、フォローしている方のNoteの感想を読んで、観たいと思ったドキュメンタリー映画(少し古い)です。 内容は、井上光晴という作家の晩年に密着した映画なのですが、実は私はこの作家さんの本は、一冊も読んでいません(読んだかもしれませんが、覚えていません)。 あとは亡くなった瀬戸内寂聴と近しい人だったという認識ぐらいでしょうか。 しかし、何よりも「全身小説家」という魅力的な題名に惹かれました。 洋画、邦画に関わらず、小説家が主人公の映画はだいたい観て来たので、今回も期待を

「機動戦士ガンダム 水星の魔女」第一シーズンを観て

ガンダムのテレビシリーズを、リアルタイムで見るのはかなり久しぶり。いつのまにか追いきれなくなって、ずいぶん昔のシリーズを気が向いた時に見るだけになっている。 自分にとってガンダムは、Ζガンダムに始まり、Ζガンダムに終わっている感があって、他のガンダム作品を見るとどうしてもΖと比較してしまう。 ともかくリアルタイムで見始めた「水星の魔女」だけど、いきなり一話から、自分が苦手な学園モノ。うわーまじと思ったのも、最初だけ。第一シーズン終わりにかけて、急にシリアスな展開へ突入。そ