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グレショーに魅せられた一ファンが、フェニーチェ演劇解体新書に参加してみた件


あ、春になってもうた。

どうも、ぽにょぷにょです。

参加したWSを記録しようとしてから早4ヶ月。
こんなはずじゃなかったのに。
まあ、いつものことです。先延ばし癖があるのは。

さあ、気を取り直して、備忘録として書き起こしていく。


11月、12月とフェニーチェ堺にて行われた、「フェニーチェ演劇解体新書vol.6」に参加してきた。

Aぇ! groupが出演する「THE GREATEST SHOW-NEN(通称:グレショー)」をきっかけに、幻灯劇場の存在を知り、演劇に興味を持ち始めたことから、藤井颯太郎さんが開かれるワークショップ(以下WS)に行こうと思い立った。

演劇未経験の私が演劇のWSに参加するとどう変化していくのかという一種の実験のような気持ちで向かった。




「フェニーチェ演劇解体新書」とは


そもそも「フェニーチェ演劇解体新書」というのは

さまざまな角度から、一つ一つ丁寧に演劇を腑分けしていく演劇ワークショップシリーズ

フェニーチェ演劇解体新書 | 【公式】フェニーチェ堺WEBサイト | 堺市民芸術文化ホール (fenice-sacay.jp)

のことで

講師から一方的に解説を受けるだけではなく、一緒に考え一緒に試しながら作っていく。“少し学んで沢山考える”

フェニーチェ演劇解体新書 | 【公式】フェニーチェ堺WEBサイト | 堺市民芸術文化ホール (fenice-sacay.jp)

という演劇未経験の私でも参加しやすい内容で、今回参加したのは、「vol.6 『現代の昔話を書いてみる』──戯曲を書く」というプログラムだった。


1日目:11/19


初日。これ、会場向かってる最中の私。


とにかくめちゃくちゃ緊張してる。

如何せん演劇に疎く、ワークショップにどういう気持ちで行ったらいいか全く分からなかった。
着ていく服装とかどういう気持ちで臨めばいいのかめっちゃ調べた。
さらに、今回のWSも、「藤井さんが開かはるし、行ってみよう」というとても安直な気持ちで応募したら抽選に当たったというから驚いた。


そんなこんなで会場に到着。
幻灯劇場の「鬱憤」の公演ぶりのフェニーチェ堺。
そして気づく。
写真撮り忘れた。ここに貼りたかった。

受付で名札を渡され、「小学校の頃に呼ばれていたあだ名を書いてください。」とのこと。捻りもなんもない下の名前を書いた。
後から、もっと違うあだ名付けられたことを思い出した。それ書けば良かった。
ちなみに「きのこちゃん」。

そこでたまたま同じタイミングで受付した人と最終日を迎えるまで話すようになった。初対面感はほぼ無かった。
久しぶりに友達ができた。
ちなみに、今も連絡取ってるし、会ってもいる。

会場に入ると、WS来たことありますみたいな人とか、演劇の世界に触れてきましたよみたいな人とか、なんかもう場違いじゃないかって一瞬思った。
というか、さっきの初対面の人と話しながら、心臓はバクバクだった。

そして、藤井さんと対面。
「うわ~テレビで見た人だ。前にここで演技してた人が目の前にいる。なんか・・・凄い。」というのが第一印象。ミーハー心丸出し。

最初はお互いの名前を覚えるべく、円になって名前を呼び合うゲームみたいなことをした。スーパーボールを使い、覚えた名前を呼び、その人と交代、呼ばれた人は2バウンド以内にスーパーボールを取るというゲームをした。これが意外と頭を使った。
1バウンドで取れれば、スーパーボールは下投げで誰かに当てなければならない。当てたりキャッチしたりしたら、その人に+1pt、当てられたり外したりしたら-1ptだったので、計算しつつ今覚えた名前も呼びつつと頭フル回転。
おかげで名前を早めに覚えられた。

