リテールの衰退とは?と考えさせられた件
アメリカの小売を語る際に、必ず登場する会社の一つがウォルマート(Walmart)です。世界最大の売上高を上げる企業であり、みんな大好き Apple や Amazon をも上回るのですから、すごい。さらにいえば、全米 50 州のうち、22 州において最大の雇用者だというのですから、その社会的影響も計り知れません。
日本にウォルマートはありませんが、西友を子会社化したり(その後大部分の株を売却)、ダイエーの支援に名乗りを上げたり、日本市場への興味は少なからず持っているようです。
ただし、それだけ大きな会社で、全米の至る所に店舗を持つがために、ちょっとユニークなお客さんも多く、そのため People of Walmart などという、ウォルマートで見たちょっと変わった人を紹介するウェブサイトができてしまうほど…。
さて、こんなにウォルマートのことを書いていながら、今日私が触れたいのはウォルマートについてではありません(笑)。その競合である、ターゲット(Target)です。
どちらもいわゆる総合スーパーマーケット的品揃えで、食品、衣料、日用品などが主な取り扱い商品。とはいえ、先ほども触れたようにちょっとユニークな人が集まり、店自体が若干荒れ気味なウォルマートに比べると、店が比較的整頓されていて、若干オシャレ、というイメージがあり、差別化されているという印象があります。
実際、ターゲットのことを「タージェ」とフランス語風に読む人がいたりして、そのオシャレさゆえのことなのかなと。(逆に、結局ウォルマートとあんまり変わらないところを皮肉としてオシャレな呼び方で揶揄しているという説もあり(笑)。)
私個人としても、正直なところ、ウォルマート=荒れまくりの店舗、ターゲット=比較的整理整頓されていて日本の店に近い、というイメージがありました。
しかし、です。先日私の家の近くのターゲットに行ったところ、それはそれはひどい、未だかつてみたことがないほどの荒れっぷりでした。閉口してしまうとはまさにこういうことか、という感じ。
まず店に入って、普通なら入り口にあるショッピングカートが全くない。いや、2 つほどあったけれど、両方壊れていて使い物にならない。
そして入り口入ってすぐのところにある返品窓口の前に、大量に置かれたカートとその中に入った大量の返品商品。いやいや、こんなのにカート使ってるからお客さんが使うはずのカートなくなるんじゃん…。
仕方なく外に出て駐車場に置き去りにされたカートをゲット(カート置き場には一つもカートがなく、車の横に放置されたカートをゲット)し、店内へ。ちなみにこの日は雨。すでにびしょびしょになりご機嫌斜め(笑)。
そしてカートを進めていくと目に入ってきたのはこんな様子。
とにかく、深夜の品出しにタイムスリップしてしまったのか、という様子なのです。たまに見かける店員さんも、正直何をしているのかよくわからないし…。
そして店の外には、We're hiring!のバナーが。人手不足なのでしょう。小売、飲食と、どこも人手が足りない状況が続いています。もちろん知っています。
けれど、これは買い物体験が「心地よくない」という以上に「危険である」というレベルに達していると言わざるを得ませんでした。
オンラインリテーラーの台頭で、ブリック&モルタルの危機が言われて久しいですが、そりゃこんなこと続けてたらみんな実店舗に来たくなくなるわ、って思います。自分で自分の首を絞めているとしか思えません。
利便性では到底勝てないのですから、せめてショッピング体験を楽しいものにすることに集中してほしい、と心から思うのでした…。
日本のショッピング体験って、行き過ぎの包装とか、やりすぎの丁寧な店員さんの対応とか、いろいろ言われますが、これと比べたら本当に素晴らしいなぁと思います。年末年始日本に行ったら、楽しいリテール体験したい!!
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