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【月刊お気楽フリーランス論sidestory#15 思いつきで動く社長と、どうやって仕事をしてきたのか】

株式会社ケロジャパンの吉河です。しばし冬眠しておりました。このマガジンは今月で最後ということで、おはようございます、よろしくお願いいたします。

さて、中川が突然何かしたいって言い出した時、私がどう対応しているかについて教えてほしいというリクエストがありましたので、書いてみます。

とはいっても、一言、「何も考えてない」です。あ、話が終わっちゃう…。 

確かに中川は、だいたい突発的に行動する社長です。思いついたらやらずにいられない。思ったことは意見を述べずにいられない。

でも、元々私も、あんまり先のことばっか考えないで、まずは行動するタイプというか、遊軍。目の前で起きたことを、とにかくうち返す生き方をしてきたので、逆に言えば考えなしともいいますし、もう少し考えた方が良いことっていっぱいあるんだろうなーと自覚しています。でもまあ、できないことはできないんだもん。

だから、中川が何かやることに対してすごくびっくりしたり、心配とかっていうのは正直ないんです。健康を損ねない程度の仕事量のバランスとか、納期とか、お金とか、そういったことは確認しますが、それ以外のことは何もしません。ねーこれ、話終わっちゃうよ!どうしよう!

一度、中川の博報堂の同期会に連れて行ってもらったことがありました。そこで、結構な数の同期さんに異口同音に言われたのが、「よくこんなハチャメチャなヤツと一緒に仕事できるね~!」ということだったんです。

うーーーっん…と。

私、中川のことを、ハチャメチャだと思ったことがないんですよね。あーまあ、時々ブチギレて社会人らしからぬ言動をとることはありますけど(この話はいずれ)、ハチャメチャってどういう人のことなんでしょうか。

仕事中に堂々とサウナに行って爽やかに帰ってきたり、突然失踪したり、内定が決まったのに留年して一年待ってもらったり、なぜか面接で水着アピールをしたり、女装して会社に来たり、カラオケでスーツをビリビリに破かれていたり、7回離婚したり、セコいことに激怒して自分のみみっちさを露呈していたり、朝令暮改が甚だしかったり…程度のハチャメチャなら、会社員時代いくらでも見てきました。ハチャメチャの定義とは。

【ハチャメチャ】乱暴・乱雑で、話の筋の通らないさまなどを意味する表現。騒々しい、甚だしいといった意味合いを含むことが多い。めちゃくちゃ、めちゃめちゃ、などとも言う。


中川、乱暴じゃないし(ツイッター上では乱暴に見えることもあるけど、ふふふ)、仕事上暴れることがあっても、それは自分の“筋”があるから。あ、部屋は乱雑だな……。

で、私なりに、そういう質問を受ける理由を考えてみたんです。それでつらつら思ったのが、同僚の突然の行動に戸惑う人って、多いのかなと。

先ほども「私、何も考えてない」って書きましたが、例えば以前フラフラ行っていた海外旅行も、基本行き当たりばったり。むしろ計画され過ぎたものが苦手なんです。会社員時代も、「目標計画シート」(キャリアシート)とかあったんだけど、書くことがさっぱり思いつかなくて、困り果てた挙げ句、デカデカと「がんばる。」って一言書いたら、上司から「もっと書け」って赤が戻ってきたことがありました。知らんがな。

いやーだって、doはdoとしかいえないもん。「なんたらのかんたらをどーたらのスキームを改善することにより極力迅速に遂行する」みたいに漢字やカタカナをいっぱい使って長々と書くのって、一種の才能だと思う。本屋さんに威勢よく並んでる、やたらフォントと行間と余白の大きいスカスカハウツー風(←ここ大事)ブック書けるのは、こういうのが得意な人なんだろうなあ。ちょっとでいいから、ほしいその才能。

閑話休題…。

鈍いんですよね、私。だから、細かいディレクションをするのが苦手な中川にとって、私の鈍さっていうのは、案外相性が良かったんじゃないかなと思います。

私が敏感だったら、確かにいろんな細かいことが気になって、心配で仕方ないだろうと思うことはある。でも私は最初から何かを心配しないというか、心配事項に気づかないので、中川が「今度こうすることにした」って言ったら、「へー!おもしろそうだねー!わかったー」以上のことは出てきません。

この時、中川は合わせて「だから吉河さんは○○をして」あるいは「何もしなくていい」というように、私がどうするかも言ってくれます。だからなおのこと、「わかった」でおしまいなんです。

オリエンタルラジオの藤森さんが、相方の中田さんが吉本を辞めた後、自分も吉本を辞めると決めた理由について、宮迫さんのYouTubeチャンネルで語っていました。

最初藤森さんは、吉本を辞めるつもりはなかったそうなんです。けど、辞めることにした。というのも、オリエンタルラジオは、2025年に武道館ライブをやりたいっていう大きな目標が先にあって、中田さんの吉本退社の意思は固かったと。