ゲームの後は、戯曲について軽く説明を受けた。
いわゆる演劇の台本とのことで、見たことない人は?と問われた時、手を挙げたが、あの、嘘つきました。冷静に考えれば、高校の文化祭の時、演劇やった時に見たことありました。なんなら、ガッツリと。
藤井さん、すみません。


となんやかんやあり、戯曲の構成を教えていただきつつ、今回のテーマが「『現代の昔話を書いてみる』──戯曲を書く」ということで、まず知っている昔話を列挙することから始まった。

同じグループの方々は「あれあったな」とポンポン出されていて、密かに圧倒されていた。触れてきたものが違うんだなと新たな世界を知る気分だった。

そこから、挙げた昔話の物語の中で現在の倫理観だとおかしいと思う部分にツッコんで考えてみるとどうなるか。

自分がいたグループから出た案
別のグループから出た案

昔話のタイトルは分かるけど、内容まで細かく覚えてなくて考えにくいと思うものが多数。結婚詐欺のかぐや姫、マッチじゃなくて暖房器具を売るマッチ売りの少女、なりすましに遭った赤ずきん、ここの辺りが私の中でお気に入りだった。
ちなみに、この話し合いの間、藤井さんは案が出ると、「あれはこうなったら面白そうだよね」「これはこう置き換えると展開ができそう」といったような物語の構成を泉のように瞬時に組み立てていた。もはや圧倒を超えて、若干引いてた。引き出し多くない?

最後に、次回までに2ページ分の戯曲を1つ作るという課題を出されて、初日は終了。


2日目:11/25


実は、前日の締め切りに駆け込むような形で戯曲を仕上げていた。作業のために訪れたカフェのはちみつティーラテが凄くおいしかった。結果、作業が進まず全然間に合わなかった。大変申し訳ございませんでした。

ちなみに、私は「なりすましに遭った赤ずきん」を題材に戯曲を作った。
(突然の身バレをここでする)
(でも、時間経ってるから忘れてるかしら)


そして、当日。
それぞれが書いた戯曲を読み合った。
まず思ったこと。
なんでこんな書けるの?
戯曲のタイトルのネーミングセンス、展開の面白さ、言葉の紡ぎ方に至るまで、想像力が掻き立てられるようなものが多く、驚くばかりだった。

でも、面白いなと感じたのは、各々が選んだ題材や言葉からその人の背景が垣間見えてくるということ。何に触れてきたのかということ。
複数作ってきた方がいたのはさらに驚いた。どこにそんな引き出しが存在するというのだ。

そこから、各々の感想を言い合い、藤井さんからは構成のアドバイスをいただいてこの日は終了。


3日目:11/26


3日目。
前日にいただいた藤井さんからのアドバイスを基にブラッシュアップしたものを読み合った。

私自身が書いたものは、そこまで改訂は出来なかったものの、赤ずきんちゃんの物語をおけるオオカミを女の子になりすましたストーカーとして設定付け、その気持ち悪さを少し出してみた。
それが好感触だったので、少し満足。
藤井さんからはもっと気持ち悪くていいとのことだったので、さらに増大させることにした。


その後、最終日にこの作られた戯曲の中から、藤井さんが選んだ5つの作品をグループごとに実際に演じてみるということが発表された。
これが今回のWSの最終到達点となった。

で、さらにびっくりしたのが、この5つの中に私の作品が選ばれたということ。え、マジで?
急にこの作品をしっかりと仕上げないといけないという責務を負うことになった。なんてこった。


ひとまず、グループに分かれ、どのような演技をしていくのか、実際に道具を使いながら話し合いしていくことになった。
この時、アイデアが若干尽きていた為、同じグループになった人や、藤井さんにも助けを求め、舞台の環境設定や作品において要となるオオカミにどのような動きをつけるのかといった内容を練り込んでいった。

ここで苦労したのは、今まで「戯曲」として活字の平面で考えていたものを、「舞台」として立体で考えていくということ。
最初の方はどうしても平面的な動き方や使い方しかできず、舞台の奥行きをどう使うのかが難しかった。

私が作った戯曲の環境設定は、カフェだったが、舞台上のどこに入り口や注文口があって、座席はどういった配置になっているのか考えるだけでも舞台の使い方が変わってくる。
また、登場人物が舞台上でどう動いて、観客の視線はどう移ろっていくのか、この展開の時にはどこに注目を集めたいのかといった観客側の視点を取り入れる必要もある。

新たな観点を次々と取り込み、観客側の感情を揺れ動かす視点のアイデアももらうことができたところで、この日は終了。
個人的には、観客の視線の動かし方にとても興味を引かれた。


4日目:12/2


いよいよ、最終日。

演者の舞台上での動きや、観客側にしか分からない視点を取り入れたことにより、戯曲は最初の頃に比べ、厚みが増した出来上がりとなったと感じていた。

本番前に、改訂した内容を踏まえ最終通しを行った。細かい所の動き方や距離感、間の取り方、話し方など自分の中で詰めたい部分を直前まで話し合った時間は、3回目の時よりも明瞭に出来たと思っている。


そして、ついに本番。
まさかのトップバッター。
道具の使い方など様子を見ていきたいとか思っていたけれど、見事に挫かれる。

当日の発表は一番理想とする形にできていたかは定かではないし、あれはこの方が面白かったかなとか、もうちょっとゾワッとさせられたかなとか、今でも思う所はある。
だが、用紙2枚分の展開を作るとなると、あれがその時点でのベストだったと思っている。ショートショートのような展開には持っていけたかなと。

他の作品も見ていったが、どれもとても面白く、笑いに包まれる場面もあった。喜劇が多い中、気持ち悪い展開を作ってしまったのは私だけだったのも自分っぽいなと思った。


最後に


今回のWSを通じて得られたものはたくさんあった。
久しぶりにリアルな世界で友達ができたのも個人的な喜びではあったが、一番大きかったのは、少しのインプットでこんなにも見える視点、考える幅が広がるということだった。

身の上話を挟むのは申し訳ないが話したい。
このWS直前に色々あって、これからどう生きていこうか考える気力も体力も衰えていた。自分に対する願望も気づけば失いかけていた。
まあ、かろうじて野球と今応援している人達の活躍を見守るということだけが救いだった。

仕事を辞めた後、今までしてみたかったけど出来ずにいたことをやりたい。何か楽しめるコンテンツを自分に設けた方がこれ以上無気力にならずに済むと考え、全く知らない世界に、だけど直感的に足を踏み入れてみたい世界に飛び込んでみるという選択をした。
それが、今回のWSへの参加だった。

何か1つ形を創り上げるというのはいずれはしてみたいと思っていたことだった。これも、グレショーを見ていくうちに深まっていった感情だった。


「私はこの世に何を残せるのか」
言葉にすると壮大なことのように思えるが、これは以前から自分に問い続けていることではある。

今回の経験はそのきっかけの1つではあったものの、演劇を見る、楽しむ観点は確実に増えたし、個人としては、久しぶりに何かを作ってみるという経験が出来たこと、人と1つの物を作っていく過程は感情、思考、視点といったあらゆる感覚と見方を刺激してくれるものであり、やっぱり自分は人と何かしらの到達点に向かってモノを生み出す、構築していくことが好きなんだと再確認できたことは大きかった。

久しぶりに楽しみながら時間を積み重ねていけたことが嬉しかった。人にいきいきしながら話せるほど刺激される経験が出来たことが何よりの収穫だった。

今はまだ問い続けている最中だが、この時間を糧に、心躍る日々をのんびりと探し続け、何が世に残せる人になれたらと思い続けている。


最後に、幻灯劇場の藤井さん、フェニーチェ堺でお世話になった関係者の方々、本当にありがとうございました。
縁があればまたお逢いできればと思っております。

では、また何処かで。