ライブを運営するにあたって、片っぽが非吉本、片っぽが吉本っていうのは、なんかややこしいことになりそうだと予想された。目標を叶えるまでの道を、なるべくスムーズに運ぶためには同じ立場の方がいいだろうっていうことで、それが藤森さんが吉本を退社する理由の一つになったらしいんです。

その藤森さんの考えに、私はかなり近い。

もともと、ケロジャパン立ち上げの時から、「中川が仕事をやりやすいようにする」のが私の唯一最大のミッションです。なので、中川は「○○をやりたい」と言い出すことが仕事のようなもの。中川が憂鬱になるような原稿のやり取りや気を遣う金銭交渉は私がするし、中川が基本ガラケーを好むので、私はとっととスマホにしたし、ノートPCとモバイルルーターも常に持ち歩いている(今や誰しも当たり前の話だけど)。

だから、中川がアメリカに行きたいって言い出した時も特に驚きませんでした。子供の頃アメリカにいたことも知ってるし、行きたいって言ってたのも知ってたし。

ケロジャパンに入社したばかりの頃、2人でカタカタと原稿を書きながら、何気なく中川に「なんか目標とか、やりたいことってあるの?」と聞いたことがあります。

その時の中川の答えは、「年末年始にアメリカに行きたい」でした。

今ならどうということもない話ですが、当時はWi-Fiもそんなに当たり前じゃない時代。海外に行ったら有料時間制のネットカフェで、日本語変換なんて気の利いたものは装備されていないPCを使い、英語かローマ字(笑)で日本にメールを送る、といった頃でした。

365日休まずネットニュースを書いていた中川にとって、年末年始は休めないだけでなく、日本から全く離れられなかったんです。

それまで、お気楽会社員で、のうのうと何週間も海外をほっつき歩く生活を満喫していて、逆に「そろそろ海外旅行はいったんお休み」と思っていた私は、その中川の言葉を聞いて、深く頭を垂れました。そして、社会人になって、初めて意思を持って目標を立てました。年末年始、中川が安心して海外に行けるくらいのお留守番能力を身に着けよう--。

だから、中川が年末年始、海外に行くぞってなった時は本当に嬉しかったなあ。そしてそれからほどなくして、中川の目標は、「アメリカに住みたい」になりました。おお!

私は海外に住んだ経験がなく、憧れているので、中川がアメリカに住むなんてワクワクしかない。以前、何度か英語サイトの翻訳を中川に頼んだことがあったのですが(意味はわかるんだけど、話し言葉の調子のような細かい部分がわからないので)、これが超絶面白かった。本来のニュアンスはさておき、もう中川節でいいというくらい。アメリカの珍事件を中川流に紹介してほしいなーなんて、私が夢を膨らませたものです。

でも、です。周りからは、「吉河さんどうするの?」とか、「寂しいでしょ」とか、めちゃくちゃ言われました。

いやぁ不甲斐ないです、社長……。

確かに中川の補佐的な業務は減るかもしれない。でも、だとしたら、私は私でがんばるだけの話です。ま、なんか、基本、なんとかなるって思ってるタイプだし、やりたいことがある人に合わせた方が、その後面白いことが待っている可能性はあがりそうやん? 

思いつきで行動する社長と一緒に仕事できてきた理由は、結局のところ「流れに身を任せる行きあたりばったり精神」なのかも。ただしこの時、「これはやっていい流れ」「まだ見送るべき流れ」「やっちゃだめな流れ」はあると思います。で、中川は、キャリア面において、この「流れ」に乗るのが多分うまい人。

私はといえば、あまりにも「ケロジャパンどうなるの」という問い合わせの多さに、中川の大きさをヒシヒシと感じつつ、会社の行方についてすっきり説明するためにはどうしたらいいか考えあぐねた結果、いつからかピースの綾部さんスタイルみたいなもの、と説明するようになりました。別に必ずしも同じ拠点にいなくても、解散はしない。

あ、でも、そういえば中川は「解散する!」って大暴れしたな。暴れてたな。ハチャメチャか!

…長くなってきたので、ケロジャパン解散の危機(でもないけど)は、次回に譲ります。

--(今回はここまで)--

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随時、吉河が裏話を挟みます。こちらは無料! 「あの時、裏ではこういうことが……」ケロジャパン秘話が盛りだくさん。サイドストーリーもお楽しみいただければと思います。

フリーになってから19年、ネットニュース編集を始めてから14年、本が売れてから11年、そして会社をY嬢こと吉河と始めてから10年。一旦の総…

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